36 / 141
Ⅰ ~邪竜をテイムしたのでついでに魔王も倒しておこうと思う~
【第36話:カリンちゃんの憂鬱 その2】
しおりを挟む
~少し遡ってカリン視点~
私は今日も一日頑張って仕事を終え、『妖精の呼子亭』に帰ってきました。
今日も沢山の可愛い妖精たちに迎えられ、一日の疲れが吹き飛ぶようです。
「うん!私が集めた妖精コレクションは、いつ見ても可愛いな♪」
この宿が繁盛しているのもきっと、私の妖精たちがお客様を迎えてくれているからでしょう!
また、雑貨屋さんを巡って妖精のオブジェを買わないと♪
~
しかし、私のさっきまでの楽しい気分も一気に沈んでしまいます。
「お母さん、今日もコウガさん帰ってきていないの?」
コウガさんは昨日に続いて今日も宿に帰ってきていないようです。本当に心配です……。
「心配しなくても大丈夫よ~。あらかじめ3日ぐらいは帰らないかもって聞いてるんだから」
お母さんはそう言いますが、街の外で一夜明かすのがどれほど危険な事かわかっていないのです。
それにさっきお母さんに聞いた話では、リリーさんとルルーさんも帰ってきていないと言うではないですか!?
これは緊急事態です!
別の意味でコウガさんが危険です!
私もギルドの受付嬢ではなく冒険者ならと、少し二人が羨ましいです……。
そして私は決めました!
もうこれ以上は待てません!
そう!カリン捜索隊を組織し、コウガさんを探しに行くのです!
「と言っても、働き始めたばかりの見習いの私にそんな権限ないですし……どうしましょう……」
私は自室でオロオロしながらも何か良い案がないか必死に考えます。
「リリリリ~~♪」
その時でした。どこかから何か鈴の音のような澄んだ綺麗な音が聞こえてきました。
「何でしょう?」
私はその音を頼りに探ってみると、どうやら窓の外から聞こえてくるようです。
私は窓に近づくとカーテンを開けて、窓を開いたのですが……、
「リリリリ~~♪」
すると何かが勢いよく飛び込んでくるではないですか。
「きゃっ!?ぁ痛っ!?」
私は驚き、思わず尻餅をついてしまいます。
「痛~い……いったいなにぃ?」
お尻をさすりながら立ち上がった私でしたが、今度は別の驚きで固まってしまいます。
「リリリリ~~♪」
なんと私の周りを妖精さんが、ぐるぐると飛び回っているではないですか!
この世界では妖精さんは幸せを運んでくる実在する生物としてとても有名です。
私がまだ子供の頃、亡くなったお父さんに貰った絵本に出てくる妖精のお話が大好きで、お母さんに毎晩のように読んで貰っていました。
しかし、その希少性から一生会う事はないだろうと思っていたのですが、まさか妖精さんの方から私の部屋に飛び込んで来てくれるなんてまるで夢のようです!……夢?
「あ!もしかして夢でしょうか?……あ痛!?」
頬を思いっきりつねってみましたが夢ではなかったようです。
もう少し加減してつねれば良かったです……頬がちょっと赤くなってしまいました。
「でも……本物の妖精さんだぁ~♪」
妖精さんはキラキラとまるで鱗粉のような光の粒を振りまきながら、嬉しそうに私の部屋の中を飛び回っています。
暫くその幻想的な光景に見とれていた私でしたが、
「あ!妖精さんはもしかして私と友達になってくれるのでしょうか?」
本に書かれていた事を思い出し、友達になってもらえるのかと尋ねてみます。
本の中では妖精さんと友達になる事が出来れば、色々なお願いを聞いてくれるとありました。
「リリリリ~~♪」
どうやら妖精さんは友達になってくれるようです!
え?何でわかるのかって?何となくそう言っている気がするんです!
「リリリリ~~♪」
「え?契約?何か良くわからないですが、友達契約ですね!もちろんOKですよ!」
やっぱり私は妖精さんが言ってる事がわかるようです。そこの疑った人!本当なんですから反省してください。
話がそれました。
「リリリリ~~♪」
私は妖精さんの言う通り、左手の甲を上にして手を水平に伸ばします。
すると、妖精さんはくるりと宙を舞うと私の手の甲の上まで飛んできて、そっと口づけをしたのです。
「……え?」
一瞬左の手の甲が光ったかと思うと、何か綺麗な紋章のようなものが見えてそのまま手の甲に吸い込まれるように消えていきます。
「リリリリ~~♪」
妖精さんも何か凄く喜んでくれているようで、部屋の中を舞うように飛び回っています。
私も妖精さんと何か絆のようなものが繋がった感覚がありました。
まさか本の中の御伽噺とばかり思っていた妖精さんと絆が結べるなんて!今日は何て最高の日なのでしょう♪
「そうだ!妖精さん妖精さん!私のお願い事を聞いてくれませんか?」
ちょっと友達になったばかりで図々しいかと思いましたが、背に腹は代えられません。
「リリリリ~~♪」
良かった。妖精さんも喜んできいてくれるそうです。
「実はですね。私の大切な冒険者さんの行方がわからないのです……」
私が事情を話すと、妖精さんは「任せて!」って気持ちを伝えてきます。
どうやら妖精さんは『妖精の眼』というギフトを持っているようで、いつでもそっと気付かれずに思い人の様子を伺う事ができるそうです。
残念ながら私が直接覗き見る事はできないようですが、これで四六時中いつでも大切な冒険者さんの様子がわかります!
「担当受付嬢たる者、しっかりと様子を把握しておかないと いけないですからね!」
これは受付嬢としての責務です!義務です!使命です!
さぁとりあえず双子の姉妹と一緒にいない事……無事な事はわかりましたし、これからもしっかりと監視していかないと!
私は今日も一日頑張って仕事を終え、『妖精の呼子亭』に帰ってきました。
今日も沢山の可愛い妖精たちに迎えられ、一日の疲れが吹き飛ぶようです。
「うん!私が集めた妖精コレクションは、いつ見ても可愛いな♪」
この宿が繁盛しているのもきっと、私の妖精たちがお客様を迎えてくれているからでしょう!
また、雑貨屋さんを巡って妖精のオブジェを買わないと♪
~
しかし、私のさっきまでの楽しい気分も一気に沈んでしまいます。
「お母さん、今日もコウガさん帰ってきていないの?」
コウガさんは昨日に続いて今日も宿に帰ってきていないようです。本当に心配です……。
「心配しなくても大丈夫よ~。あらかじめ3日ぐらいは帰らないかもって聞いてるんだから」
お母さんはそう言いますが、街の外で一夜明かすのがどれほど危険な事かわかっていないのです。
それにさっきお母さんに聞いた話では、リリーさんとルルーさんも帰ってきていないと言うではないですか!?
これは緊急事態です!
別の意味でコウガさんが危険です!
私もギルドの受付嬢ではなく冒険者ならと、少し二人が羨ましいです……。
そして私は決めました!
もうこれ以上は待てません!
そう!カリン捜索隊を組織し、コウガさんを探しに行くのです!
「と言っても、働き始めたばかりの見習いの私にそんな権限ないですし……どうしましょう……」
私は自室でオロオロしながらも何か良い案がないか必死に考えます。
「リリリリ~~♪」
その時でした。どこかから何か鈴の音のような澄んだ綺麗な音が聞こえてきました。
「何でしょう?」
私はその音を頼りに探ってみると、どうやら窓の外から聞こえてくるようです。
私は窓に近づくとカーテンを開けて、窓を開いたのですが……、
「リリリリ~~♪」
すると何かが勢いよく飛び込んでくるではないですか。
「きゃっ!?ぁ痛っ!?」
私は驚き、思わず尻餅をついてしまいます。
「痛~い……いったいなにぃ?」
お尻をさすりながら立ち上がった私でしたが、今度は別の驚きで固まってしまいます。
「リリリリ~~♪」
なんと私の周りを妖精さんが、ぐるぐると飛び回っているではないですか!
この世界では妖精さんは幸せを運んでくる実在する生物としてとても有名です。
私がまだ子供の頃、亡くなったお父さんに貰った絵本に出てくる妖精のお話が大好きで、お母さんに毎晩のように読んで貰っていました。
しかし、その希少性から一生会う事はないだろうと思っていたのですが、まさか妖精さんの方から私の部屋に飛び込んで来てくれるなんてまるで夢のようです!……夢?
「あ!もしかして夢でしょうか?……あ痛!?」
頬を思いっきりつねってみましたが夢ではなかったようです。
もう少し加減してつねれば良かったです……頬がちょっと赤くなってしまいました。
「でも……本物の妖精さんだぁ~♪」
妖精さんはキラキラとまるで鱗粉のような光の粒を振りまきながら、嬉しそうに私の部屋の中を飛び回っています。
暫くその幻想的な光景に見とれていた私でしたが、
「あ!妖精さんはもしかして私と友達になってくれるのでしょうか?」
本に書かれていた事を思い出し、友達になってもらえるのかと尋ねてみます。
本の中では妖精さんと友達になる事が出来れば、色々なお願いを聞いてくれるとありました。
「リリリリ~~♪」
どうやら妖精さんは友達になってくれるようです!
え?何でわかるのかって?何となくそう言っている気がするんです!
「リリリリ~~♪」
「え?契約?何か良くわからないですが、友達契約ですね!もちろんOKですよ!」
やっぱり私は妖精さんが言ってる事がわかるようです。そこの疑った人!本当なんですから反省してください。
話がそれました。
「リリリリ~~♪」
私は妖精さんの言う通り、左手の甲を上にして手を水平に伸ばします。
すると、妖精さんはくるりと宙を舞うと私の手の甲の上まで飛んできて、そっと口づけをしたのです。
「……え?」
一瞬左の手の甲が光ったかと思うと、何か綺麗な紋章のようなものが見えてそのまま手の甲に吸い込まれるように消えていきます。
「リリリリ~~♪」
妖精さんも何か凄く喜んでくれているようで、部屋の中を舞うように飛び回っています。
私も妖精さんと何か絆のようなものが繋がった感覚がありました。
まさか本の中の御伽噺とばかり思っていた妖精さんと絆が結べるなんて!今日は何て最高の日なのでしょう♪
「そうだ!妖精さん妖精さん!私のお願い事を聞いてくれませんか?」
ちょっと友達になったばかりで図々しいかと思いましたが、背に腹は代えられません。
「リリリリ~~♪」
良かった。妖精さんも喜んできいてくれるそうです。
「実はですね。私の大切な冒険者さんの行方がわからないのです……」
私が事情を話すと、妖精さんは「任せて!」って気持ちを伝えてきます。
どうやら妖精さんは『妖精の眼』というギフトを持っているようで、いつでもそっと気付かれずに思い人の様子を伺う事ができるそうです。
残念ながら私が直接覗き見る事はできないようですが、これで四六時中いつでも大切な冒険者さんの様子がわかります!
「担当受付嬢たる者、しっかりと様子を把握しておかないと いけないですからね!」
これは受付嬢としての責務です!義務です!使命です!
さぁとりあえず双子の姉妹と一緒にいない事……無事な事はわかりましたし、これからもしっかりと監視していかないと!
0
お気に入りに追加
2,322
あなたにおすすめの小説
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
悠々自適な転生冒険者ライフ ~実力がバレると面倒だから周りのみんなにはナイショです~
こばやん2号
ファンタジー
とある大学に通う22歳の大学生である日比野秋雨は、通学途中にある工事現場の事故に巻き込まれてあっけなく死んでしまう。
それを不憫に思った女神が、異世界で生き返る権利と異世界転生定番のチート能力を与えてくれた。
かつて生きていた世界で趣味で読んでいた小説の知識から、自分の実力がバレてしまうと面倒事に巻き込まれると思った彼は、自身の実力を隠したまま自由気ままな冒険者をすることにした。
果たして彼の二度目の人生はうまくいくのか? そして彼は自分の実力を隠したまま平和な異世界生活をおくれるのか!?
※この作品はアルファポリス、小説家になろうの両サイトで同時配信しております。
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
社畜の俺の部屋にダンジョンの入り口が現れた!? ダンジョン配信で稼ぐのでブラック企業は辞めさせていただきます
さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。
冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。
底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。
そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。
部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。
ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。
『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!
異世界なう―No freedom,not a human―
逢神天景
ファンタジー
クラスメイトと共に異世界に召喚された主人公、清田京助。これから冒険譚が始まる――と思った矢先、とある発言により城から追い出されてしまった。
それにめげず「AG」として異世界を渡り歩いていく京助。このままのんびりスローライフでも――なんて考えていたはずなのに、「神器」を手に入れ人もやめることになってしまう!?
「OK、分かった面倒くさい。皆まとめて俺の経験値にしてやるよ」
そうして京助を待ち受けるのは、勇者、魔王、覇王。神様、魔法使い、悪魔にドラゴン。そして変身ヒーローに巨大ロボット! なんでもありの大戦争! 本当に強い奴を決めようぜ! 何人もの主人公が乱立する中、果たして京助は最後まで戦い抜くことが出来るのか。
京助が神から与えられた力は「槍を上手く扱える」能力とほんの少しの心の強さのみ! これは「槍使い」として召喚された少年が、異世界で真の「自由」を手に入れるための救世主伝説!
*ストックが無くなったので、毎週月曜日12時更新です。
*序盤のみテンプレですが、中盤以降ガッツリ群像劇になっていきます。
*この作品は未成年者の喫煙を推奨するモノではありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる