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重なる
重なる-4-
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胡桃の表情が変わった。夢の中にいるのに二人とも考える事はやめていなくて、剛史は続きをしたいと彼女の上着を脱がせようとしている。
――私の望みは
願いは、浮かんだ。
自分がこんな事を考えていたなんて驚いた。
いつからこんな風に狂ってしまったのか。
……でも受け入れる。
頭の隅でずっと考えていた事だから、否定していたけど私の望みはやっぱりこれだと思ってしまった。
胡桃は彼に向き合って、静かに言う。
「剛史さん、私と結婚して」
「……」
彼の答えを待つ。
どんな答えでも次に言うことは決めていた。
長かったような、短かったような、体感は分からなかったが剛史は目を伏せて口を開ける。
「…………それは、できない」
――そっか
一割の期待があった。
あの人と別れて、自分の元へ行くよと笑ってくれたら、胡桃は泣いて喜んで、もしかしたら自分の恐ろしい言葉を紡がなかったのに。
でも九割は分かっていた。
多分、それこそ夢物語であり得ないだろうとも思っていた。この三年間の彼の全てを見てきているから、今更そんな事は言わないだろう。
だから、もう言うしかなかった。
この体から溢れる激情はもう止まらない。
激しく抱き合ってしまったから、止まらない。
もう、後には戻れないのだ。
「なら……」
声は冷静だった。とても落ち着いてた。今まで彼と触れ合っていた中で一番静かだった。
彼の瞳と合う。じっと奥まで見つめ合った。自分はきっと微笑んでいたような気がする。
「それなら、私を殺して」
――私の望みは
願いは、浮かんだ。
自分がこんな事を考えていたなんて驚いた。
いつからこんな風に狂ってしまったのか。
……でも受け入れる。
頭の隅でずっと考えていた事だから、否定していたけど私の望みはやっぱりこれだと思ってしまった。
胡桃は彼に向き合って、静かに言う。
「剛史さん、私と結婚して」
「……」
彼の答えを待つ。
どんな答えでも次に言うことは決めていた。
長かったような、短かったような、体感は分からなかったが剛史は目を伏せて口を開ける。
「…………それは、できない」
――そっか
一割の期待があった。
あの人と別れて、自分の元へ行くよと笑ってくれたら、胡桃は泣いて喜んで、もしかしたら自分の恐ろしい言葉を紡がなかったのに。
でも九割は分かっていた。
多分、それこそ夢物語であり得ないだろうとも思っていた。この三年間の彼の全てを見てきているから、今更そんな事は言わないだろう。
だから、もう言うしかなかった。
この体から溢れる激情はもう止まらない。
激しく抱き合ってしまったから、止まらない。
もう、後には戻れないのだ。
「なら……」
声は冷静だった。とても落ち着いてた。今まで彼と触れ合っていた中で一番静かだった。
彼の瞳と合う。じっと奥まで見つめ合った。自分はきっと微笑んでいたような気がする。
「それなら、私を殺して」
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