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番外 リズヴァーン 1

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ーーーーー〈告知〉ーーーーー
リズヴァーンの番外編は腐要素が多目です。
苦手な方は飛ばしてください。

ーーーーー〈切り取り線〉ーーーーー







《リズヴァーン3歳》

ぼくの名前は、リズヴァーン。
リズヴァーン・アスデモス、3歳です。

ぼくのお父様は辺境伯で、国の守りの要です。
ぼくが生まれる前になんだか色々あって、辺境伯の地位と領地をもらったんだって。

でも、まだ領地をもらって間がないので、お母様とぼくは、二人の元のこよーぬしのサリフォルおじ様の館で暮らしていました。

おじ様にはぼくと同じ歳のお孫さんがいるんだけど、王都で暮らしているから滅多に会えないんだって。
だからお孫さんの分まで、ぼくのことを可愛がってくれているってお母様が言ってたよ。
ぼくも優しいおじ様とおば様が大好きです。



お父様と、これから領民になるみんなが一緒に頑張ったから、いれーの速さで、ある程度のてーさいが整ったから、ぼくとお母様はお父様と一緒に暮らせるようになったんだよ。
だから今日はお引越し。

お引越しにはおじ様の息子さんが王都からお手伝いに来てくれたの。
お父様の後輩の人なんだって。
奥さんと生まれたばかりの下の子供は留守番で、ぼくと同じ歳の子供と二人で来たんだって。

同じ歳ならお友達になれるかな?
って思ったんだけど、妹と離されて、お父さんと二人だけで遠くまで来たのに怒っちゃって、部屋に閉じこもっちゃったって。
そうか、今日は会えないんだ。
今度おじ様の家に来たときには会えるかな?


おじ様達に見送られて、馬車に乗って出発だ。
おじ様にバイバイしようと、馬車の窓から顔を出して手を振っていたら、お屋敷の二階のベランダがキラキラと光っていたの。
何かなって思ったら、そこには天使がいたんだよ。

馬車が走り出したから、ちょっとしか見えなかったけど、銀色の髪の毛がキラキラ光ってて、とても綺麗な子供の天使だったんだ。
その天使を見たぼくは、胸がぎゅーっとして痛くなっちゃって、お母様にしがみついちゃった。

天使のことを考えると、いつも胸がぎゅーってして、そわそわしちゃう。
もう一回会いたいとお祈りしても、天使には会えないままなんだ。
でも、会えなくても、ぼくの真ん中にはいつでも天使がいるんだよ。

いつかまた会えるといいな。




《リズヴァーン5歳》

父様の領地で暮らし始めて2年が過ぎた。
この2年で町はずいぶん大きくなり、僕たちの暮らす館も増築して一回り大きくなったよ。

町や館だけではなく、僕も大きくなったし、何より母様が力強くなったんだ。
領民も町づくりと狩で逞しくて、皆力強く元気いっぱいだ。

今日からサリフォルのおじ様の家に、年明けの挨拶を兼ねて泊まりがけで遊びに行くんだ。
去年は僕が風邪をひいていたから、父様だけが日帰りで挨拶に行ったけど、今年は3人揃って訪ねて行くよ。
おじ様の息子さん一家も数日前から帰省しているんだって。

2年前には会えなかった、同じ年の息子さんとは会えるかな。
僕の住んでいる所には、うんと年上か、小さい子しか居ないから、同じ年の友達っていないんだ。
だから友達になれるといいな。

おじ様の家に着いて、部屋に行くと………僕の天使がいた。

キラキラと輝く銀色の髪に、綺麗な顔。
あの時は遠くてわからなかったけど、目は海みたいなあおみどり色をしていた。

僕が動けなくて、じっと天使を見ていたら、天使は一度こっちを見たのに、すぐに目を逸らして、隣にいる子供を見ちゃった。
茶色い髪の毛の普通の女の子だ。

なんでかわからないけど、天使の視線を向けられる子供にイライラする。
天使にこっちを見て欲しいのに。
でもなんて言えばいいんだろう?

僕が何か言おうとしていたら、おじ様が天使と子供を紹介してくれた。 

「リズヴァーン、この二人はワシの孫で、上の子がアルバート、下の女の子がキャスティーヌだ。
アル、キャシー、この子はリズヴァーン、トーマソンの一人息子だ。
アルとは同じ年だから仲良くするといい」

天使は天使じゃなくて、おじ様の孫だった。
女の天使だと思ったのに、男の子だったんだ。
こんなにキレイな男の子がいるなんて知らなかった。
アルバート、アルバート、アルバート……うん、覚えた。

「リズヴァーンです、よろしく」
ドキドキしながら挨拶すると、アルバートがまたこちらを見てくれた。

「アルバートです、よろしく」
でもすぐに目は女の子に向けられる。
「そしてこちらの天使がキャスティーヌです」

え?天使は君でしょう?
アルバートは隣の女の子を天使って言ったけど、女の子は地味でその辺にいる普通の子だよ?
天使なのは君だよ?

「ほら、キャシー、挨拶できるかな?」
アルバートが背中を押すと、女の子がスカートを摘んで挨拶をする。
「こんにちは、キャスティーヌです」
その様子を見たアルバートが
「よくできました」
と言ってニッコリと笑った。

「!!」
その笑顔を見て、僕の体がかーっと熱くなったところまで覚えているけど、その後どうなったのかわかんない。

気がついたら僕はベッドの中だったんだ。





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