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第一章
第43話 盲点
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魔神信仰ビアゾの拠点を探し始めて一時間ほどが経過していた。
限界の二〇羽ではなく、五羽少ない一五羽同時操作だから、もう少し余裕があるかと思っていたのだがそろそろ集中力の限界がきそうだ。
「それにしてもおかしいな……もうほとんどのエリアを捜索し終わったのに、未だに手がかり一つ見つからないなんて……」
拠点があると思われる潜伏エリアを特定してくれていたので、もう少し簡単に見つけられるかと思っていたのだが、ちょっと考えが甘かったようだ。
もうほとんどのエリアを調べ終わっているのに未だに何も見つけられていないということは、もしかすると何か見逃してしまったのだろうか。
それとも王国側の調査に間違いでもあったのだろうか?
「まいったな。どちらにしろ、もう一度このエリアを一から探し直さないとダメそうだ……はぁ……」
溜息をつきつつ、一度休憩でも挟むかと考えていたその時だった。
「あ……これは……!!」
キューレの方に反応があった。
「キューレ、どうした? なにか見つけたのか?」
「はい。主さま。一八番のピクシーバードをご覧ください」
同一のユニットを召喚すると自動的に末尾に番号が振られる。
オレはキューレに預けたユニットの制御を自分に戻し、直接確認することにした。
そこに映し出されたのは古びた井戸。
どうやらピクシーバードは、その井戸の中を覗き込んでいるようだった。
水が張られていない?
「枯れ井戸か? ……はっ!? 井戸からかすかに声が!?」
くっ……盲点だった。
どうりで建物の中を探しても怪しい所が見つからないわけだ。
「よし! 周囲の井戸も並行で確認しつつ、ここはこのまま侵入させる!」
オレは他の半数のピクシーバードを井戸の周辺に移動させるように指示をだし、残りをこのエリアにある他の井戸へと向かわせることにした。
このエリアの井戸はクオータービューで場所がわかるから、他の場所もすぐに確認できるだろう。
「頼むから、このまま何事もなく終わってくれよ……」
しかし、呟いたその願いの言葉は叶わなかった。
◆
井戸に先行して侵入させたピクシーバードからは、恐れていた映像が送られてきていた。
「くっ……この世界でもやはり同じことを……」
ユニットビューに映し出されていたのは怪しげな儀式の様子だった。
それは、ゲームで何度か見たもことのある光景。
だがゲームと違い、これは現実だ。
ゲームでは「気持ち悪いな」程度で済んだとしても、現実ではそういうわけにはいかない……。
「主さま? 大丈夫ですか?」
「あぁ……大丈夫だ。しかし、この世界でもやはり魔神信仰では、自発的に魔神に命を捧げさせているのか……」
ユニットビューには、祭壇の回りで跪いて祈りを捧げる怪しいものたちの姿と……何体ものミイラ化した遺体が映し出されていた。
魔神信仰ビアゾでは、自発的に命を捧げなければ意味がないとされているのだが、このミイラになっているものたちは、おそらく信者ではない……。。
魔神信仰ビアゾの一番許せないところは、他の人間に自らの命を捧げさせているというところだ。
魔神を信仰しているものが勝手に自分の命を捧げているのならまだしも、大抵の場合は攫ってきた人間に捧げさせているのだ。
ではどうやって自発的に命を捧げさせているのか?
簡単なことだ。
人質を取ったり、脅したり、拷問にかけたりしてだ……。
「キューレは祈りを捧げている奴らを見張っててくれ、オレは囚われている人がいないか探してみる!」
「はい! なにか動きがあればすぐにお知らせします!」
枯れ井戸を拡張して作られた地下空間は思ったよりかなり大きい。
攫われて捕まっている人間がいるかもしれないので確認が必要だ。
ただ、その間に動きがあってこいつらを見失う事はさけたいので、監視をキューレに頼むことにした。
「あぁ、頼む。ではオレは残りのピクシーバードを使って捜索をいそぐ!」
魔神信仰ビアゾの信者どもは、そんなに強くなかったはず。
手強いのは信仰が一定値を超えた時に召喚される魔神の使徒だ。
ゲームではキャンペーンを受けると、奴らの信仰が値化して表示されていたのだが、今のところこの世界ではそのようなものは見つけられていない。
だからどの程度急ぐべきなのかという判断がつかないのが痛い。
出来るだけ急いで捕えられている者がいないかを確認し、いた場合は速やかに救出。
その後に、こいつらを包囲して捕まえなければならない。
まぁ本当なら捕まえるのではなく倒した方が楽なのだが、正直まだ人を殺すのには抵抗がある。
いざという時の覚悟は決めているつもりだが、できるだけそういう状況にならないようにしたいところだ……。
「主さま! もう儀式が終わりそうです。もしかすると動き出すかもしれません!」
「そうか。こちらももうすぐ調べ終わるが、囚われている者はいなさそう……いや、待て……これは……」
誰も捕らえられていないことにホッと胸を撫でおろそうとしたその時、牢屋らしき部屋を発見した。
そしてそこには……。
「くっ……攫われてきたと思われる人を発見した!」
ピクシーバードに牢屋の中を覗かせると、二人の女がぐったりと倒れていたのだった。
限界の二〇羽ではなく、五羽少ない一五羽同時操作だから、もう少し余裕があるかと思っていたのだがそろそろ集中力の限界がきそうだ。
「それにしてもおかしいな……もうほとんどのエリアを捜索し終わったのに、未だに手がかり一つ見つからないなんて……」
拠点があると思われる潜伏エリアを特定してくれていたので、もう少し簡単に見つけられるかと思っていたのだが、ちょっと考えが甘かったようだ。
もうほとんどのエリアを調べ終わっているのに未だに何も見つけられていないということは、もしかすると何か見逃してしまったのだろうか。
それとも王国側の調査に間違いでもあったのだろうか?
「まいったな。どちらにしろ、もう一度このエリアを一から探し直さないとダメそうだ……はぁ……」
溜息をつきつつ、一度休憩でも挟むかと考えていたその時だった。
「あ……これは……!!」
キューレの方に反応があった。
「キューレ、どうした? なにか見つけたのか?」
「はい。主さま。一八番のピクシーバードをご覧ください」
同一のユニットを召喚すると自動的に末尾に番号が振られる。
オレはキューレに預けたユニットの制御を自分に戻し、直接確認することにした。
そこに映し出されたのは古びた井戸。
どうやらピクシーバードは、その井戸の中を覗き込んでいるようだった。
水が張られていない?
「枯れ井戸か? ……はっ!? 井戸からかすかに声が!?」
くっ……盲点だった。
どうりで建物の中を探しても怪しい所が見つからないわけだ。
「よし! 周囲の井戸も並行で確認しつつ、ここはこのまま侵入させる!」
オレは他の半数のピクシーバードを井戸の周辺に移動させるように指示をだし、残りをこのエリアにある他の井戸へと向かわせることにした。
このエリアの井戸はクオータービューで場所がわかるから、他の場所もすぐに確認できるだろう。
「頼むから、このまま何事もなく終わってくれよ……」
しかし、呟いたその願いの言葉は叶わなかった。
◆
井戸に先行して侵入させたピクシーバードからは、恐れていた映像が送られてきていた。
「くっ……この世界でもやはり同じことを……」
ユニットビューに映し出されていたのは怪しげな儀式の様子だった。
それは、ゲームで何度か見たもことのある光景。
だがゲームと違い、これは現実だ。
ゲームでは「気持ち悪いな」程度で済んだとしても、現実ではそういうわけにはいかない……。
「主さま? 大丈夫ですか?」
「あぁ……大丈夫だ。しかし、この世界でもやはり魔神信仰では、自発的に魔神に命を捧げさせているのか……」
ユニットビューには、祭壇の回りで跪いて祈りを捧げる怪しいものたちの姿と……何体ものミイラ化した遺体が映し出されていた。
魔神信仰ビアゾでは、自発的に命を捧げなければ意味がないとされているのだが、このミイラになっているものたちは、おそらく信者ではない……。。
魔神信仰ビアゾの一番許せないところは、他の人間に自らの命を捧げさせているというところだ。
魔神を信仰しているものが勝手に自分の命を捧げているのならまだしも、大抵の場合は攫ってきた人間に捧げさせているのだ。
ではどうやって自発的に命を捧げさせているのか?
簡単なことだ。
人質を取ったり、脅したり、拷問にかけたりしてだ……。
「キューレは祈りを捧げている奴らを見張っててくれ、オレは囚われている人がいないか探してみる!」
「はい! なにか動きがあればすぐにお知らせします!」
枯れ井戸を拡張して作られた地下空間は思ったよりかなり大きい。
攫われて捕まっている人間がいるかもしれないので確認が必要だ。
ただ、その間に動きがあってこいつらを見失う事はさけたいので、監視をキューレに頼むことにした。
「あぁ、頼む。ではオレは残りのピクシーバードを使って捜索をいそぐ!」
魔神信仰ビアゾの信者どもは、そんなに強くなかったはず。
手強いのは信仰が一定値を超えた時に召喚される魔神の使徒だ。
ゲームではキャンペーンを受けると、奴らの信仰が値化して表示されていたのだが、今のところこの世界ではそのようなものは見つけられていない。
だからどの程度急ぐべきなのかという判断がつかないのが痛い。
出来るだけ急いで捕えられている者がいないかを確認し、いた場合は速やかに救出。
その後に、こいつらを包囲して捕まえなければならない。
まぁ本当なら捕まえるのではなく倒した方が楽なのだが、正直まだ人を殺すのには抵抗がある。
いざという時の覚悟は決めているつもりだが、できるだけそういう状況にならないようにしたいところだ……。
「主さま! もう儀式が終わりそうです。もしかすると動き出すかもしれません!」
「そうか。こちらももうすぐ調べ終わるが、囚われている者はいなさそう……いや、待て……これは……」
誰も捕らえられていないことにホッと胸を撫でおろそうとしたその時、牢屋らしき部屋を発見した。
そしてそこには……。
「くっ……攫われてきたと思われる人を発見した!」
ピクシーバードに牢屋の中を覗かせると、二人の女がぐったりと倒れていたのだった。
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