上 下
81 / 109

クリスティーナとコウエンジ

しおりを挟む

キャスティーヌの誕生日に初めて食べた、東の島国のお菓子とお茶がとても素晴らしかったですわ。

そのお菓子などを広げたいと言うコウエンジ様と、新しい事業を展開したいけれど、領地経営をやって行く為に時間に都合のつかないアルバート様。
お話をキャスティーヌから伺った時に、是非私にやらせて欲しいと申し出ましたの。

没落予定の私には、渡りに船とでも言うのでしょうか、販売に関しては以前他の方に伺ったことがございますし、経営は学園で基礎を学んでいます。
4年に進級する時に、経営関係の授業を主体に選べば問題ないかと思いますの。

ですからキャスティーヌにお願いしてアルバート様を紹介していただきました。
その後何度も話し合いをしています。
勿論二人きりになることはありませんよ。


今のところ決まった事は、コウエンジ様の運んだ物を、先ずはアルバート様がチェックして絞り込み、私も交えて【どう言う感じでどの層に】販売するかを話し合い、決まった品を、私がお店で販売する。

それともう一つは、コウエンジ様の紹介してくださる職人を、アルバート様が雇い、私の店に派遣して、店で菓子を作ってもらい、私が店で販売する。

製菓の出来る職人に技術を教えて頂き(弟子という事ですわね)、経営状態に応じてですが、いずれ二号店、三号店と展開したいと言思ってますの。

サリフォル家の治める領地でも出店したいので、まずは王都での店を成功させて……など、話はどんどん膨らんでいます。


お店を開くとしても、もっと話を詰めてからです。
その後もリサーチや、店を出す場所や建物、周辺への根回しや、従業員を募って教育して……。
やる事は山ほどありますし、準備が整いお店を開くのはまだまだ先になります。

それでもとても楽しく、日々は充実していますわ。

……ですから、キャスティーヌが寂しい思いをしていたと聞いた時には、とても反省しました。

全てはキャスティーヌがいてくれたからこそなのに、その彼女を放っておくなんて、私は配慮が足りませんわね。
………そうですャスティーヌも巻き込んでしまえば良いのではないのかしら!
早速明日にでもキャスティーヌに話してみましょう。


        **

去年は、この大陸の南の国へ一年間留学していた。
南の国は派手で陽気で、とても楽しく過ごせたけれど、商売的にはボチボチだったかな。

今年は婚約者の泰治が居る、大陸中央寄りのコルスタニル国へやって来た。
コルスタニルの王都は、穏やかな雰囲気の国だね。
この国なら我が国の品を取り扱ってくれるところも出てくるのではないかな。

南の国は大柄で、派手な色彩の物はウケたけど、繊細な細工物や落ち着いた色彩の物は反応が悪かったからね。

まずは学園に転入して、そこで生徒に顔を売り、お茶会を開いて我が国の品を広げる。
いつもの流れだ。

私より先に泰治が学園に通っていたから、そのつても使おうと思っていたのに、どうも孤立していたようだね。
違う学年の兄妹と仲良くなったくらいだそうだ。

転入してすぐに学園祭があったので、そのメインイベントのトーナメント戦に出て優勝して顔を広げようかな、腕には自信があるから。

と思っていたけれど、惜しくも優勝は逃した。
代わりにミスターコンテストで優勝したけどね。

学園祭のお陰で顔は売れて、お茶会も開いてみたけど、貴族相手だからなのか、品物はウケてもそれが商売へと繋がらない。
この国てば貴族女性の殆どが、結婚したら家から出ず、仕事を持たないみたいなんだ。

だからと言って平民だと、ほいほいと店を出したり出来ないし、今ある店や商人にはツテがない。
何よりこの国には商業ギルドがないから、斡旋もしてもらえないし、思うように話が進まない。

そんな時、泰治繋がりでサリフォル嬢の誕生日会に招かれたので、そのお返しにとお茶会へ招待した。
誕生日プレゼントに渡した我が国の食べ物を、美味しそうに食べていたから、もしかして……と思ったけれど、当たりだった。

そこからは話が早かったね。

サリフォル嬢の友達のヨルハイム嬢と、サリフォル嬢の兄上、アルバート様の二人が主となり、私が一番力を入れたかった、和菓子とお茶を取り扱う店をオープンさせるそうだ。

勿論我が国の職人を雇ってもらい、技術も広げる予定。
包装用に織物を使った巾着や、繊細で華やかな和紙を使ってもらう話も出ている。

二人とも頭の回転は速いし、想像力も豊かで、話し合いはとんとん拍子に進んでいる。

現実するにはもうしばらくかかるけれど、私の留学期間中には形になりそうだ。
なんなら滞在期間を延ばしても良いしね。

一番の目的は、泰治に会いたい為にこの国へ留学したのだけど、その選択は正しかった。
ああ、やっぱり泰治は私の福の神だな。






しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

転生ヲタク光秀~本能寺、したくなあぁあ~~い!

👼天のまにまに
ファンタジー
細かい設定はしてあるけど、歴史知識全くなくても笑えてたのしめる作品です。 基本ギャグで構成されています。 ショタ体形の光秀が、中身ヲタ+セコイ+怖がりなんだけど、周りが勝手に勘違いして盛り上げて天下を取らせちゃう? 鉄砲の才能(きっとゲーセンで鍛えた)と異能の才(ヲタク趣味)を信長から認められて、とんとん拍子の出世。 秀吉の得るはずであった、役回り、名誉、娘を全て横からかっさらっても、気づかない。 天下取りなんか、めんどい。 俺は元いた六畳一間のヲタク空間を取り戻したいだけなんだ! おまいら、勝手に妄想して陰謀すな! 怖いじゃないか! 超優秀な家臣どもが、名だたる戦国武将をぶっ飛ばしていくのを、冷や汗もので見ている主人公をお楽しみください。 最初のシーンは桶狭間の戦いです。 小学校の社会科レベルの知識で読めます。 ほかも適当に流してください。 それではお楽しみください。

18禁の乙女ゲームの悪役令嬢~恋愛フラグより抱かれるフラグが上ってどう言うことなの?

KUMA
恋愛
※最初王子とのHAPPY ENDの予定でしたが義兄弟達との快楽ENDに変更しました。※ ある日前世の記憶があるローズマリアはここが異世界ではない姉の中毒症とも言える2次元乙女ゲームの世界だと気付く。 しかも18禁のかなり高い確率で、エッチなフラグがたつと姉から嫌って程聞かされていた。 でもローズマリアは安心していた、攻略キャラクターは皆ヒロインのマリアンヌと肉体関係になると。 ローズマリアは婚約解消しようと…だが前世のローズマリアは天然タラシ(本人知らない) 攻略キャラは婚約者の王子 宰相の息子(執事に変装) 義兄(再婚)二人の騎士 実の弟(新ルートキャラ) 姉は乙女ゲーム(18禁)そしてローズマリアはBL(18禁)が好き過ぎる腐女子の処女男の子と恋愛よりBLのエッチを見るのが好きだから。 正直あんまり覚えていない、ローズマリアは婚約者意外の攻略キャラは知らずそこまで警戒しずに接した所新ルートを発掘!(婚約の顔はかろうじて) 悪役令嬢淫乱ルートになるとは知らない…

【R18】殿下!そこは舐めてイイところじゃありません! 〜悪役令嬢に転生したけど元潔癖症の王子に溺愛されてます〜

茅野ガク
恋愛
予想外に起きたイベントでなんとか王太子を救おうとしたら、彼に執着されることになった悪役令嬢の話。 ☆他サイトにも投稿しています

転生したらただの女子生徒Aでしたが、何故か攻略対象の王子様から溺愛されています

平山和人
恋愛
平凡なOLの私はある日、事故にあって死んでしまいました。目が覚めるとそこは知らない天井、どうやら私は転生したみたいです。 生前そういう小説を読みまくっていたので、悪役令嬢に転生したと思いましたが、実際はストーリーに関わらないただの女子生徒Aでした。 絶望した私は地味に生きることを決意しましたが、なぜか攻略対象の王子様や悪役令嬢、更にヒロインにまで溺愛される羽目に。 しかも、私が聖女であることも判明し、国を揺るがす一大事に。果たして、私はモブらしく地味に生きていけるのでしょうか!?

ヒロインの最推しキャラになったが、どっちかっていうと悪役令嬢の方が好き

狼蝶
恋愛
 『かわいいドォリィ・・・かわいい、かわいい。食べてしまいたいほどに』  危ない思考に陥ったとき、突如として前世の記憶が頭の中に流れ出した。自分の小さな手を眺め、『俺は成人男性だったはず・・・。ハッ!妹の下僕として仕事帰りに予約した新作ゲームを受け取った帰りに、死んだわ――』と思い出していたら、可愛らしい黒髪の幼女が俺を心配そうに見つめ『さい・・・?』と言う。  そうだ。俺は妹がトチ狂いながらプレイしていたゲーム、『星降る夜の乙女』の攻略キャラ、サイレント・ジョセスタインに転生したんだ。そして隣にいる天使と見紛うほどの可愛らしい幼女は・・・なななんと悪役令嬢のドリータ・サンドレア!!?ングゥ゛あ゛ぁ゛がわ゛い゛い゛・・・・・・!!!  学園で会ったヒロインはまさかの転生者で、しかも"俺”が最推しらしいんだけど、俺はドォリィしか推しません!!!ヒロインよ、勝手に王子と結ばれてくれ!!!

転生したら美醜逆転世界だったので、人生イージーモードです

狼蝶
恋愛
 転生したらそこは、美醜が逆転していて顔が良ければ待遇最高の世界だった!?侯爵令嬢と婚約し人生イージーモードじゃんと思っていたら、人生はそれほど甘くはない・・・・?  学校に入ったら、ここはまさかの美醜逆転世界の乙女ゲームの中だということがわかり、さらに自分の婚約者はなんとそのゲームの悪役令嬢で!!!?

処理中です...