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第51話 男性器のソテーを食べた件〜前編〜
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SNSではカジュアルにΩが強姦、輪姦、死姦される様が投稿され、男に殺害されたΩの数は年間数十万人に達していた。
Ωは相変わらず使い捨てオナホとして気軽にレイプされ、気軽に殺されていた。
だが、それだけの状況ならば未だしもマシだと思えるほどに事態は深刻化していくことになる。
食料自給率が年々減少の一途を辿る我が国ではΩの身体を食肉に利用することを正式に認める法案が可決されてしまったのだ。
そのせいで容姿の悪いΩはミンチ肉として安価で流通されるようになり、容姿の良いΩは個別に高値で売買されるようになった。
学校給食やコンビニ弁当、飲食店などでもΩの肉が普通に使われるようになり、肉を食べることに抵抗を覚えるΩが急増した。
「はぁ~、Ωはついに家畜と同じ扱いになっちゃったね……」
道行く男たちは僕を単なる家畜か、性処理肉便器ぐらいにしか思っていないのだ。そんな状況で今、自分が生きているのは奇跡と言っても過言でない。
「僕も一護くんと同じαに生まれたかったぁ~」
そう言って、いつものように僕は一護くんに泣きついた。
「大丈夫だ、アオイは俺が守ってやる! アオイの美味しそうな身体は誰にも食わせねえぜ♡」
「もぉ~、美味しそうとか言われると、なんか恐いんだけど!」
「うへへ、アオイは本当に可愛いなぁ♡ 俺がアオイを食うわけないだろwww」
そんなことは分かりきっている。でも、Ωの身体が食肉として利用されている現実が背景にあるせいで、ちょっとしたことにも敏感に反応してしまうのだ。
「色んな意味でΩを喰らいたくなるのが男の生理現象だということは分かってるよ。でも、いくら生理現象だからと言っても、やっていいことと悪いことがあると思うんだ……」
「そうだよなぁ。食欲と性欲が強すぎて、Ωを身も心も支配することでしか男は生き甲斐を感じられなくなりつつあるのかもしれない。男女が共存不可能だったように、性別が多様化した現代社会は、もはや限界が近づいているんだろうなぁ」
遥か遠い昔のこと、この世には男と女の2つしか性別がない時代があったらしい。
だが、2つしか性別がない時代は男女ともに偏狭なジェンダー規範に縛られ、お互いに疲弊し合い、いつしか男女は距離を取り合うようにまでなってしまった。
危機感を覚えた政府は性を多様化させることでジェンダーに縛られない理想的な社会を築こうと考え、人間を品種改良し、この世にα、β、Ωの3種類(男女合わせて計6種類)の性別を作り出すことに成功した。
それによって人類はジェンダーから解放され、男らしくない人も女らしくない人も誰もが自由に生きられるはずだったのだが……。
――現実はそうはいかなかった。
この政策によって、確かに男女という枠組みは崩壊した。しかし、人類は新たなるジェンダー規範に縛られ、再び同じ歴史を辿っていったのだ。その最大の犠牲者がΩであった。
男女という概念が意味をなさなくなったことで純粋に力の強いαが男社会を形成し、そのカースト外に置かれたΩは人権を剥奪され、αの従属物として人間扱いされない生活を強いられることになったのだ。
性別が多様化したことで、多文化共生社会特有の歪みも発生し、軋轢が生ずるようになったことで社会情勢は不安定になり、治安は悪化の一途を辿っていった。そのツケはΩが支払わされ、犯罪被害の9割方はΩでも誰にも同情されず、肉体的にも精神的にもボロボロになるまで理不尽な搾取を受ける羽目になっていった。
「どんなに完璧な社会を築いたとしても、この世に人間がいる限り、貧困も犯罪もジェンダー格差もなくなることはないんだろうなぁ……」
Ωの身体の一部分を加工して組み合わされた装飾品や家具が売っている店の前を通りながら僕は溜め息をついた。
「たとえΩが人間扱いされない世界であったとしても、必ずアオイを幸せにしてみせるぜ! これから俺がアオイに、とびっきり美味~い料理を振舞ってやるからなぁ♡」
プロ級に料理が上手い一護くんの作る夕食が楽しみ過ぎて、僕は一気に憂鬱な気分が吹き飛んだ。
ーーー
「今日は『男性器』のソテーを作ってみたぞ! 俺が独自に編み出した料理で試しにこの間、尾芽牙に食わせて見たら好評だったぜwww」
「ふぇぇッ~、オチンチン食べるなんて恐いよぉ~」
げんなりとした表情を浮かべる僕とは対照的に何故か隣にいる尾芽牙くんは凄く嬉しそうな顔をしている。
それにしても尾芽牙くんは当たり前のように、しょっちゅう我が家にいるよなぁ……。
「いやはや、実に楽しみだよ♡ 男のアレがあんなに美味しいなんて食べる前は思いもしなかったからねwww」
尾芽牙くんが男性器をムシャムシャ食べる姿を想像したら、ついつい笑いが込み上げてくる。
「安心しろ、アオイ♡ 街でΩをレイプした挙句、その子の首を絞めて殺す様を面白おかしく撮影してる男共がいたから、そいつらの首を絞めてチンポを根こそぎ狩ってきたんだ。なかなか活きのいいチンポだぞwww」
「あぁ、なるほどね……」
それを聞いて罪悪感はなくなったけれど、ホントに野郎のチンポなんか食べられるのだろうか……?
Ωは相変わらず使い捨てオナホとして気軽にレイプされ、気軽に殺されていた。
だが、それだけの状況ならば未だしもマシだと思えるほどに事態は深刻化していくことになる。
食料自給率が年々減少の一途を辿る我が国ではΩの身体を食肉に利用することを正式に認める法案が可決されてしまったのだ。
そのせいで容姿の悪いΩはミンチ肉として安価で流通されるようになり、容姿の良いΩは個別に高値で売買されるようになった。
学校給食やコンビニ弁当、飲食店などでもΩの肉が普通に使われるようになり、肉を食べることに抵抗を覚えるΩが急増した。
「はぁ~、Ωはついに家畜と同じ扱いになっちゃったね……」
道行く男たちは僕を単なる家畜か、性処理肉便器ぐらいにしか思っていないのだ。そんな状況で今、自分が生きているのは奇跡と言っても過言でない。
「僕も一護くんと同じαに生まれたかったぁ~」
そう言って、いつものように僕は一護くんに泣きついた。
「大丈夫だ、アオイは俺が守ってやる! アオイの美味しそうな身体は誰にも食わせねえぜ♡」
「もぉ~、美味しそうとか言われると、なんか恐いんだけど!」
「うへへ、アオイは本当に可愛いなぁ♡ 俺がアオイを食うわけないだろwww」
そんなことは分かりきっている。でも、Ωの身体が食肉として利用されている現実が背景にあるせいで、ちょっとしたことにも敏感に反応してしまうのだ。
「色んな意味でΩを喰らいたくなるのが男の生理現象だということは分かってるよ。でも、いくら生理現象だからと言っても、やっていいことと悪いことがあると思うんだ……」
「そうだよなぁ。食欲と性欲が強すぎて、Ωを身も心も支配することでしか男は生き甲斐を感じられなくなりつつあるのかもしれない。男女が共存不可能だったように、性別が多様化した現代社会は、もはや限界が近づいているんだろうなぁ」
遥か遠い昔のこと、この世には男と女の2つしか性別がない時代があったらしい。
だが、2つしか性別がない時代は男女ともに偏狭なジェンダー規範に縛られ、お互いに疲弊し合い、いつしか男女は距離を取り合うようにまでなってしまった。
危機感を覚えた政府は性を多様化させることでジェンダーに縛られない理想的な社会を築こうと考え、人間を品種改良し、この世にα、β、Ωの3種類(男女合わせて計6種類)の性別を作り出すことに成功した。
それによって人類はジェンダーから解放され、男らしくない人も女らしくない人も誰もが自由に生きられるはずだったのだが……。
――現実はそうはいかなかった。
この政策によって、確かに男女という枠組みは崩壊した。しかし、人類は新たなるジェンダー規範に縛られ、再び同じ歴史を辿っていったのだ。その最大の犠牲者がΩであった。
男女という概念が意味をなさなくなったことで純粋に力の強いαが男社会を形成し、そのカースト外に置かれたΩは人権を剥奪され、αの従属物として人間扱いされない生活を強いられることになったのだ。
性別が多様化したことで、多文化共生社会特有の歪みも発生し、軋轢が生ずるようになったことで社会情勢は不安定になり、治安は悪化の一途を辿っていった。そのツケはΩが支払わされ、犯罪被害の9割方はΩでも誰にも同情されず、肉体的にも精神的にもボロボロになるまで理不尽な搾取を受ける羽目になっていった。
「どんなに完璧な社会を築いたとしても、この世に人間がいる限り、貧困も犯罪もジェンダー格差もなくなることはないんだろうなぁ……」
Ωの身体の一部分を加工して組み合わされた装飾品や家具が売っている店の前を通りながら僕は溜め息をついた。
「たとえΩが人間扱いされない世界であったとしても、必ずアオイを幸せにしてみせるぜ! これから俺がアオイに、とびっきり美味~い料理を振舞ってやるからなぁ♡」
プロ級に料理が上手い一護くんの作る夕食が楽しみ過ぎて、僕は一気に憂鬱な気分が吹き飛んだ。
ーーー
「今日は『男性器』のソテーを作ってみたぞ! 俺が独自に編み出した料理で試しにこの間、尾芽牙に食わせて見たら好評だったぜwww」
「ふぇぇッ~、オチンチン食べるなんて恐いよぉ~」
げんなりとした表情を浮かべる僕とは対照的に何故か隣にいる尾芽牙くんは凄く嬉しそうな顔をしている。
それにしても尾芽牙くんは当たり前のように、しょっちゅう我が家にいるよなぁ……。
「いやはや、実に楽しみだよ♡ 男のアレがあんなに美味しいなんて食べる前は思いもしなかったからねwww」
尾芽牙くんが男性器をムシャムシャ食べる姿を想像したら、ついつい笑いが込み上げてくる。
「安心しろ、アオイ♡ 街でΩをレイプした挙句、その子の首を絞めて殺す様を面白おかしく撮影してる男共がいたから、そいつらの首を絞めてチンポを根こそぎ狩ってきたんだ。なかなか活きのいいチンポだぞwww」
「あぁ、なるほどね……」
それを聞いて罪悪感はなくなったけれど、ホントに野郎のチンポなんか食べられるのだろうか……?
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