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Ⅰ ~邪竜をテイムしたのでついでに魔王も倒しておこうと思う~
【第102話:夢にも思わなかった】
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あれから2時間ほどの時が経っていた。
「つ、疲れた……」
オレはここまで疲れたのはいつぶりだろうかと、ぼんやり考えながら周りに目をやった。
どこまでも続くお花畑の中に、いくつもの椅子と大きなテーブル。
そのテーブルの上には山のように様々な料理や果物が積まれ、色鮮やかなドリンクが何種類も並べられている。
残念ながら肉料理は少ないが、この世界に転生して一番の豪華さだ。
そんな豪華な料理が並ぶ会場にいるのは、大小様々な無数の妖精たちと123名の竜人。
今オレたちは、彼らに囲まれて宴の真っ最中だった。
ちなみにジルはフェアリードラゴンサイズになって、オレの少し横で趣味のグルメに精を出して次から次えと料理を平らげていっている。
「それでは我らが主様と竜神様! ここで一つありがたい話をお願いします!」
「おい!? さっき話したとこだろ!? あとジル! 無限に食えるんだから食べ過ぎるなよ!?」
ついさっき3度目の適当な話を終わらせたところである。
そしてジルの前にだけ空になった大皿が高く積み上げられている。
何かもう突っ込むのにも疲れてきたぞ……。
決めた! オレ、王都に戻ったら常識人の友達を増やすんだ……。
「コウガ。これって何とかならないの?……にゃ」
オレが現実逃避していると、ルルーが責めるような視線で尋ねてくるのだが、どうにか出来るならとっくにやっている。
無理です。不可能です。諦めてます。
「ルルー。無理を言わないの。コウガも巻き込まれた側なんだから……にゃ」
リリーはやっぱりうちのパーティーの良心だった……良かった……おかしくなったの戦闘モードの時だけで……。
「ちょっとリリーさん! ルルーさん! コウガとくっつきすぎじゃないかしら?」
そこに数少ないまともな竜人代表ヴィーヴルが、話しかけてくる。
竜人の中では、ヴィーヴル以外ではゼクトたち5人も平静を保っているのだが、元来竜人は宴が好きで細かい事をあまり気にしないものが多いらしく、あまり頼りにならなかった。
まぁヴィーヴルは別のベクトルでおかしくなってて困っているのだが……契約解除……。
「「そんな事はない。これがコウガと私たちの普段の距離感なの……にゃ」」
ちなみに、2人は普段は決して腕を組んで引っ付いてきたりはしない。
どうもオレが死んだと思ったのが軽いトラウマになってしまったようで、あれからずっとべったりなのだ。
何度も謝ったが、そこまで思ってくれて嬉しい反面、自分の不甲斐なさに申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
しかし、両手に花だし役得と言えば役得なのだが、それにヴィーヴルがずっと文句を言っているので居心地が非常に悪い。
それでどうしてこんな宴になっているかと言うと、妖精女王クイの策略によるものだった。
≪妖精族としては、竜人の皆さんと友好の証として宴を催したいと思っているのですがいかがでしょうか? それに使徒様とこうしてお会いできたのも何か運命を感じますし、竜人の皆様も竜神様や主様との親交を深めたいのではないでしょうか? あと……何か忘れている気がしますがそれの祝いも兼ねて!!≫
忘れているのは、きっと魔王の野望を砕いた事じゃないかな……?
その魔王は、今はオレの後ろで召使いのように控えているが。
その一言でそのまま妖精界に移動して、宴が開かれたのだ。
何故か既に宴の準備が全て整っていたのだが……。
結局最後まで妖精女王のクイがどういった考えなのかはわからなかった。
そもそも竜人たちは魔王軍と戦っていたところからの成り行きで関わったのでまだ理解できるが、妖精族は突然現れたのだ。
いや……そう言えば数週間前から監視……じゃなくてお仕えしてたとか言ってたから突然でも無いのか?
女神様の使徒だという事を何らかの方法で知って、オレの協力を始めたと言うのが一番あり得る話なのだろうが、何故かその答えに違和感を覚える……。
「それでは使徒様。S級冒険者の試験結果の報告もございますし、そろそろ王都までお送り致しましょうか?」
そして当たり前のように知っているオレのS級冒険者の試験の事……。
とりあえずさっきストレートに聞いてみたのだが、はぐらかされてしまったし一旦置いておくしかないだろう。
「そうだな。ジルもこの『妖精の通り道』という特殊な魔法なら不快感が無いから大丈夫みたいだし、皆で帰ろうか?」
「そうね! 王都ってどんなところなのかしら! 楽しみだわ!」
そして当たり前のようについてくる気満々のヴィーヴル。
「なぁヴィーヴル。本当にオレたちについてくる気か?」
そう尋ねるオレだったのだが、もう答えはわかっていた。念のためだ。
「もちろんよ! さっきお父さんも許してくれたの聞いたでしょ?」
そうなのだ。ヴィーヴルの両親は竜神信仰の敬虔な信者なのだ。断るわけがない……。
「まぁ諦めろや! 俺たちもついて行くんだしよ!」
「そうだな。何かあれば俺たちが姫様の面倒はみるから安心してくれ」
そしてゼクトたちもついてくるそうだ……。
「そ、そうか……まぁ、一緒にいくか?」
「はい!」
嬉しそうに返事をするヴィーヴルを見てると、仕方ないかと覚悟を決める事にする。
主に現『恒久の転生竜』のメンバーからの抗議の視線に立ち向かう覚悟とか。
~
こうして一人で始まったS級試験『ドラゴンゾンビ討伐依頼』は、大所帯となって王都への帰還をはたすことになる。
メンバーは、オレ、ジル、リリーとルルー、ヴィーヴル、ゼクト達5人、それから元魔王のテトラ。
あと、何故か高位妖精のセイルもついてくる事になった。
何でも妖精族との連絡係らしいが、正直ちょっと怪しんでいる……。
ただ、助けて貰ったのも事実だし、色々としてくれているのも事実なので側にいることの許可を出した形だ。
まさかこんな大勢で帰還する事になるとは夢にも思わなかったが、最後に皆に挨拶をしてオレたちは『妖精の通り道』で王都へと帰還したのだった。
「あれ? 誰か忘れているような……?」
~神獣セツナ 視点~
≪ジルニトラ様……着いたのですが……どこに?……≫
「つ、疲れた……」
オレはここまで疲れたのはいつぶりだろうかと、ぼんやり考えながら周りに目をやった。
どこまでも続くお花畑の中に、いくつもの椅子と大きなテーブル。
そのテーブルの上には山のように様々な料理や果物が積まれ、色鮮やかなドリンクが何種類も並べられている。
残念ながら肉料理は少ないが、この世界に転生して一番の豪華さだ。
そんな豪華な料理が並ぶ会場にいるのは、大小様々な無数の妖精たちと123名の竜人。
今オレたちは、彼らに囲まれて宴の真っ最中だった。
ちなみにジルはフェアリードラゴンサイズになって、オレの少し横で趣味のグルメに精を出して次から次えと料理を平らげていっている。
「それでは我らが主様と竜神様! ここで一つありがたい話をお願いします!」
「おい!? さっき話したとこだろ!? あとジル! 無限に食えるんだから食べ過ぎるなよ!?」
ついさっき3度目の適当な話を終わらせたところである。
そしてジルの前にだけ空になった大皿が高く積み上げられている。
何かもう突っ込むのにも疲れてきたぞ……。
決めた! オレ、王都に戻ったら常識人の友達を増やすんだ……。
「コウガ。これって何とかならないの?……にゃ」
オレが現実逃避していると、ルルーが責めるような視線で尋ねてくるのだが、どうにか出来るならとっくにやっている。
無理です。不可能です。諦めてます。
「ルルー。無理を言わないの。コウガも巻き込まれた側なんだから……にゃ」
リリーはやっぱりうちのパーティーの良心だった……良かった……おかしくなったの戦闘モードの時だけで……。
「ちょっとリリーさん! ルルーさん! コウガとくっつきすぎじゃないかしら?」
そこに数少ないまともな竜人代表ヴィーヴルが、話しかけてくる。
竜人の中では、ヴィーヴル以外ではゼクトたち5人も平静を保っているのだが、元来竜人は宴が好きで細かい事をあまり気にしないものが多いらしく、あまり頼りにならなかった。
まぁヴィーヴルは別のベクトルでおかしくなってて困っているのだが……契約解除……。
「「そんな事はない。これがコウガと私たちの普段の距離感なの……にゃ」」
ちなみに、2人は普段は決して腕を組んで引っ付いてきたりはしない。
どうもオレが死んだと思ったのが軽いトラウマになってしまったようで、あれからずっとべったりなのだ。
何度も謝ったが、そこまで思ってくれて嬉しい反面、自分の不甲斐なさに申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
しかし、両手に花だし役得と言えば役得なのだが、それにヴィーヴルがずっと文句を言っているので居心地が非常に悪い。
それでどうしてこんな宴になっているかと言うと、妖精女王クイの策略によるものだった。
≪妖精族としては、竜人の皆さんと友好の証として宴を催したいと思っているのですがいかがでしょうか? それに使徒様とこうしてお会いできたのも何か運命を感じますし、竜人の皆様も竜神様や主様との親交を深めたいのではないでしょうか? あと……何か忘れている気がしますがそれの祝いも兼ねて!!≫
忘れているのは、きっと魔王の野望を砕いた事じゃないかな……?
その魔王は、今はオレの後ろで召使いのように控えているが。
その一言でそのまま妖精界に移動して、宴が開かれたのだ。
何故か既に宴の準備が全て整っていたのだが……。
結局最後まで妖精女王のクイがどういった考えなのかはわからなかった。
そもそも竜人たちは魔王軍と戦っていたところからの成り行きで関わったのでまだ理解できるが、妖精族は突然現れたのだ。
いや……そう言えば数週間前から監視……じゃなくてお仕えしてたとか言ってたから突然でも無いのか?
女神様の使徒だという事を何らかの方法で知って、オレの協力を始めたと言うのが一番あり得る話なのだろうが、何故かその答えに違和感を覚える……。
「それでは使徒様。S級冒険者の試験結果の報告もございますし、そろそろ王都までお送り致しましょうか?」
そして当たり前のように知っているオレのS級冒険者の試験の事……。
とりあえずさっきストレートに聞いてみたのだが、はぐらかされてしまったし一旦置いておくしかないだろう。
「そうだな。ジルもこの『妖精の通り道』という特殊な魔法なら不快感が無いから大丈夫みたいだし、皆で帰ろうか?」
「そうね! 王都ってどんなところなのかしら! 楽しみだわ!」
そして当たり前のようについてくる気満々のヴィーヴル。
「なぁヴィーヴル。本当にオレたちについてくる気か?」
そう尋ねるオレだったのだが、もう答えはわかっていた。念のためだ。
「もちろんよ! さっきお父さんも許してくれたの聞いたでしょ?」
そうなのだ。ヴィーヴルの両親は竜神信仰の敬虔な信者なのだ。断るわけがない……。
「まぁ諦めろや! 俺たちもついて行くんだしよ!」
「そうだな。何かあれば俺たちが姫様の面倒はみるから安心してくれ」
そしてゼクトたちもついてくるそうだ……。
「そ、そうか……まぁ、一緒にいくか?」
「はい!」
嬉しそうに返事をするヴィーヴルを見てると、仕方ないかと覚悟を決める事にする。
主に現『恒久の転生竜』のメンバーからの抗議の視線に立ち向かう覚悟とか。
~
こうして一人で始まったS級試験『ドラゴンゾンビ討伐依頼』は、大所帯となって王都への帰還をはたすことになる。
メンバーは、オレ、ジル、リリーとルルー、ヴィーヴル、ゼクト達5人、それから元魔王のテトラ。
あと、何故か高位妖精のセイルもついてくる事になった。
何でも妖精族との連絡係らしいが、正直ちょっと怪しんでいる……。
ただ、助けて貰ったのも事実だし、色々としてくれているのも事実なので側にいることの許可を出した形だ。
まさかこんな大勢で帰還する事になるとは夢にも思わなかったが、最後に皆に挨拶をしてオレたちは『妖精の通り道』で王都へと帰還したのだった。
「あれ? 誰か忘れているような……?」
~神獣セツナ 視点~
≪ジルニトラ様……着いたのですが……どこに?……≫
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