74 / 141
Ⅰ ~邪竜をテイムしたのでついでに魔王も倒しておこうと思う~
【第74話:あの? どの?】
しおりを挟む
まずオレの目に飛び込んできたのは巨大なドラゴンゾンビの姿だった。
その巨躯はジルにこそ及ばないが、映像で見た金色の竜王『セイドリック』に迫る大きさで、生前はきっと名のある竜だったのではないだろうか?
元々綺麗な緑色だったであろうその皮膚は爛れ、輝いていたであろうその姿は今はもう見る影もない。
しかし、鱗もかなり剥げ落ちているのにもかかわらず、瘴気が全身を覆っているのか、周りから放たれる無数のブレスを全てはねのけていた。
そしてオレはその周りに目をやる。
そこには5人の竜の姿があった。
いや……正確には竜のような姿をした人間の姿があった。
「ダメだ!! ゼトラ! 一旦ひこう! このままではジリ貧だ!」
「俺も竜化がもう解ける! 一旦下がるぞ!」
「ダメだ! ここでひいたらもうグリンを止めれる者がいなくなっってしまう! 何としてでもここで仕留めるんだ!」
「くそぉ!! そうは言ってもよう! もう打つ手がねぇぞ!!」
ん~これが見知った人種なら話しかけて譲ってもらっても良いのだが、どうするべきか……。
オレも母さんから少し話を聞いただけなので確証はないのだが、彼らは竜人という種族じゃないだろうか?
人が今のような繁栄を遂げる以前、とある傷ついた古代竜を助けた村があった。
しかし、その村は程なくして魔物の襲撃を受けて滅んでしまう。
その事を知った古代竜は怒り悲しみ、すぐに村に駆けつけると魔物の群れを全滅させるのだが、そこで近くの祠に隠されていた数人の赤子を見つける。
古代竜はその赤子らに加護を与え、さらには自らの血、すなわち『竜の血』を与えて眷属とすると、竜の住む地に連れ帰り共に暮らしたという話だ。
そのもの達は何度か時代の節目に現れ、過去には共に魔王軍とも戦ったとの記録がある。
そこに記された姿が半人半竜の姿だったとされ、竜人という名がつけられたそうだ。
今目の前で戦いを繰り広げている者たちの姿は、まさに半人半竜と呼べるだろう。
どちらかと言うと人に近く、顔などは部分的に鱗に包まれているが人そのものだ。
しかし、すらりと伸びた大きな尻尾や巨大な手足の爪、全身を覆う鱗の鎧などから普通の人でないのは一目瞭然である。
やはり彼らは竜人だろう。
その竜人達が巨大なドラゴンゾンビを取り囲み、二本足で地を駆け、手足の爪やブレスで攻撃をしかけてドラゴンゾンビのターゲットを奪うと、今度は別の者が同じ事を死角から繰り返す。
連携も上手く一見すると圧倒しているように見える彼らだが、残念なことに攻撃そのものが効いていない。
オレがその様子を観察していると、1人の竜人がこちらを振り返り、
「誰だ!! ゼトラ! 冒険者か何かが迷い込んでるぞ!」
と叫びオレの方に向けて指を指す。
「なに!? くっ!? そこに隠れている奴! 危ないからここから離れるんだ!」
どうやらバレてしまったようだ。
しかしこのまま帰るわけにはいかいないし、覚悟を決めて出るか。
「オレはトリアデン王国冒険者ギルド所属のA級冒険者、『恒久の転生竜』のコウガ! そのドラゴンゾンビを一人で討伐する依頼を受けているのだが譲って貰えないだろうか?」
そして訪れる沈黙。
あれ……? 何かおかしな事言っただろうか?
「はぁ!? お前バカか!?」
「俺たちはあの竜人なんだぞ!? その俺たちが歯が立たないドラゴンゾンビを1人で倒すつもりか!?」
どの竜人だ? そもそも竜人の事自体あまり知らないから「あの」も「どの」も無いのだが。
「もしお前がドラゴンを倒した事があるとしても、こいつは普通のドラゴンゾンビではない! 竜王までもう少しの所まで成長していた最上位の竜の成れの果てだ! 普通のドラゴンより遥かに強いのだ!」
そう言われても譲って貰えないと俺の依頼が、S級冒険者になる試験が失敗になってしまう。
「まぁまぁ。オレの強さが通用しないかどうか試させて貰って、通用しなければ大人しくあなた達の言う事を聞きます。だから少しだけ時間をくれませんか?」
さすがにオレもこの竜人たちと対立するつもりはないので、何とか譲ってもらえるように頼んでみる。
「話を聞いていないのか!? おい! ゼトラ! 面倒くさいがオレがこいつを気絶させて遠くに連れていくから少しこの場を任せて良いか?」
「いや待て! ……こいつ……意外と強いぞ! 面白い! コウガとやら! 死んでも責任持てないがそれでも良いか!」
「な!? ゼトラ本気か!?」
「あぁ! こいつお前より強いかもしれんぞ?」
なんだとー!とか言い合っているが、どうやらチャンスを貰えるようだ。
「もちろん問題ない! それじゃぁ5秒後に突撃するからあなた達は一旦ひいて下さい!」
「わかった!お前達もそれで良いな!」
どうやらゼトラとか言う竜人がリーダーのようで皆を説得してくれる。
「それではいくぞ! ……4!……3!……2!……1!交代だ!」
「ありがとう! 黒闇穿天流槍術、【月歩】!」
こうしてオレのドラゴンゾンビとの戦いは始まった。
その巨躯はジルにこそ及ばないが、映像で見た金色の竜王『セイドリック』に迫る大きさで、生前はきっと名のある竜だったのではないだろうか?
元々綺麗な緑色だったであろうその皮膚は爛れ、輝いていたであろうその姿は今はもう見る影もない。
しかし、鱗もかなり剥げ落ちているのにもかかわらず、瘴気が全身を覆っているのか、周りから放たれる無数のブレスを全てはねのけていた。
そしてオレはその周りに目をやる。
そこには5人の竜の姿があった。
いや……正確には竜のような姿をした人間の姿があった。
「ダメだ!! ゼトラ! 一旦ひこう! このままではジリ貧だ!」
「俺も竜化がもう解ける! 一旦下がるぞ!」
「ダメだ! ここでひいたらもうグリンを止めれる者がいなくなっってしまう! 何としてでもここで仕留めるんだ!」
「くそぉ!! そうは言ってもよう! もう打つ手がねぇぞ!!」
ん~これが見知った人種なら話しかけて譲ってもらっても良いのだが、どうするべきか……。
オレも母さんから少し話を聞いただけなので確証はないのだが、彼らは竜人という種族じゃないだろうか?
人が今のような繁栄を遂げる以前、とある傷ついた古代竜を助けた村があった。
しかし、その村は程なくして魔物の襲撃を受けて滅んでしまう。
その事を知った古代竜は怒り悲しみ、すぐに村に駆けつけると魔物の群れを全滅させるのだが、そこで近くの祠に隠されていた数人の赤子を見つける。
古代竜はその赤子らに加護を与え、さらには自らの血、すなわち『竜の血』を与えて眷属とすると、竜の住む地に連れ帰り共に暮らしたという話だ。
そのもの達は何度か時代の節目に現れ、過去には共に魔王軍とも戦ったとの記録がある。
そこに記された姿が半人半竜の姿だったとされ、竜人という名がつけられたそうだ。
今目の前で戦いを繰り広げている者たちの姿は、まさに半人半竜と呼べるだろう。
どちらかと言うと人に近く、顔などは部分的に鱗に包まれているが人そのものだ。
しかし、すらりと伸びた大きな尻尾や巨大な手足の爪、全身を覆う鱗の鎧などから普通の人でないのは一目瞭然である。
やはり彼らは竜人だろう。
その竜人達が巨大なドラゴンゾンビを取り囲み、二本足で地を駆け、手足の爪やブレスで攻撃をしかけてドラゴンゾンビのターゲットを奪うと、今度は別の者が同じ事を死角から繰り返す。
連携も上手く一見すると圧倒しているように見える彼らだが、残念なことに攻撃そのものが効いていない。
オレがその様子を観察していると、1人の竜人がこちらを振り返り、
「誰だ!! ゼトラ! 冒険者か何かが迷い込んでるぞ!」
と叫びオレの方に向けて指を指す。
「なに!? くっ!? そこに隠れている奴! 危ないからここから離れるんだ!」
どうやらバレてしまったようだ。
しかしこのまま帰るわけにはいかいないし、覚悟を決めて出るか。
「オレはトリアデン王国冒険者ギルド所属のA級冒険者、『恒久の転生竜』のコウガ! そのドラゴンゾンビを一人で討伐する依頼を受けているのだが譲って貰えないだろうか?」
そして訪れる沈黙。
あれ……? 何かおかしな事言っただろうか?
「はぁ!? お前バカか!?」
「俺たちはあの竜人なんだぞ!? その俺たちが歯が立たないドラゴンゾンビを1人で倒すつもりか!?」
どの竜人だ? そもそも竜人の事自体あまり知らないから「あの」も「どの」も無いのだが。
「もしお前がドラゴンを倒した事があるとしても、こいつは普通のドラゴンゾンビではない! 竜王までもう少しの所まで成長していた最上位の竜の成れの果てだ! 普通のドラゴンより遥かに強いのだ!」
そう言われても譲って貰えないと俺の依頼が、S級冒険者になる試験が失敗になってしまう。
「まぁまぁ。オレの強さが通用しないかどうか試させて貰って、通用しなければ大人しくあなた達の言う事を聞きます。だから少しだけ時間をくれませんか?」
さすがにオレもこの竜人たちと対立するつもりはないので、何とか譲ってもらえるように頼んでみる。
「話を聞いていないのか!? おい! ゼトラ! 面倒くさいがオレがこいつを気絶させて遠くに連れていくから少しこの場を任せて良いか?」
「いや待て! ……こいつ……意外と強いぞ! 面白い! コウガとやら! 死んでも責任持てないがそれでも良いか!」
「な!? ゼトラ本気か!?」
「あぁ! こいつお前より強いかもしれんぞ?」
なんだとー!とか言い合っているが、どうやらチャンスを貰えるようだ。
「もちろん問題ない! それじゃぁ5秒後に突撃するからあなた達は一旦ひいて下さい!」
「わかった!お前達もそれで良いな!」
どうやらゼトラとか言う竜人がリーダーのようで皆を説得してくれる。
「それではいくぞ! ……4!……3!……2!……1!交代だ!」
「ありがとう! 黒闇穿天流槍術、【月歩】!」
こうしてオレのドラゴンゾンビとの戦いは始まった。
0
お気に入りに追加
2,322
あなたにおすすめの小説
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
異世界なう―No freedom,not a human―
逢神天景
ファンタジー
クラスメイトと共に異世界に召喚された主人公、清田京助。これから冒険譚が始まる――と思った矢先、とある発言により城から追い出されてしまった。
それにめげず「AG」として異世界を渡り歩いていく京助。このままのんびりスローライフでも――なんて考えていたはずなのに、「神器」を手に入れ人もやめることになってしまう!?
「OK、分かった面倒くさい。皆まとめて俺の経験値にしてやるよ」
そうして京助を待ち受けるのは、勇者、魔王、覇王。神様、魔法使い、悪魔にドラゴン。そして変身ヒーローに巨大ロボット! なんでもありの大戦争! 本当に強い奴を決めようぜ! 何人もの主人公が乱立する中、果たして京助は最後まで戦い抜くことが出来るのか。
京助が神から与えられた力は「槍を上手く扱える」能力とほんの少しの心の強さのみ! これは「槍使い」として召喚された少年が、異世界で真の「自由」を手に入れるための救世主伝説!
*ストックが無くなったので、毎週月曜日12時更新です。
*序盤のみテンプレですが、中盤以降ガッツリ群像劇になっていきます。
*この作品は未成年者の喫煙を推奨するモノではありません。
転生した俺が神様になるまで
HR
ファンタジー
ゲーム廃人の佐藤裕は強盗に銃で撃たれて、異世界に転生!
・・・の前に神様とあって
「すべての職業になったら神になれるよ。」
と言われた佐藤裕改め、テル=ハングルはアルファ王国を支えるハングル家に転生して神様になる
っていう感じの作品です。
カクヨムと、小説家になろうでも連載しています。
面白いと思ったら
ブックマーク、感想、レビュー、評価をお願いします。
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
悠々自適な転生冒険者ライフ ~実力がバレると面倒だから周りのみんなにはナイショです~
こばやん2号
ファンタジー
とある大学に通う22歳の大学生である日比野秋雨は、通学途中にある工事現場の事故に巻き込まれてあっけなく死んでしまう。
それを不憫に思った女神が、異世界で生き返る権利と異世界転生定番のチート能力を与えてくれた。
かつて生きていた世界で趣味で読んでいた小説の知識から、自分の実力がバレてしまうと面倒事に巻き込まれると思った彼は、自身の実力を隠したまま自由気ままな冒険者をすることにした。
果たして彼の二度目の人生はうまくいくのか? そして彼は自分の実力を隠したまま平和な異世界生活をおくれるのか!?
※この作品はアルファポリス、小説家になろうの両サイトで同時配信しております。
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する
美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」
御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。
ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。
✳︎不定期更新です。
21/12/17 1巻発売!
22/05/25 2巻発売!
コミカライズ決定!
20/11/19 HOTランキング1位
ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる