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重なる
重なる-2-
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ベッドの奥にある窓一面に海が見えて美しかった。カーテンが開かれていて、日差しも波の音も全部感じる事ができる。
「キレイ」
「そうだな」
後ろからそっと抱かれて、胡桃ははっとした。
「剛史さん、見られちゃう」
「大丈夫。これマジックミラーで向こう側は見えないらしいから。まあそうでないとプライバシーもあったもんじゃないだろ」
確かに。でも開かれた場所で誰かが通ってくるのではとドキドキする。
今までは隠れて、決して誰にも知られないようにとホテルの潜んだ場所で、家の奥の方で、下界から離れた所で二人はいた。
それが普通だと、仕方ないのだと諦めて。
胡桃は空想で終わっていた。美しい場所で、二人きりでいられる。この夢のような場所にいる。
向き合って、流れるように唇を合わせる。
今は早く抱かれたくて堪らない。車の中で濡らされた奥の部分がきゅうっと引き締まる。
一度離れて互いを見つめ合って、また舌を食い込ませるように絡ませる。
彼の唇が柔らかい。舌を捻るように口腔内を侵し続ける。
「んぅっ……ん」
「……ん……やっと……正直になった」
微笑んでそのまま胡桃を抱えてベッドまで連れて行く。
目と鼻の先は真っ白な箱だった。
何も邪魔するものはない。誰からも干渉されない。ずっと願っていた二人だけの場所。
上に乗ってベルトを外す音がした。金属音が擦れる音。投げ捨ててズボンを下ろして、形があらわになる。
胡桃は唾をゴクリと飲んだ。限界まで反り返っていて、ずっと我慢させていたらしい。
手がそっと触れる。粘り着く精液。
目が爛々として自分を見下ろす姿が、支配されているようで心地良く思う。
「せっかくだから付ける」
そう言って、手に持っていた蝶々の柄の箱から一つ取り出して装着する。普段より付け心地が良かった。
本当は段階を踏んで愛し合う行為のはずなのに、今の二人はただ繋がりたかっただけで、胡桃もスカートと下着を脱ぐ。急に風通しが良くなった。
間髪入れずに剛史は自分のものをグッと入れ始める。
「ああっ」
「くっ」
声が交わる。互いにびしょびしょの中に入って混ざる。
今までしていた時よりずっとぬるっとしていて滑らかに入る。
快感が体に走るのが早い。
久しぶりだからか、これまでと違うものを使っているからか、胡桃の頭の電流が既に混線している。
「あっ、た、たけっ……ああっ」
「す、すげ……っ……やべぇ」
極上の甘美、動いていないのに挿入だけで乾いた部分にじわじわと潤いが戻る。
待ち焦がれていた、やっと来てくれたと体が喜んでいた。
ずぶずぶと淫乱な音が鳴って顔が赤くなる。期待通りだと嬉しそうに彼を誘っていく。
「や、からだが、ぁん……とまらない……の」
「まってた、ずっと、こうしたかったっ」
「たけしさっ」
最奥まで来た瞬間に剛史は体を動かし始める。それに呼応するように胡桃の体も一緒に動く。
会わなくてどれだけ経ったのかもう忘れてしまったけど、体はすぐに思い出して馴染み始める。
動くスピードが速まる。吐息の感覚も短くなっていく。
「あっ、ぁ、ああ、もうっ、だめっ」
「んっ、んん、おれ、も……」
手を強く握り合う。
このまま果てて死んでしまってもいい、と目の前の海を見ながら胡桃は思っていた。
静かな海。波音と一緒に自分の思考も途切れていく。
狂った声を上げて、互いの液体が飛び散っていった。
荒い息と共に、糸の切れた人形のようにだらりと二人はベッドに倒れ込んだ。
「キレイ」
「そうだな」
後ろからそっと抱かれて、胡桃ははっとした。
「剛史さん、見られちゃう」
「大丈夫。これマジックミラーで向こう側は見えないらしいから。まあそうでないとプライバシーもあったもんじゃないだろ」
確かに。でも開かれた場所で誰かが通ってくるのではとドキドキする。
今までは隠れて、決して誰にも知られないようにとホテルの潜んだ場所で、家の奥の方で、下界から離れた所で二人はいた。
それが普通だと、仕方ないのだと諦めて。
胡桃は空想で終わっていた。美しい場所で、二人きりでいられる。この夢のような場所にいる。
向き合って、流れるように唇を合わせる。
今は早く抱かれたくて堪らない。車の中で濡らされた奥の部分がきゅうっと引き締まる。
一度離れて互いを見つめ合って、また舌を食い込ませるように絡ませる。
彼の唇が柔らかい。舌を捻るように口腔内を侵し続ける。
「んぅっ……ん」
「……ん……やっと……正直になった」
微笑んでそのまま胡桃を抱えてベッドまで連れて行く。
目と鼻の先は真っ白な箱だった。
何も邪魔するものはない。誰からも干渉されない。ずっと願っていた二人だけの場所。
上に乗ってベルトを外す音がした。金属音が擦れる音。投げ捨ててズボンを下ろして、形があらわになる。
胡桃は唾をゴクリと飲んだ。限界まで反り返っていて、ずっと我慢させていたらしい。
手がそっと触れる。粘り着く精液。
目が爛々として自分を見下ろす姿が、支配されているようで心地良く思う。
「せっかくだから付ける」
そう言って、手に持っていた蝶々の柄の箱から一つ取り出して装着する。普段より付け心地が良かった。
本当は段階を踏んで愛し合う行為のはずなのに、今の二人はただ繋がりたかっただけで、胡桃もスカートと下着を脱ぐ。急に風通しが良くなった。
間髪入れずに剛史は自分のものをグッと入れ始める。
「ああっ」
「くっ」
声が交わる。互いにびしょびしょの中に入って混ざる。
今までしていた時よりずっとぬるっとしていて滑らかに入る。
快感が体に走るのが早い。
久しぶりだからか、これまでと違うものを使っているからか、胡桃の頭の電流が既に混線している。
「あっ、た、たけっ……ああっ」
「す、すげ……っ……やべぇ」
極上の甘美、動いていないのに挿入だけで乾いた部分にじわじわと潤いが戻る。
待ち焦がれていた、やっと来てくれたと体が喜んでいた。
ずぶずぶと淫乱な音が鳴って顔が赤くなる。期待通りだと嬉しそうに彼を誘っていく。
「や、からだが、ぁん……とまらない……の」
「まってた、ずっと、こうしたかったっ」
「たけしさっ」
最奥まで来た瞬間に剛史は体を動かし始める。それに呼応するように胡桃の体も一緒に動く。
会わなくてどれだけ経ったのかもう忘れてしまったけど、体はすぐに思い出して馴染み始める。
動くスピードが速まる。吐息の感覚も短くなっていく。
「あっ、ぁ、ああ、もうっ、だめっ」
「んっ、んん、おれ、も……」
手を強く握り合う。
このまま果てて死んでしまってもいい、と目の前の海を見ながら胡桃は思っていた。
静かな海。波音と一緒に自分の思考も途切れていく。
狂った声を上げて、互いの液体が飛び散っていった。
荒い息と共に、糸の切れた人形のようにだらりと二人はベッドに倒れ込んだ。
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