1 / 51
一章
1.持たざる男の恋
しおりを挟む
俺は何も持たずに生まれた。この国…オランレリア王国での身分、家族、魔力、容姿、運、夢、希望…何ひとつ持っていない。
いや、一つだけ持っていた…。それは親が残した借金だ。
俺の親は、国境を守る国有数の貴族、エヴラール辺境伯家から金を持ち逃げしたのだ。使用人だった両親は赤子の俺を残したまま逃げないと辺境伯を信用させた上で俺を置き去りにし夜逃げするという実に姑息な真似をしたため、俺は物心つく前から周囲に蔑まれ育った。今は辺境伯の温情で修道院の下男として働きながら細々と借金を返している。
せめて美しい容姿なら、この生い立ちも悲劇的な意味合いを持ったのだろうが…。俺はダークブラウンの髪に、同じ色の目という、この国で最も多い色をしている。そして顔の造形も…大きくも小さくもない目に小ぶりな鼻という凡庸さ。凡庸な容姿にこの生い立ちは、喜劇にしかならない。
そんな俺にも親切にしてくれる人が、三人だけいる。今日は週末。夕方から信心深い信者たちは礼拝に訪れるだろう。きっとあの三人も…。
俺は朝早く起きて掃除などの仕事を済ませると、修道院の調理場に向かい少ない給料で買った材料でクッキーを焼いた。焼きたてのクッキーを小さな包に入れてポケットにしまい、教会に向かって駆け出す。
教会の主聖堂は既に祈りに包まれていた。主聖堂正面の出入り口付近には下位の神父たちが数人、寄付を入れてもらうための募金箱を持って立っている。俺はその一番後ろに並んだ。募金の金額が少ないと叱られるから、なるべくいい場所に立ちたかったが、仕方がない。
今日はどうしても、あの人に会いたいのだ。
礼拝が終わり、一番はじめに募金箱を持つ俺の前に現れたのは年老いた紳士だった。
「ノア、今日も感心だね。」
「クレマン様!ありがとうございます!」
クレマンはにこりと笑うと、皺だらけの手で募金箱に銀貨を一枚入れる。そう、この老紳士が、俺に親切な三人のうちの一人。クレマンは礼拝に訪れると必ず俺を見つけて、募金してくれる。募金額はいつも、銀貨一枚!これ一枚で、俺の募金の目標額は達成されるのだ。本当にありがたい。俺は深々と頭を下げた。
「それより、相変わらずノアは細いし小さいな。何歳になるんだい?」
「十四です 」
「十四?!十四の男だろう?それでこんなに細いのかい…?色も白くて不健康そうだ…。ちゃんと食べているのかね?」
「は、はあ… 」
修道院は弱肉強食。満足に食べられている訳ではないが、あまり同情されるのも好きではなかったから俺は曖昧に誤魔化した。すると、商会を経営して羽ぶりがいいらしいクレマンは「ちゃんとお食べ。」と言ってもう一枚銀貨を入れて帰って行く。俺は来週でいいのに!と思ったが言い出せずに笑顔でお辞儀をした。
お辞儀をして顔を上げると、今度は歳のころ四十は過ぎているであろう中年の男が立っていた。質の良くなさそうな服を着た、髪もボサボサ、髭だらけの顔の陰気な男は無言で俺の募金箱に銅貨を入れ、帰って行く。
その男が、二人目の親切な男。この男の事は何も知らないが、何故かいつも俺に寄付をくれるのだ。寄付が目標額に達しないと夕飯が食べられないどころか給料を減らされるから、名前なんて知らなくていい!とにかくありがたい存在だ。
そして、最後の一人は…。
俺に親切な三人のうちの、最後の一人…。彼はローレン・エドガー。エドガー家は代々、騎士を務め当主はみなナイトの称号を持つ。長男であるローレンも、騎士を目指して鍛えているようで、遠目から見ても同じ歳とは思えない逞しい体躯をしている。そして艶やかな金の髪に、深い緑の瞳…彼は恵まれた体型に加え眉目秀麗な男だった。特に緑色の瞳は光があたると金色の光彩を帯びる、不思議な宝石のように見える。その光彩は魔力が高い証拠でもあるらしいのだが…、初めて寄付をもらい、間近で目が合った時、俺は一瞬で恋に落ちた。
この国では同性婚も認められているし、男しかいない環境の修道院では、男性同士で恋をすることは珍しくはない。しかし…十四の歳まで、俺は誰かを恋しいなどと思ったことはなかった。それなのに…魔法にかけられたかのように、俺は恋に落ちてしまったのだ。
彼…、ローレンは、同じ歳なのに痩せてみすぼらしい男に同情したのか、毎回必ず俺のところに銅貨を入れてくれる。
ローレンは容姿だけでなく心も美しい…。理由は寄付のことだけではない。
俺がひそかに教会の裏庭で飼っている猫に、ローレンは餌をあげてくれているのだ。その猫、エリーは俺にしか懐いていなかったのだが、ローレンには自ら寄って行った。その心根のよさは、猫にも通じるのだろうと俺は感心した。
俺はローレンが近付いてくるのを今か今かとじっと待った。ローレンは両親と歳の離れた弟、家族に囲まれていつものように周囲に挨拶をしながらゆっくりと出口に向かって歩いてくる。もう少しだ…。
今日は募金と、いつも猫に餌をあげてくれるお礼にクッキーを渡して、それと一緒に先日ローレンが落としたロザリオを渡すつもりなのだ。エリーと遊んでいたローレンがロザリオを落としたところを、たまたま俺は見ていた。ロザリオは十字架部分にローレンと同じ瞳の色の貴石があしらわれた高価そうなものだった。しかし年代物と思われるそれは、何かのひょうしにチェーンが切れたようだ。この国では子どもが十歳になった記念に、親が祈りに使うロザリオを贈る慣わしがある。歴史ある家では、代々使われている物を贈るとも聞いた。すごく、大切なものかも知れない…。
遺失物担当の神父に預けると懐に入れてしまう可能性が高く信用できないので、こっそり自分で持っていた。でも規則を破って自分で持っていたと分かると、神父たちに責められるだろうからクッキーの包みの中に入れて渡すことにした。
ローレンは今日も俺の募金箱の前にやってきて一礼すると、そっと銅貨を一枚入れる。
俺は精一杯勇気を振り絞って声をかけた。
「あの…!いつもありがとうございます。募金と…俺の猫に餌、あげてもらってて。これ、お礼です!」
「え…… 」
「クッキーです 」
「そう…。ありがとう 」
ローレンはあまり高価なものではないと分かると受け取ってからニコリと笑ってお辞儀をしてくれた。
しかしすぐに、袋の重みに気付いたようで、訝し気な顔をする。そしてその場で袋を開けられてしまう。
「あの、それは…!」
「これ、ロザリオ…!俺のだ!ずっと探していたんだ…!どこにあった?!」
「えっと、裏庭に… 」
「ありがとう!」
ローレンは深々とお辞儀をして感謝の言葉を口にした。やはりとても大切なものだったんだ。良かった…返せて。ほっとしたのも束の間、すぐに、近くにいた神父たちが集まって来た。
「ノア!それはいつ拾ったんだ?どうしてそれを遺失物係りに渡さなかったのだ?ローレン様はずっと探されていて、教会に問い合わせもいただいていたのだぞ!」
「見つけたのは、つい最近で… 」
「本当か?!お前だからなあ、ノア!それ、盗むつもりだったんじゃないか?!」
「違います!そんなこと…思ってもいません!」
「じゃあなぜこそこそと…!」
「お待ちください!」
神父たちの追及を、ローレンは一喝した。声まで凛として美しい。ローレンは眉を寄せて神父たちを睨む。
「彼は確かに私に返してくれました。しかも、切れたチェーンを直してくれている。私は彼を信じます 」
ローレンの言葉に、神父たちは焦って反論する。
「ローレン様はコイツの出自をご存じないからそんなことを…!」
「彼の生まれがどのようなものだとしても、彼がロザリオを返してくれたという事実は揺るがない 」
ローレンの強い口調と毅然とした態度に、ついに神父たちは肩を竦めて、帰って行った。俺がお礼を言うよりも先に、ローレンは俺にもう一度深々と礼をした。
「十歳の記念に父からいただいた、大切なものなのです。ありがとう 」
そして顔を上げると微笑んだ。
ああ…。
ローレン…。貴方はやはり、心まで美しい方だった…。
俺はもう一度、恋に落ちた。
いや、一つだけ持っていた…。それは親が残した借金だ。
俺の親は、国境を守る国有数の貴族、エヴラール辺境伯家から金を持ち逃げしたのだ。使用人だった両親は赤子の俺を残したまま逃げないと辺境伯を信用させた上で俺を置き去りにし夜逃げするという実に姑息な真似をしたため、俺は物心つく前から周囲に蔑まれ育った。今は辺境伯の温情で修道院の下男として働きながら細々と借金を返している。
せめて美しい容姿なら、この生い立ちも悲劇的な意味合いを持ったのだろうが…。俺はダークブラウンの髪に、同じ色の目という、この国で最も多い色をしている。そして顔の造形も…大きくも小さくもない目に小ぶりな鼻という凡庸さ。凡庸な容姿にこの生い立ちは、喜劇にしかならない。
そんな俺にも親切にしてくれる人が、三人だけいる。今日は週末。夕方から信心深い信者たちは礼拝に訪れるだろう。きっとあの三人も…。
俺は朝早く起きて掃除などの仕事を済ませると、修道院の調理場に向かい少ない給料で買った材料でクッキーを焼いた。焼きたてのクッキーを小さな包に入れてポケットにしまい、教会に向かって駆け出す。
教会の主聖堂は既に祈りに包まれていた。主聖堂正面の出入り口付近には下位の神父たちが数人、寄付を入れてもらうための募金箱を持って立っている。俺はその一番後ろに並んだ。募金の金額が少ないと叱られるから、なるべくいい場所に立ちたかったが、仕方がない。
今日はどうしても、あの人に会いたいのだ。
礼拝が終わり、一番はじめに募金箱を持つ俺の前に現れたのは年老いた紳士だった。
「ノア、今日も感心だね。」
「クレマン様!ありがとうございます!」
クレマンはにこりと笑うと、皺だらけの手で募金箱に銀貨を一枚入れる。そう、この老紳士が、俺に親切な三人のうちの一人。クレマンは礼拝に訪れると必ず俺を見つけて、募金してくれる。募金額はいつも、銀貨一枚!これ一枚で、俺の募金の目標額は達成されるのだ。本当にありがたい。俺は深々と頭を下げた。
「それより、相変わらずノアは細いし小さいな。何歳になるんだい?」
「十四です 」
「十四?!十四の男だろう?それでこんなに細いのかい…?色も白くて不健康そうだ…。ちゃんと食べているのかね?」
「は、はあ… 」
修道院は弱肉強食。満足に食べられている訳ではないが、あまり同情されるのも好きではなかったから俺は曖昧に誤魔化した。すると、商会を経営して羽ぶりがいいらしいクレマンは「ちゃんとお食べ。」と言ってもう一枚銀貨を入れて帰って行く。俺は来週でいいのに!と思ったが言い出せずに笑顔でお辞儀をした。
お辞儀をして顔を上げると、今度は歳のころ四十は過ぎているであろう中年の男が立っていた。質の良くなさそうな服を着た、髪もボサボサ、髭だらけの顔の陰気な男は無言で俺の募金箱に銅貨を入れ、帰って行く。
その男が、二人目の親切な男。この男の事は何も知らないが、何故かいつも俺に寄付をくれるのだ。寄付が目標額に達しないと夕飯が食べられないどころか給料を減らされるから、名前なんて知らなくていい!とにかくありがたい存在だ。
そして、最後の一人は…。
俺に親切な三人のうちの、最後の一人…。彼はローレン・エドガー。エドガー家は代々、騎士を務め当主はみなナイトの称号を持つ。長男であるローレンも、騎士を目指して鍛えているようで、遠目から見ても同じ歳とは思えない逞しい体躯をしている。そして艶やかな金の髪に、深い緑の瞳…彼は恵まれた体型に加え眉目秀麗な男だった。特に緑色の瞳は光があたると金色の光彩を帯びる、不思議な宝石のように見える。その光彩は魔力が高い証拠でもあるらしいのだが…、初めて寄付をもらい、間近で目が合った時、俺は一瞬で恋に落ちた。
この国では同性婚も認められているし、男しかいない環境の修道院では、男性同士で恋をすることは珍しくはない。しかし…十四の歳まで、俺は誰かを恋しいなどと思ったことはなかった。それなのに…魔法にかけられたかのように、俺は恋に落ちてしまったのだ。
彼…、ローレンは、同じ歳なのに痩せてみすぼらしい男に同情したのか、毎回必ず俺のところに銅貨を入れてくれる。
ローレンは容姿だけでなく心も美しい…。理由は寄付のことだけではない。
俺がひそかに教会の裏庭で飼っている猫に、ローレンは餌をあげてくれているのだ。その猫、エリーは俺にしか懐いていなかったのだが、ローレンには自ら寄って行った。その心根のよさは、猫にも通じるのだろうと俺は感心した。
俺はローレンが近付いてくるのを今か今かとじっと待った。ローレンは両親と歳の離れた弟、家族に囲まれていつものように周囲に挨拶をしながらゆっくりと出口に向かって歩いてくる。もう少しだ…。
今日は募金と、いつも猫に餌をあげてくれるお礼にクッキーを渡して、それと一緒に先日ローレンが落としたロザリオを渡すつもりなのだ。エリーと遊んでいたローレンがロザリオを落としたところを、たまたま俺は見ていた。ロザリオは十字架部分にローレンと同じ瞳の色の貴石があしらわれた高価そうなものだった。しかし年代物と思われるそれは、何かのひょうしにチェーンが切れたようだ。この国では子どもが十歳になった記念に、親が祈りに使うロザリオを贈る慣わしがある。歴史ある家では、代々使われている物を贈るとも聞いた。すごく、大切なものかも知れない…。
遺失物担当の神父に預けると懐に入れてしまう可能性が高く信用できないので、こっそり自分で持っていた。でも規則を破って自分で持っていたと分かると、神父たちに責められるだろうからクッキーの包みの中に入れて渡すことにした。
ローレンは今日も俺の募金箱の前にやってきて一礼すると、そっと銅貨を一枚入れる。
俺は精一杯勇気を振り絞って声をかけた。
「あの…!いつもありがとうございます。募金と…俺の猫に餌、あげてもらってて。これ、お礼です!」
「え…… 」
「クッキーです 」
「そう…。ありがとう 」
ローレンはあまり高価なものではないと分かると受け取ってからニコリと笑ってお辞儀をしてくれた。
しかしすぐに、袋の重みに気付いたようで、訝し気な顔をする。そしてその場で袋を開けられてしまう。
「あの、それは…!」
「これ、ロザリオ…!俺のだ!ずっと探していたんだ…!どこにあった?!」
「えっと、裏庭に… 」
「ありがとう!」
ローレンは深々とお辞儀をして感謝の言葉を口にした。やはりとても大切なものだったんだ。良かった…返せて。ほっとしたのも束の間、すぐに、近くにいた神父たちが集まって来た。
「ノア!それはいつ拾ったんだ?どうしてそれを遺失物係りに渡さなかったのだ?ローレン様はずっと探されていて、教会に問い合わせもいただいていたのだぞ!」
「見つけたのは、つい最近で… 」
「本当か?!お前だからなあ、ノア!それ、盗むつもりだったんじゃないか?!」
「違います!そんなこと…思ってもいません!」
「じゃあなぜこそこそと…!」
「お待ちください!」
神父たちの追及を、ローレンは一喝した。声まで凛として美しい。ローレンは眉を寄せて神父たちを睨む。
「彼は確かに私に返してくれました。しかも、切れたチェーンを直してくれている。私は彼を信じます 」
ローレンの言葉に、神父たちは焦って反論する。
「ローレン様はコイツの出自をご存じないからそんなことを…!」
「彼の生まれがどのようなものだとしても、彼がロザリオを返してくれたという事実は揺るがない 」
ローレンの強い口調と毅然とした態度に、ついに神父たちは肩を竦めて、帰って行った。俺がお礼を言うよりも先に、ローレンは俺にもう一度深々と礼をした。
「十歳の記念に父からいただいた、大切なものなのです。ありがとう 」
そして顔を上げると微笑んだ。
ああ…。
ローレン…。貴方はやはり、心まで美しい方だった…。
俺はもう一度、恋に落ちた。
402
お気に入りに追加
790
あなたにおすすめの小説
学園と夜の街での鬼ごっこ――標的は白の皇帝――
天海みつき
BL
族の総長と副総長の恋の話。
アルビノの主人公――聖月はかつて黒いキャップを被って目元を隠しつつ、夜の街を駆け喧嘩に明け暮れ、いつしか"皇帝"と呼ばれるように。しかし、ある日突然、姿を晦ました。
その後、街では聖月は死んだという噂が蔓延していた。しかし、彼の族――Nukesは実際に遺体を見ていないと、その捜索を止めていなかった。
「どうしようかなぁ。……そぉだ。俺を見つけて御覧。そしたら捕まってあげる。これはゲームだよ。俺と君たちとの、ね」
学園と夜の街を巻き込んだ、追いかけっこが始まった。
族、学園、などと言っていますが全く知識がないため完全に想像です。何でも許せる方のみご覧下さい。
何とか完結までこぎつけました……!番外編を投稿完了しました。楽しんでいただけたら幸いです。
【完結】乙女ゲーの悪役モブに転生しました〜処刑は嫌なので真面目に生きてたら何故か公爵令息様に溺愛されてます〜
百日紅
BL
目が覚めたら、そこは乙女ゲームの世界でしたーー。
最後は処刑される運命の悪役モブ“サミール”に転生した主人公。
死亡ルートを回避するため学園の隅で日陰者ライフを送っていたのに、何故か攻略キャラの一人“ギルバート”に好意を寄せられる。
※毎日18:30投稿予定
モフモフになった魔術師はエリート騎士の愛に困惑中
risashy
BL
魔術師団の落ちこぼれ魔術師、ローランド。
任務中にひょんなことからモフモフに変幻し、人間に戻れなくなってしまう。そんなところを騎士団の有望株アルヴィンに拾われ、命拾いしていた。
快適なペット生活を満喫する中、実はアルヴィンが自分を好きだと知る。
アルヴィンから語られる自分への愛に、ローランドは戸惑うものの——?
24000字程度の短編です。
※BL(ボーイズラブ)作品です。
この作品は小説家になろうさんでも公開します。
オメガ修道院〜破戒の繁殖城〜
トマトふぁ之助
BL
某国の最北端に位置する陸の孤島、エゼキエラ修道院。
そこは迫害を受けやすいオメガ性を持つ修道士を保護するための施設であった。修道士たちは互いに助け合いながら厳しい冬越えを行っていたが、ある夜の訪問者によってその平穏な生活は終焉を迎える。
聖なる家で嬲られる哀れな修道士たち。アルファ性の兵士のみで構成された王家の私設部隊が逃げ場のない極寒の城を蹂躙し尽くしていく。その裏に棲まうものの正体とは。
期待外れの後妻だったはずですが、なぜか溺愛されています
ぽんちゃん
BL
病弱な義弟がいじめられている現場を目撃したフラヴィオは、カッとなって手を出していた。
謹慎することになったが、なぜかそれから調子が悪くなり、ベッドの住人に……。
五年ほどで体調が回復したものの、その間にとんでもない噂を流されていた。
剣の腕を磨いていた異母弟ミゲルが、学園の剣術大会で優勝。
加えて筋肉隆々のマッチョになっていたことにより、フラヴィオはさらに屈強な大男だと勘違いされていたのだ。
そしてフラヴィオが殴った相手は、ミゲルが一度も勝てたことのない相手。
次期騎士団長として注目を浴びているため、そんな強者を倒したフラヴィオは、手に負えない野蛮な男だと思われていた。
一方、偽りの噂を耳にした強面公爵の母親。
妻に強さを求める息子にぴったりの相手だと、後妻にならないかと持ちかけていた。
我が子に爵位を継いで欲しいフラヴィオの義母は快諾し、冷遇確定の地へと前妻の子を送り出す。
こうして青春を謳歌することもできず、引きこもりになっていたフラヴィオは、国民から恐れられている戦場の鬼神の後妻として嫁ぐことになるのだが――。
同性婚が当たり前の世界。
女性も登場しますが、恋愛には発展しません。
オメガパンダの獣人は麒麟皇帝の運命の番
兎騎かなで
BL
パンダ族の白露は成人を迎え、生まれ育った里を出た。白露は里で唯一のオメガだ。将来は父や母のように、のんびりとした生活を営めるアルファと結ばれたいと思っていたのに、実は白露は皇帝の番だったらしい。
美味しい笹の葉を分けあって二人で食べるような、鳥を見つけて一緒に眺めて楽しむような、そんな穏やかな時を、激務に追われる皇帝と共に過ごすことはできるのか?
さらに白露には、発情期が来たことがないという悩みもあって……理想の番関係に向かって奮闘する物語。
ヒロイン不在の異世界ハーレム
藤雪たすく
BL
男にからまれていた女の子を助けに入っただけなのに……手違いで異世界へ飛ばされてしまった。
神様からの謝罪のスキルは別の勇者へ授けた後の残り物。
飛ばされたのは神がいなくなった混沌の世界。
ハーレムもチート無双も期待薄な世界で俺は幸せを掴めるのか?
嫁側男子になんかなりたくない! 絶対に女性のお嫁さんを貰ってみせる!!
棚から現ナマ
BL
リュールが転生した世界は女性が少なく男性同士の結婚が当たりまえ。そのうえ全ての人間には魔力があり、魔力量が少ないと嫁側男子にされてしまう。10歳の誕生日に魔力検査をすると魔力量はレベル3。滅茶苦茶少ない! このままでは嫁側男子にされてしまう。家出してでも嫁側男子になんかなりたくない。それなのにリュールは公爵家の息子だから第2王子のお茶会に婚約者候補として呼ばれてしまう……どうする俺! 魔力量が少ないけど女性と結婚したいと頑張るリュールと、リュールが好きすぎて自分の婚約者にどうしてもしたい第1王子と第2王子のお話。頑張って長編予定。他にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる