上 下
6 / 27

第四話 ドキドキ☆転校生はだーれだ?(推しです!) その2

しおりを挟む
 案の定、というか、予定調和、というか、なんというか。
 休み時間になると、メテオくんの周りには、好奇心の強いクラスメイト達が集まり。
 座学の授業では、外国どころか並行世界からやってきたっていうのに、先生の質問にズバズバ答え。
 体育の授業では、プロ並みの運動神経を見せていた。

「す、すごい……!なにあの男子……!」

 スポーツ万能少女なあおいちゃんは、あんぐりと口を開けて、華麗にゴールを決めたメテオくんを見ていた。
 ちなみに、種目はサッカーである。

「なんかすごい転校生来ちゃったね!?もはやアイドルじゃん!」

 黄色い声を上げる女子たちと、メテオくんに駆け寄る男子たちの熱気で、ことねちゃんも心なしか興奮しているようだ。

「そうだね」

 ……、まぁ、メテオくんだからな。アレ、メテオくんだからな……。

「なに、あかりん、めっちゃクールじゃん!?」
「やめなよ、ことね。どうせ、あかりはメテオリト一筋なんだから。天手くんみたいな人を好きになればいいのに、もったいないよね」

 だから、その天手くんが、メテオくんなんだってば!
 あれは、メテオくんが必死に猫被って愛想振りまいてる姿なんだってば!
 ……、うん。言わないけどね。必殺技を無理矢理変えちゃった奴が言うことじゃないけど、メテオくんにはアニメ通り、ここでちゃんと青春して欲しいから、絶対言わないけどね。

「オリト!サッカー部入らねぇ?」
「いや、ここは野球だろ!」
「バスケ部もいいぞ!」
「テニス部は?」

 そうこうしているうちに、メテオくん、運動部の男子達にばっちり取り囲まれて、バリバリ勧誘されていた。
 ちょっと困ったような、だけど柔らかい王子様スマイルを浮かべて、メテオくんは彼らをなだめる。

「ごめんね。部活とかは、ちょっと……」
「あのさ、オリト!」

 あぁ、来た来た。
 これは、アニメで見たことのある展開だ。

「フットサルの同好会、これから立ち上げようと思うんだけど、メンバーが足りないんだ。もしよかったら、入ってくれないか?」

 クラスメイトの、日向カケルくんである。
 かっこよくもなく、際立って成績優秀なわけでもなく、『マジカル☆ステラ』では一般生徒枠の地味なキャラだ。
 それなのに、なんで覚えてるかって?
 そりゃ、メテオくんが、押しに負けてフットサル同好会に入る羽目になるからである。
 ついでに、日向くんともめちゃくちゃ仲良くなるからである。
 ぶっちゃけ、その手の話が好きなお姉様方が飛び付くぐらいには。
 そして、もちろん私も大好きだ。というか、メテオくんが幸せなら、なんだっていい。

「えっと……、それも、ごめん」
「そっかぁ。でも、気が変わったら言ってくれよな!いつでも待ってるから!」
「うん。ありがとう」

 相変わらず、完璧な王子様スマイル。
 多分、内心は「誰がこんな辺境の世界の運動なんか好き好んでやるかよ!」なんて愚痴っているんだろうな。実際、アニメではそういうモノローグが付いてたし。
 そういうところもとても好きだし、後でズブズブに絆されていくところはもっと好きなんだけどね!

 
 ……、というわけで、放課後である。
 放課後も、クラスの皆がメテオくんのところに集い、懲りずに部活に誘おうとしたり、遊びに誘おうとしたりしていた。
 ものすごい人気だ。さすがメテオくん。
 アニメで観ていたから普通に知っていたけれど、こうして現実のものとして目の前で見ていると、ダイレクトにそのすごさを実感する。
 推しが人気なのは、推しているこちらとしても鼻が高い。
  その調子で、消失フラグもへし折って欲しい。
 メテオくんがダメでも私が絶対へし折る。そして、どうか幸せな未来を迎えてくれ。全私からのお願いだ。

「さぁ、帰ろう」

 ちなみに、アニメでもそうだったけど、あおいちゃんは女子サッカー部で、ことねちゃんは料理部、あかりちゃん(中身私だけど)は園芸部だ。
 今日は、あおいちゃんもことねちゃんも部活がある日で、私はナシ。一人でとっとと帰る日だ。
 あ、どうせなら、花壇見てから帰ろっかな……。

「星見台さん」

 気が付いたら、いつの間にか、クラスメイトの皆がいなくなっていて。
 教室には、私と、彼しかいなかった。

「オレ、この学校のこと、よくわからないんだよね」

 天手オリトくんこと、メテオくんは、照れたように視線を泳がせる。
 はい、来た。来ました。何かしら仕掛けて来るとは思ってたよ。実際アニメでも、そうやってあかりちゃんと二人きりになっていて、その度にあかりちゃんを無駄にときめかしてましたよね?知ってるぞヲタクは。
 だいたいこの後の言葉は予想つくけど、一言言いたい。
 めちゃくちゃ可愛い。尊い。

「だから、案内してくれないかな?」

 予想通りの言葉を紡いで、困ったように小首を傾げる。
 うーーーーん、百点満点中、二百万点。いや、一億点。いや、無限大?
 あぁ、やっぱり、推しは何をしても可愛いし尊い。
 こんな風にチワワみたいな涙目をして、落とせると思っているのか。
 私はもう、落ちている。

「……、えっと、それ、私じゃなきゃ、ダメ?」

 だけど、ここはグッと我慢をしなければいけないところなのだ。
 中身が純粋な星見台あかりだったら、親切心で二つ返事をして、了承するところだったんだろうけどね。
 唸れ、私の表情筋。耐えろ、私の表情筋。

「星見台さんじゃないと、頼めなくて……」
「いや、さっき、メテ……、天手くんの周りに、クラスの子、たくさんいたよね?めちゃくちゃ誘われてたよね?」
「えっと……、でも、皆、部活の勧誘ありきだし」
「純粋に、遊びに誘われているのもあったじゃん。私、聞いてたよ?席隣だし」
「えっと、それは」
「誘ってもらって悪いんだけど、ここは、天手くんを誘ってくれた子に、学校を案内してもらえばいいんじゃないかな」
「でも、オレは」
「隣の席だからって気を遣ってくれなくていいんだよ。大丈夫。天手くんなら、すぐに友達たくさん出来るよ」

 何か言おうとしているところを遮ってスルーしまくって、二の句が告げなくなっているところに、にっこり微笑む。
 メテオくん、わかりやすくおろおろしている。きっと、今までこんなことはなかったのだろう。普通、王子様が誘えば、誰だってオッケーするもんね。うん、とても眼福だ。
 ごめんよ、最推し。許して、最推し。
 これも、君がこの学校で友達を作るためなんだ。

「それじゃ、また明日ね」

 ひらひらと手を振って、颯爽とその場を後にする。
 ……、多分、今日は、もう何も起こらないだろう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

願いの守護獣 チートなもふもふに転生したからには全力でペットになりたい

戌葉
ファンタジー
気付くと、もふもふに生まれ変わって、誰もいない森の雪の上に寝ていた。 人恋しさに森を出て、途中で魔物に間違われたりもしたけど、馬に助けられ騎士に保護してもらえた。正体はオレ自身でも分からないし、チートな魔法もまだ上手く使いこなせないけど、全力で可愛く頑張るのでペットとして飼ってください! チートな魔法のせいで狙われたり、自分でも分かっていなかった正体のおかげでとんでもないことに巻き込まれちゃったりするけど、オレが目指すのはぐーたらペット生活だ!! ※「1-7」で正体が判明します。「精霊の愛し子編」や番外編、「美食の守護獣」ではすでに正体が分かっていますので、お気を付けください。 番外編「美食の守護獣 ~チートなもふもふに転生したからには全力で食い倒れたい」 「冒険者編」と「精霊の愛し子編」の間の食い倒れツアーのお話です。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/2227451/394680824

ふざけんな!と最後まで読まずに投げ捨てた小説の世界に転生してしまった〜旦那様、あなたは私の夫ではありません

詩海猫
ファンタジー
こちらはリハビリ兼ねた思いつき短編の予定&完結まで書いてから投稿予定でしたがコ⚪︎ナで書ききれませんでした。 苦手なのですが出来るだけ端折って(?)早々に決着というか完結の予定です。 ヒロ回だけだと煮詰まってしまう事もあるので、気軽に突っ込みつつ楽しんでいただけたら嬉しいですm(_ _)m *・゜゚・*:.。..。.:*・*:.。. .。.:*・゜゚・* 顔をあげると、目の前にラピスラズリの髪の色と瞳をした白人男性がいた。 周囲を見まわせばここは教会のようで、大勢の人間がこちらに注目している。 見たくなかったけど自分の手にはブーケがあるし、着ているものはウエディングドレスっぽい。 脳内??が多過ぎて固まって動かない私に美形が語りかける。 「マリーローズ?」 そう呼ばれた途端、一気に脳内に情報が拡散した。 目の前の男は王女の護衛騎士、基本既婚者でまとめられている護衛騎士に、なぜ彼が入っていたかと言うと以前王女が誘拐された時、救出したのが彼だったから。 だが、外国の王族との縁談の話が上がった時に独身のしかも若い騎士がついているのはまずいと言う話になり、王命で婚約者となったのが伯爵家のマリーローズである___思い出した。 日本で私は社畜だった。 暗黒な日々の中、私の唯一の楽しみだったのは、ロマンス小説。 あらかた読み尽くしたところで、友達から勧められたのがこの『ロゼの幸福』。 「ふざけんな___!!!」 と最後まで読むことなく投げ出した、私が前世の人生最後に読んだ小説の中に、私は転生してしまった。

家族と移住した先で隠しキャラ拾いました

狭山ひびき@バカふり160万部突破
恋愛
「はい、ちゅーもーっく! 本日わたしは、とうとう王太子殿下から婚約破棄をされました! これがその証拠です!」  ヴィルヘルミーネ・フェルゼンシュタインは、そう言って家族に王太子から届いた手紙を見せた。  「「「やっぱりかー」」」  すぐさま合いの手を入れる家族は、前世から家族である。  日本で死んで、この世界――前世でヴィルヘルミーネがはまっていた乙女ゲームの世界に転生したのだ。  しかも、ヴィルヘルミーネは悪役令嬢、そして家族は当然悪役令嬢の家族として。  ゆえに、王太子から婚約破棄を突きつけられることもわかっていた。  前世の記憶を取り戻した一年前から準備に準備を重ね、婚約破棄後の身の振り方を決めていたヴィルヘルミーネたちは慌てず、こう宣言した。 「船に乗ってシュティリエ国へ逃亡するぞー!」「「「おー!」」」  前世も今も、実に能天気な家族たちは、こうして断罪される前にそそくさと海を挟んだ隣国シュティリエ国へ逃亡したのである。  そして、シュティリエ国へ逃亡し、新しい生活をはじめた矢先、ヴィルヘルミーネは庭先で真っ黒い兎を見つけて保護をする。  まさかこの兎が、乙女ゲームのラスボスであるとは気づかづに――

【本編完結】推しと推しをくっつけたい!!!~溺愛されたのは私でした~

あんみつ~白玉をそえて~
恋愛
交通事故にあい、大好きな乙女ゲームの世界に転生してしまった主人公。いや、でも私推しカプを壁になって見守りたい派なんですけど!?絶対誰ともくっつかずに推しカプを実現させて見せるからなーー!!!みたいなテンションからシリアスまで。改題しました。 オワリノハジマリ 〜誰かの日記〜 ドゥレ・エ・ノワール 魔法の国の学園が舞台の、私の大好きだった乙女ゲーム。 フィリ・オシェリタ  正規の主人公。王族以外で特に大きな魔力を持つ、双璧と呼ばれる家の娘。 ヴィヴェルーナ・クローダム  私が転生したキャラクター。悪役の立場で、双璧の片割れの娘。 アンジエ・チーラム  ヴィヴェルーナことヴィーの使用人兼幼馴染。何に対しても一直線。 レフラル・セルダー  フィリの幼馴染、気弱で自信がもてずにいる。 リーシェン・カルティータ  己の勉学に誇りを持つキャラクター。上記4人の同級生。最推し。 ルデレ・ヴィシャディー  何に対しても本気になることが許されなかった、寂しい人。高位の貴族。 レウザン・ゼハシュ  この国の王位継承者、王族。生徒会長を務める。 シエン  幽閉の身にある。隠しキャラクター。 誰か私以外がこの日記を読むとしたならーー私はこの世にいない。お願い、助けて。この世界を、彼を。どうか、その最後を見届けてーー 完結済み、投稿するだけです。

最推しの乙女ゲー攻略対象に転生したら腹黒系人誑かしになり国を掌握した

景義
恋愛
 前世最推しだった乙女ゲー攻略対象の第二王子レーヴェに転生した元喪女。推しのレーヴェならこれができて当然、あれが出来て当然とやっていく内にとんでもないハイスペック王子になってしまう。  これは転生喪女が内心ハイテンションで自分を推しまくった結果人を誑かしまくり、悪役令嬢が兄の第一王子にざまぁを引き起こすよう誘導させる玉突き系腹黒ストーリーである。表紙はon℃様に依頼させて頂きました。

当て馬役推しの私は、彼の幸せを切に願っています……が、この状況はどういうことでしょうか!?

しあ
恋愛
魔法学校での先生×生徒のカプ漫画で当て馬役として登場する彼…。 遊び人で女はみんな見た目や地位に弱いバカだと思っているけど、家が格下な先生を一途に想っているヒロインと会ってそれが覆され、自分の考えが正しいと証明させるためにヒロインにアプローチするけど逆に惚れてしまう彼…。 両片思いだけど立場的に一緒に入れなくて落ち込むヒロインを慰めるポジションの彼…。 メインイベントは途中まで一緒だけどいいとこはヒーローに持っていかれて1人寂しく過ごす彼…。 そんな彼に寄り添う女子生徒が1人。 彼が落ち込んでいる時はそっと食べ物を渡して去っていく…。 彼が虚しそうに1人で花火を見あげていれば、焼き鳥を持って現れ、1本お裾分けして立ち去る……。 あれ?今回はせっかくだから一緒に見ようよと誘われた…? 魔術大会で1位になったら付き合うと言うイベントで、決勝相手がなんと先生に変わって負けるイベントで落ち込んでいる彼に食べ物を…。 って、あれ?一緒にいてほしい…? 私、モブなのに一緒にいてもいいんですか!? その後も、卒業すればもう会えないと思っていたのに…これは一体どういう状況ですか!? ※あまり深く考えずに気軽に読んでいただけると幸いです。

シスコン転生令嬢に恋愛要素は不要です!~生前最推しだった悪役令嬢の双子の姉に転生しました~

彩野遼子
恋愛
都内に住むしがないアラサーOL・黒枝結奈(くろえだゆうな)は、新卒で入社してから七年間勤めた典型的なブラック企業である弊社からリストラを告げられた雨の夜仔猫を庇い車に撥ねられ、絶賛ドハマり中であった家庭用ゲーム機向け乙女系学園恋愛ADV『オヴエイグリムストーリー』において自身の最推しキャラクターである悪役令嬢ミレイユ・アイレンヴェルグの双子の姉リーナ・アイレンヴェルグとして『オヴエイグリムストーリー』の世界に転生した。 いずれ悪役令嬢であるミレイユが迎える彼女の婚約者・アリヴェイユ国第二王子ジルからの一方的な婚約破棄を阻止するために原作改変する事を胸に抱きかつての最推しキャラであり現在の最愛の妹であるミレイユとの生活を思う存分満喫するリーナだったが、ゲーム本編開始前夜に少なくとも生前プレイしていた『オヴエイグリムストーリー』では起こりうるはずがない隣国・リュカディアルド国の第四王子オルハとの見合い話が自らに持ち上がっている事を父親であるケオ・アイレンヴェルグ公爵から聞かされる。 最初はミレイユが迎える結末を変えるまでは恋愛事に関わっている余裕がないとオルハに対してもあくまでも友人として接していたリーナだったが、誰に対しても分け隔てなく接するオルハの穏やかで柔和な人柄に少しずつ惹かれていく自分を自覚する。 そんな折ついにゲームでの本編が始まるが、そのストーリーは前世でプレイした『オヴエイグリムストーリー』とはかけ離れていた。 ※小説家になろう様にも投稿しています。

振り向いてください、シャノン王子。

夜のトラフグ
恋愛
 エレノアはある日、自分が前世で最推しであったとあるRPGの敵キャラ、シャノン・ビガー王子と同じ世界に転生していることに気付いた。 「ーーこのままだと推しが、たくさんの人間を殺してしまう」  ストーリー展開によって、推しが国のために大量殺人に手を染めてしまうことを防ぐため、エレノアは推しの敵国となる、生まれた国の軍に入団した。前世の記憶を使って推しの策略を潰す、そのために。 ーー功績を重ねるたび、私は推しに嫌われていくだろう。構わない、それで推しが苦しまなくてすむなら。そう思っていた。だけどーー 「振り向いてください、シャノン王子。私はあなたを愛してます」 戦争が終結した講和の日、エレノアは初対面のシャノンに、思わず秘めていた想いを告げてしまってーー。

処理中です...