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12 アルファ喪女のプロポーズ

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 私は薄暗い夜道をひたすら駆けずりまわっていた。

「オメガ……どうして帰ってこないのよッ⁉︎ 一体どこへ行ってしまったの⁉︎」

 頭の中にはオメガの顔が浮かんでいる。
 オメガが買い物に出てから、もう8時間以上たっていた。
 この街のどこかにオメガがいるはず……。
 もしかして誰かに拉致監禁レイプされて精神も肉体もずたずたに破壊されて泣いてるんじゃ⁉︎
 こんなことになるんだったら、家の中にオメガを鎖で繋いで閉じ込めておけば良かった……。
 オメガを監禁レイプしていいのは私だけなんだから!!!
 人気のない公園、コンビニの店内、ビルとビルの谷間、終バスが発車して明かりの消えた停留所、ありとあらゆる場所を探したがオメガの姿は見つからない。

「もうオメガは私の所へは戻ってこないの? 私はまた独りぼっちになっちゃうの? それとも最初からオメガは私の妄想が作り上げた空想の産物だったの? 私が人生に絶望して現実逃避している時に見た夢の中の男の子だったの?」

 私は自問自答しながら自分の家に帰った。
 電気をつけても室内は薄暗く、小さな豆電球はそろそろ寿命なのか消えかけている。
 布団へ直行すると、まぶたは疲労で自然と重くなっていき、いつしか死んだように眠り込んでしまった。


ーーー


 その夜、私は夢を見た。
 長年封印し続けていた幼少の頃の思い出したくもない忌まわしい記憶が走馬灯のように蘇る。
 すると、目の前に私が子供の頃に死んだはずの弟の姿があった。

「……リト? やっぱり、リトなのねッ!!!」

 私は涙ぐんで子供の頃と変わらない姿をした全裸の弟を抱き寄せた。

「子供の頃、リトはいつも男の子にいじめられていた私を助けてくれたよね。母さんは父と離婚してから仕事が大変で家にいつもいなかったから私の話し相手はリトだけだった……。お願い、また私の側に戻ってきて!」

 リトは私とは2つ年下の可愛い男の子だった。いつも同年代の女の子にモテモテで大人の女性からもチヤホヤされていた。私はそんなリトを独占できることが何より嬉しかった。ステキな弟の姉であることだけが私の唯一絶対の拠り所だったのだ。
 だがしかし、その拠り所は私自身のワガママによって粉々に打ち砕かれることになる。
 私が12歳の頃、木の枝にお気に入りの風船が絡まってしまったのをリトに頼んで取ってもらおうと思ったのが全てのきっかけだった。
 大きな木のてっぺんまで登っていき、もう少しで届きそうなんだけど、なかなか糸を掴めないリトに悲劇が襲った。

『リト、危ない!!!』

 私が叫んだ瞬間、リトはバランスを崩して枝から転落してしまったのだ……。

「リト!!!」

 私はあの時と同じように叫んで、リトを強く抱きしめる。

「ごめんなさい! ごめんなさい! みんな、私が悪いの……。私みたいな女のせいでリトは……」

 リトのことが好きだった女の子たちからは呪いのように「あなたが変わりに死ねば良かったのに……」と散々言われ続けた。
 子供の頃から自己肯定感を持つことが許されなかった私は毎日死ぬことだけを考えて生きてきた。オメガと出会う前までは……。
 でも、リト以外で私の存在を認めてくれたオメガはどこかへ行ってしまった。再び独りぼっちになってしまった私にはもうリトの幻影にすがるしか生きるすべはない。

「最初から私みたいな喪女なんて生まれてこなければ良かったのにね。私のせいでリトは死に、リトを愛した全ての人たちを不幸にした。出来ることならリトと一緒にこのまま消えてしまいたいわ……」

 私は幼い頃から心に重くのしかかっている罪悪感をすべてぶちまけた。

「喪子姉さん、僕の身に起きたことは、もう忘れて。僕の生涯は短かったけど、喪子姉さんと過ごした時間はでも大切な宝物だよ♡」

 子供の頃と変わらない姿のリトは大人の姿になった私の頭を撫でながら頰にキスをしてくれた。

「喪子姉さん、僕の分まで絶対リア充になってね。大丈夫、喪子姉さんの側にはいつだって僕がいるから♡ では僕も幸せになるよ……」

 リトは泣きじゃくる私の頭を優しく胸に抱き寄せた。

「リトッ!!!」

 リトは震えている私の身体をそっと押し倒した。

「僕が喪子姉さんに会えるのはこれが最後だから『男の子の愛し方』を肌で教えてあげるね♡」

 リトはソフトな声色でささやきながら、私の首筋に唇を這わせる。

「男の子を愛するのに決まった方法なんてなくて、結局は十人十色なんだよ。心を開いて、誠心誠意ぶつかっていくしかない」

 私は小さく息を吸い込んで裸身をブルッと震わせた。

「喪子姉さんになら出来るよ♡ 好きな男の子に『好き』と言うこと。唇に唇を重ねること。肌に肌を合わせて『愛している』と目で、指で伝えること」

 私の全身が過敏になって、肌の上をリトの吐息が滑っただけでも甘い疼きがこみあげてくる。
 ゆったりと横たわった私は長いまつ毛を伏せてうっとりとリトを見上げる。
 私は興奮で頰を赤らめながら舌の先でペロリと唇を舐めてリトの唇にキスしていった。

「リトの可愛さは昔から変わらないわね♡ キュートな声も淫らな身体も、食べちゃいたいくらいプリチーだわ~」

 私は手をリトのヒップへあてがった。人差し指を割れ目に這わせて、アナルの位置を確認する。

「あッ! ら、らめぇ♡」

 リトは私がしようとしていることに気づいて、甘い悲鳴をあげた。けれど私はそんな悲鳴などまったく気にせず、人差し指を菊門へ挿入していく。

「ああ~ッ♡ もッ、喪子姉さ~ん!!!」

 リトは私の指で直腸をかきまわされて四肢を痙攣させた。狭間から湧き起こるエクスタシーの波は幾重にもこみあげてますます増大していく。

「もッ、喪子姉さんの指がぁッ♡ 中でペニスと擦れて……。ああん、僕、おちりの穴が感じるのッ! もっと激しくかきまぜてぇッ!」
「お尻の穴に入れられて喜ぶだなんて、リトってオメガみたい♡」
「そりゃあ、そうだよ♡ だって、は……」

 リトが何か言いかけたところで、私はアナルに挿入した指を2本に増やして、直腸の内壁をバラバラにえぐりあげた。

「熱いッ♡ 燃えちゃうぅ!!!」

 指を引っこ抜くと、私は自分のペニスをリトの中に挿入する。
 リトは甘い声で叫んで、私の胸に乳首をこすりつけた。大きく開いた両脚に力を入れてヒップを浮かし、一心不乱に振り立てる。おかげでただでさえ締め付けのきつい菊門がぐねぐねと淫らに動いて、私の怒張を魅力的に刺激する。

「喪子姉さん、そんなに動かしたら……。あうッ」

 とうとう私はこらえきれずに射精してしまった。

「ああッ、リトォォォォォォォォォォォォ!!!」

 絶頂の声をあげて、汗にまみれたリトの裸身をぐったりと私の胸にもたせかけた。

「リト、大丈夫?」

 私はまだ繋がったままの下半身を心配そうに見降ろした。ペニスを挿入した時にアナルが避けたらしく、鮮血が太腿についている。
 私は大粒の涙を浮かべてリトに抱きついていった。すぼめた唇を頰や唇に押し付けていく。

「私はこの歳になっても『男の子の愛し方』なんてよく分からない喪女だけど、私なりのやり方で男の子を愛してみようと思うの。だから、もっともっとリトを犯したい! 二度と忘れられないくらいリトを感じさせて!」
「いいよ……この身体でエッチ出来るのはもう最後だから存分に僕を味わって♡」

 甘えた声に触発されて、リトの中に挿入されたままの剛棒がまたもや硬くそそり勃ってきた。私はリトの太腿を片方抱え込む。

「リト♡」

 そして完全に復活したペニスをリトの中で律動させた。リトの菊門は太竿をねっとりと締めつける。

「リトの中って、オメガに匹敵するぐらい最高にエクスタシーだわ♡」
「僕も最高にエクスタシーッ!」

 リトは歓喜の涙を流して弓なりにのけぞった。棒のように硬く太いペニスで中を激しく突きあげると、リトの身体中に電流のような快感が走りまわる。

「あああ~ッ! もう昇天しちゃうぅ~……文字通り昇天するよぉ~ッ!!!」

 リトは再び絶頂に達して大声で叫び、汗にまみれた全身を痙攣させた。

「う、リト……あうッ!」

 私は下腹からこみあげてくる快感にうめき声をあげた。煮えたぎる喪女汁をリトの身体の中に大量放出する。
 私は恍惚の表情で救いを求めるようにリトへ両手を差し伸べる。
 リトは息を弾ませてその身をきつく抱きしめた。

「喪子姉さん……愛してる……またで……」

 リトは私の腕の中でそっと目を閉じると、全身がまばゆい光に包まれていく。

「リトォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!」

 光に包まれたリトの身体は粒子となって、きらきらと霧散し、私の腕の中から消えていった。

「ひっぐ、ひっぐ。リト……私、生きるよ! 生きて絶対にリア充側の女になるから! だから私のことはもう心配しないで……。もう自分の足で歩けるから。強く生きるから。一足先にそっちで待っててね……」


ーーー


 鼻孔をピクピクさせると、スパイシーかつ香ばしい匂いが敏感な粘膜を刺激する。

「喪子姉さん、起きて~! 朝だよぉ♡」

 いきなり頭上で声がして、私はガバッと飛び起きた。

「……あれ? この声は……」

 寝起きでショボショボする目をキョトキョトしばたいて周囲を見まわす。目の前にキュートな男の子を見つけて眉根を寄せた。

「オメガ……オメガなのねッ!!!」
「そうだよ♡ 昨日は帰りが遅くなっちゃってごめんなさい。喪子姉さんがもう一つバイブが欲しいって言ってたから隣町にある大人のオモチャ屋さんまで行ったんだけど、途中で道に迷っちゃったんだ。なんとか目的地にたどり着いたんだけど、帰り道がどうしても自信なくて……。偶然、大人のオモチャ屋さんのオーナーが喪子姉さんのお母さんだったから仕事が終わるのを待って、帰りは送ってもらったんだ。ホント助かったよ♡」

 オメガはいつもの裸エプロン姿で、ニコニコ笑いながら見降ろしている。

「良かった……ホントに良かった! 私のことが嫌いになったんじゃなかったのね! もう二度と会えないかと思っちゃったわッ!!!」

 私は泣きそうな顔になってオメガの身体にしがみついた。

「……これ、私の妄想の中とかじゃないよね? 私が現実と空想の区別がつかなくなって1人で勝手に盛り上がってるみたいなホラーなオチじゃないよね?」
「大丈夫だよぉ♡ 喪子姉さんの頭は正常だから安心して」
「ホントに? ほら、私って長年2次元の世界でしか恋愛してこなかったから、たまに1人で喋ってたりして周りの人間からドン引きされること多いのよね……」
「じゃあ、僕が証拠を見せてあげる♡」

 オメガは私の下半身に手をのばした。薄汚れたベルトをはずし、チャックを一気に降ろす。

「ちょっと、何する気?」

 薄目を開けて様子を見ている私に、オメガは真剣な表情で説明した。

「僕ね、これから喪子姉さんが大好きなフェラチオしてあ・げ・る♡ そしたら、これは現実なんだ、って分かるでしょ?」
「なるほど、確かに分かるかも」

 私はこくっとうなずくと、オメガにジーンズを脱がされた。

「わ~い♡ 喪子姉さんのオチンポ、まだ触ってもいないのに硬くなっちゃってるよぉ。もっと舐めたらヌルヌルになっちゃうね!」
「もう、オメガったら……うわッ」

 朝勃ちしているペニスを可愛い口でぱっくり咥えこまれた。私の身体にゾクゾクッと震えが走る。
 オメガは勃起の根元を片手でつかみ、剛直の裏腹を舌の平らな部分でペロペロ舐めあげた。

「僕ね、喪子姉さんの舐めるの大好き♡」

 と言って、今度は頰をすぼませるようにして大きな亀頭を吸いたて始める。

「早くも出ちゃいそう……オメガったらホント上達したわね♡」

 上ずった声をあげる私のモノはもはや完全に屹立している。

「んふッ、ふむぅッ……。あんッ、喪子姉さんの溢れてきたぁ♡」

 オメガのチェリーピンクの美唇は透明な液で濡れそぼっていた。それを舌の先でペロリと舐める。

「あ~ん♡ 僕、喪子姉さんとしたくなってきたよぉ~」

 オメガは背中に両手をまわしてリボンをほどき、肩ヒモに頭をくぐらせてエプロンを脱ぐ。その姿をまじまじと見つめた私はオメガにリトの面影を感じた。なんでだろう?

「僕ね、喪子姉さんと初めて会った時、何故か他人の気がしなかったんだ。ずっと前から喪子姉さんのことを知っていたような不思議な感じがしてね。なんだか懐かしく思ったんだ。僕はの頃からから喪子姉さんと結ばれる運命だったんだよ!」
「きっと、そうね……私、どんなにイヤなことや悲しいことがあっても、オメガと一緒にいると心の底から元気が出てくるの。オメガと繋がると、身体中からパワーが出てきて、『明日も頑張ろう!』って思えるの。だから好き! オメガが大好き! 永遠に私の側から離れないでッ!」
「大丈夫、喪子姉さんの側にはいつだって僕がいるから♡ ――きっと来世でも僕たちは巡り会えるよ」
「――来世でも?」

 そういえば、リトも消える直前にそんなこと言ってたような。
 オメガとリトって不思議と何か似てる気がするけど……まさかね。

「オメガ……来世でも一緒にいてくれるなら私と結婚しない?」
「結婚してくれるの⁉︎」
「まあ、そこそこ貯金もあるから結婚式とかも出来ないことはないわよ♡」
「僕たち、夫婦になれるんだ! わ~い、わ~い♡」

 絶対にリア充側の女になるっていうリトとの約束は果たせそうね。
 きっとリトも喜んでくれるわ♡
 リト、見てる? 今、私はこんなにも幸せ。
 喪女の私が男の子と愛し合う日が来るなんて一昔前の私には到底信じられない光景だったろうなぁ。
 自分に自信が持てず、その劣等感を異性にぶつけるだけのつまらない日々とはもうさよなら。
 私とオメガの希望に満ち溢れた家庭生活はこうして幕を開けた。
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