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Ⅰ ~邪竜をテイムしたのでついでに魔王も倒しておこうと思う~
【第55話:小さき魔族】
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~堕天のクロケル視点~
「ドアンゴさ~ん。何であんな所にいたのかな~?僕はオーガたちに門の設置は任せてさっさと街を出るように言ったよね~?」
僕は今回の作戦でこのドアンゴを誑かしてまんまと『破戒の宝珠』を手に入れた後、そのまま街を出てここで待ってるように言い渡していたのに、こいつは僕の命令を無視してオーガと一緒にうろうろしていやがった。
せっかく僕が三つも魔界門を囮に使ってやったのに だ。
「い、嫌!違うんです!く、クロケル様!とんでもねぇ代物を見つけたんですよ!」
必死で汗を垂らしながらする言い訳など興味はなかったのだが、僕の誘導を破るほどの代物と言うのは少し気になる。
「なんだ?その代物ってのは?」
僕が軽く魔力で威圧しながら尋ねると、
「ひぃ!?そ、それがですね!私の鑑定を受け付けないような槍を持った餓鬼を見つけたんですよ!」
と言い出す始末だ。
「冗談はやめなよ。君の鑑定を受け付けないって事は伝説級以上の槍ってことじゃないか。そんなもの……」
そこまで言いかけて僕はさっき一瞬みたあの少年の姿を思い出す……彼か……。
そう言えば確かにあの少年からはとんでもない覇気を感じた。
「……わかったよ。その話は信じてあげるよ。それならセデナを攻め滅ぼす時についでにその伝説級の槍とやらも貰っちゃおうか」
僕にもツキが回ってきたのかもしれない。
魔将の中では僕は接近戦は得意な方じゃないからね。伝説級の槍があればそれを少しは補えるかもしれない。
「でも……次に僕の指示に従わなかったら……その次は無いと思いなよ?」
「わ、わかりました!!も、もう二度と!?」
とりあえずこのドアンゴも学術都市セデナの防衛結界を壊すのだけはちゃんとしてくれたようだからね。
今回は許してあげよう。
「僕の機嫌が良くて命拾いしたね」
「ひぃ!?」
まぁこれだけ脅しておけば当分は大丈夫だろう。
こいつにはこれからも他の都市の防衛結界も破戒してもらわなきゃダメだし、ちゃんと言う事聞いてもらわないとね。
「それじゃぁ結界を回復される前にさっさと潰しちゃおうか」
僕はそう言うと、連れてきた魔王軍5万と設置した90の魔界門から現れた魔物9万の総勢14万の軍勢を見下ろして侵攻の合図を下す。
「全軍 前進!! 今日中に学術都市セデナを攻め落とすよ!!」
~
僕の第5魔王軍はこのドアンゴが街の防衛結界を破った後、魔王様の行った戦術級儀式魔法によってこの地に転移してきた。
その後、僕は魔界門の魔物と合わせて総勢14万となった魔王軍を率い、セデナの街まであと1時間ほどの距離に迫っていた。
しかし、現在僕の魔王軍は停止させている。
14万もの軍勢の前にたった一匹の小型の竜が舞い下りたのだ。
「なに?あの竜は?馬鹿なの?飛竜って結構頭良いと思ってたけど?」
一瞬公国の飛竜を駆る竜騎士どもかと警戒したが、あの忌々しい白竜が現れるわけでも、次々と竜騎士どもが現れるわけでも無かった。
邪魔だな。飛竜たった一匹とは言え、下手に雑魚を当てても戦力をすり減らすだけだ。
「おいで!僕の可愛いベヒモス!」
その小さな丘のような巨体を従え、僕の『まりりん』こと『ベヒモス』が僕の元までやってくる。
「ベヒモス、あいつ邪魔だから喰っちゃって!」
僕は件の飛竜を指さし命令を下す。
ベヒモスにかかればさすがの飛竜も大した抵抗も出来ずにあっさりその命を落とす事になるだろう。
この怪獣は普通の魔法は使えないが、ただ一つ落石魔法と言う強力な土魔法が使える。
もし今から飛び立っても避ける事は難しいだろう。
「それにしても僕がベヒモスを向かわせていると言うのに、あの飛竜は飛び立ちもしないな。本当に馬鹿なのか?」
僕がそう呟いた時だった。
≪そう何度も馬鹿と言われると気分が悪いな。小さき魔族よ≫
「な!?なんだと!?魔法音声か!?」
僕はその声があの遠くにいる飛竜が発したものだと何故だかすぐに理解できた。
理解できたと同時に全身に鳥肌が立つ……。
「どういうこと?……今まで培ってきた僕の戦闘経験が全力で逃げろと警笛を鳴らしている!?」
そう呟いた瞬間だった。
我が魔王軍をすっぽり包み込むような、巨大という言葉でも生ぬるい大きさの魔法陣が空を覆いつくす。
「な、なんだ……あれは……」
≪悪いな。我もたまには主に褒められたいのだ。さらばだ小さき魔族よ≫
褒められたい??いったいこれは何なんだ!?
≪無に帰せ『終焉の天隕石』≫
その瞬間、空が啼き、数えるのも馬鹿らしくなる程の隕石が天を覆いつくした。
「はっ!? くそぉ!!僕を舐めるなぁ!!」
僕は目の前に現れた終末の光景から即断即決して帰還魔法を発動する。
≪来たれ!黒き雷光!!≫
僕の体は黒き雷に包まれ、そのまま天に吸い上げられ転移を完了させた。
~
僕は転移の浮遊感を体で感じた後、転移の完了を告げる重力をその身で感じ安堵する。
「あ、危なかっ……はぁぁ!!??」
確かに転移魔法が発動したにも関わらず、未だ天は無数の隕石に覆われていた。
「どういう事だ……確かに転移魔法は発動したのに……」
≪すまぬな。逃げられると我が褒められなくなるやもしれんので、魔力干渉させてもらった≫
「そんな馬鹿な……」
僕のその最期の言葉は、辺り一面に降り注ぐ『終焉の天隕石』の轟音にかき消された。
「ドアンゴさ~ん。何であんな所にいたのかな~?僕はオーガたちに門の設置は任せてさっさと街を出るように言ったよね~?」
僕は今回の作戦でこのドアンゴを誑かしてまんまと『破戒の宝珠』を手に入れた後、そのまま街を出てここで待ってるように言い渡していたのに、こいつは僕の命令を無視してオーガと一緒にうろうろしていやがった。
せっかく僕が三つも魔界門を囮に使ってやったのに だ。
「い、嫌!違うんです!く、クロケル様!とんでもねぇ代物を見つけたんですよ!」
必死で汗を垂らしながらする言い訳など興味はなかったのだが、僕の誘導を破るほどの代物と言うのは少し気になる。
「なんだ?その代物ってのは?」
僕が軽く魔力で威圧しながら尋ねると、
「ひぃ!?そ、それがですね!私の鑑定を受け付けないような槍を持った餓鬼を見つけたんですよ!」
と言い出す始末だ。
「冗談はやめなよ。君の鑑定を受け付けないって事は伝説級以上の槍ってことじゃないか。そんなもの……」
そこまで言いかけて僕はさっき一瞬みたあの少年の姿を思い出す……彼か……。
そう言えば確かにあの少年からはとんでもない覇気を感じた。
「……わかったよ。その話は信じてあげるよ。それならセデナを攻め滅ぼす時についでにその伝説級の槍とやらも貰っちゃおうか」
僕にもツキが回ってきたのかもしれない。
魔将の中では僕は接近戦は得意な方じゃないからね。伝説級の槍があればそれを少しは補えるかもしれない。
「でも……次に僕の指示に従わなかったら……その次は無いと思いなよ?」
「わ、わかりました!!も、もう二度と!?」
とりあえずこのドアンゴも学術都市セデナの防衛結界を壊すのだけはちゃんとしてくれたようだからね。
今回は許してあげよう。
「僕の機嫌が良くて命拾いしたね」
「ひぃ!?」
まぁこれだけ脅しておけば当分は大丈夫だろう。
こいつにはこれからも他の都市の防衛結界も破戒してもらわなきゃダメだし、ちゃんと言う事聞いてもらわないとね。
「それじゃぁ結界を回復される前にさっさと潰しちゃおうか」
僕はそう言うと、連れてきた魔王軍5万と設置した90の魔界門から現れた魔物9万の総勢14万の軍勢を見下ろして侵攻の合図を下す。
「全軍 前進!! 今日中に学術都市セデナを攻め落とすよ!!」
~
僕の第5魔王軍はこのドアンゴが街の防衛結界を破った後、魔王様の行った戦術級儀式魔法によってこの地に転移してきた。
その後、僕は魔界門の魔物と合わせて総勢14万となった魔王軍を率い、セデナの街まであと1時間ほどの距離に迫っていた。
しかし、現在僕の魔王軍は停止させている。
14万もの軍勢の前にたった一匹の小型の竜が舞い下りたのだ。
「なに?あの竜は?馬鹿なの?飛竜って結構頭良いと思ってたけど?」
一瞬公国の飛竜を駆る竜騎士どもかと警戒したが、あの忌々しい白竜が現れるわけでも、次々と竜騎士どもが現れるわけでも無かった。
邪魔だな。飛竜たった一匹とは言え、下手に雑魚を当てても戦力をすり減らすだけだ。
「おいで!僕の可愛いベヒモス!」
その小さな丘のような巨体を従え、僕の『まりりん』こと『ベヒモス』が僕の元までやってくる。
「ベヒモス、あいつ邪魔だから喰っちゃって!」
僕は件の飛竜を指さし命令を下す。
ベヒモスにかかればさすがの飛竜も大した抵抗も出来ずにあっさりその命を落とす事になるだろう。
この怪獣は普通の魔法は使えないが、ただ一つ落石魔法と言う強力な土魔法が使える。
もし今から飛び立っても避ける事は難しいだろう。
「それにしても僕がベヒモスを向かわせていると言うのに、あの飛竜は飛び立ちもしないな。本当に馬鹿なのか?」
僕がそう呟いた時だった。
≪そう何度も馬鹿と言われると気分が悪いな。小さき魔族よ≫
「な!?なんだと!?魔法音声か!?」
僕はその声があの遠くにいる飛竜が発したものだと何故だかすぐに理解できた。
理解できたと同時に全身に鳥肌が立つ……。
「どういうこと?……今まで培ってきた僕の戦闘経験が全力で逃げろと警笛を鳴らしている!?」
そう呟いた瞬間だった。
我が魔王軍をすっぽり包み込むような、巨大という言葉でも生ぬるい大きさの魔法陣が空を覆いつくす。
「な、なんだ……あれは……」
≪悪いな。我もたまには主に褒められたいのだ。さらばだ小さき魔族よ≫
褒められたい??いったいこれは何なんだ!?
≪無に帰せ『終焉の天隕石』≫
その瞬間、空が啼き、数えるのも馬鹿らしくなる程の隕石が天を覆いつくした。
「はっ!? くそぉ!!僕を舐めるなぁ!!」
僕は目の前に現れた終末の光景から即断即決して帰還魔法を発動する。
≪来たれ!黒き雷光!!≫
僕の体は黒き雷に包まれ、そのまま天に吸い上げられ転移を完了させた。
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僕は転移の浮遊感を体で感じた後、転移の完了を告げる重力をその身で感じ安堵する。
「あ、危なかっ……はぁぁ!!??」
確かに転移魔法が発動したにも関わらず、未だ天は無数の隕石に覆われていた。
「どういう事だ……確かに転移魔法は発動したのに……」
≪すまぬな。逃げられると我が褒められなくなるやもしれんので、魔力干渉させてもらった≫
「そんな馬鹿な……」
僕のその最期の言葉は、辺り一面に降り注ぐ『終焉の天隕石』の轟音にかき消された。
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