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14話 性被害に遭いやすいからって外出禁止は酷くない?

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 相変わらず男子たちの品定めをするような下品極まりない視線に僕は悩まされていた。
「どうすれば子供を産ませられるか」しか考えない野郎共はΩだけが負わせられるリスクや負担にはまるで無関心かつ無理解で、ひたすら肉便器扱いしてくるだけだ。
 男という生き物は無責任に出すだけ出したらトンズラできる気楽な性だとつくづく思う。それとは逆にΩは男に抱かれるだけ抱かれて孕まされたら一生逃げられない不憫な性だと常々実感する。
 危機に敏感になった僕は常に周囲の男を警戒するようになった。
 Ωは逃げる足も遅く、危険な者が迫ってきたら力で勝つことが難しい。そのため、必然的に危険を早く察知する能力が高まっていく。


「うへへ、オッパイ、オッパイ……」
「うひゃひゃ、ケツ、ケツ……」


 すれ違いざまにそういう彼らの顔は完全に欲望で緩みきっている。
 胸やお尻に不躾な視線が突き刺さってくるのを感じた。手であわてて胸を隠すが、男子の表情は変わらない。
 実は今日の放課後に千代田から遊びに誘われているのだが、Ωの生徒は性犯罪防止の観点から外出禁止になっていた。
 校内でもΩの生徒への性的暴行が問題になっており、何かと物騒な状況が続いているが、それでも僕はソラの目を掻い潜って千代田との待ち合わせ場所へ向かっていた。


「あら、ユウちゃん。どうして、こんな時間に1人でいるの?」
「うわぁ⁉︎……」


 不意に知り合いのΩに話しかけられた僕は思わず突拍子もない声を出してしまった。


「あれれ~、もしかして秘密の逢瀬って感じ???」


 ノリが軽いギャルっぽい風貌の彼女の名は確かヤリ・マーン。
 名前から言ってヤリマンな感じが半端ないが、人を見た目で判断するのは失礼なので誰も口にはしない。


「いや、別に……そういうわけじゃないよ」
「ふ~ん、あっそ。それよりも校門前で千代田くん、見かけたよ♡」


 千代田に会いに行くのが完全にバレているようだ。この場は一体どう乗り切るべきか。


「へぇ……そうなんだ。いいよね、Ωと違って放課後も自由に外歩けてさ」
「ホントそうだよね。仕方がないから、あたしらは寮で一緒に遊ぼうよ。オススメのコスメ、紹介したげるからさ♡」


 ヤバい……どうやら意地でも僕を千代田の所へ行かせないつもりらしい。
 さ~て、お次はどう切り出そうか。


「へぇ~、超うれしいなぁ。それよりもΩだけ外出禁止だなんて酷くない? むしろ性犯罪者予備軍の野郎を外出禁止にしてΩだけ自由にしてっ感じ」
「わっかる~、マジでユウちゃんの言う通りだわぁ。でも、性犯罪は同性間でも発生するって知ってる? こんな感じでさ♡」


 そう言うと、ヤリは僕の胸を思いっきり鷲掴みにしてきた。


「いやぁ、ちょっと⁉︎……」
「今日も大きいじゃん。どうよ? オッパイ揉まれると元気が湧いてくるっしょ♡」
「くぅ⋯⋯んッ…⋯はぁ⋯⋯はぁ⋯⋯」


 逃げなきゃ! でも、両胸を乱暴に掴まれた状態では少し動いただけで痛くてたまらない。


「はあ…⋯あぁ⋯⋯んッ…⋯くふぅ⋯⋯んッ…⋯」
「乳首が勃ってきてるじゃん。制服が尖ってるよ。ふふ、ユウちゃんは感じやすいんだね♡」


 手のひらで胸を揉みながら、指で僕の先っちょを激しくコリコリしてくる。


「柔らかいなあ⋯⋯ユウちゃんのおっぱい♡ 前々から触りたくてしょうがなかったんだよね」
「いや⋯⋯あぁ⋯⋯んッ…⋯はあ…⋯うぅ⋯⋯はうぅぅぅぅ⋯⋯」


 制服越しに乳首を引っ張られ、僕の声は徐々に大きくな
っていく。
 めちゃくちゃな形に揉まれるたびに涙が溢れ出た。


「あぁッ! くぅ⋯⋯あ⋯⋯んッ…⋯くふぅ⋯⋯ん~ッ」
「もうエッチな声、漏らしてるじゃん。千代田くんなんかに抱かれるより、あたしとヤる方が絶対アガるっしょ~♡」


 案の定、確信犯だったヤリは最初から僕を千代田から遠ざけようとしていた。出会ったばかりの頃は千代田のことを狙う不貞の輩だと思っていたが、どうやら少し違うみたいだ。


「ユウちゃんが千代田くんに無理やり中出しされることがないよう常日頃から見張ってたんだよ。あいつ、ユウちゃんとヤることしか考えてないクズだからさ」


 定期的に声をかけてくるとは思っていたが、そこまで僕の存在に拘泥していたとは恐れ入った。


「ハアハア……どうしてΩの僕なんかに執着するの?……ヤリさんもΩでしょ?」
「むしろΩ同士だからいいんじゃん。避妊もしないで中出し強要するようなクズチンポとなんか恋愛したくないもん」


 そう言うと、ヤリは僕の胸からようやく手を離してくれた。


「千代田くんの所へは行かせないよ。ユウちゃんが強引に孕まされたら大変だからね。それにΩは外出禁止だし、決まりは守らないとダメっしょ♡」


 気がつくと、僕はヤリの取り巻きのΩに囲まれていた。
 僕は心の中で千代田に謝りながら閉鎖的なΩ寮へと連れ戻されるのだった。
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