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カテーテル…じゃなかったっけ?

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はい、おはようございます、朝です。
寝たような寝れなかったような夜を過ごし、眠気覚ましも兼ねたシャワーを浴びて、マリアンヌに色々された後朝食へ。

家族揃っての朝食だから、勿論兄も居ます。
はい、大変気まずいです。
でも盗み聞きをバレるわけにはいかないから、笑顔の仮面を被らねば。

「おはようございます、お父様、お母様、お兄様。
遅くなって申し訳ありません」
にっこり微笑み、カ…カ……カテーテルだっけ?令嬢のお辞儀をする。

両親は相変わらず仲良さそうで何より。
兄にもバレてはいないみたいで一安心だ。

因みに夜に両親の部屋の前を通るのは、やってはいけないこの家のルールの一つだと思い出した。
うん、両親のナニソレはガチだから、絶対に見聞きしたく無いよね、うんうん。

しかしながら前世の記憶を思い出した代わりに、今世の色んなことが抜け落ちてるみたいだよね。
これってあれか?
記憶喪失者が記憶を思い出したら、記憶をなくしている間の記憶を忘れてしまうってやつ?

でも体で覚えてる事はなんとかなってるからまだマシだけど、実際問題何を忘れて何を覚えているのかがわからないから困る。
それをどうすればいいのかなんかわかんないし。

これはあれか?
もう一度窒息死寸前に陥ったら第三の人格みたいに、両方の記憶が完璧な俺になれるのか?
……そんなわけないよね、アホな事考えてしまった。

ただ今学園へ向かう馬車の中です。

いや、何か別ゴト考えてないと、シスコン様のターンがずっと続くから。
何か考え事してると少しはほっといてもらえるんだよね。

てなわけで学園に着くまで、とりとめのない思考の海に沈んでマシタトサ。

*****


学園に到着後はクリスティーナと落ち合い教室へ。
今日の前半は魔法学の授業を受け、後半は男女に分かれた礼儀作法の授業だ。

基礎的なことは各家庭で学んでいるのだが、やはり作法も時と場合と相手によって変わるもの。
下級貴族や、貴族以外の学生には大事な授業なんですわ。

俺からしても、体で覚えているけれど、理屈というか、理論を把握したい。
何がどうしてこうなるってのを頭で理解したいタイプなんだよ、理屈っぽいと言われるけどね。

年配者にありがちな『いいから言われた通りにやればいいんだ』だと、その場では覚えてても、忘れるのが早い。
やっぱり頭と体、両方で覚えないと身につかないんだと思う。俺はね。

なんとか頭を空にして、体の動きだけでこなしたけど、一度
「なんでこう言う動きなんだ?」
と疑問に思ったら、スムーズだった動きがギクシャクしてしまった。

うん、とりあえず今と昔の記憶がガッチリ一致するまでは、余計なことを考えないようにしないとダメだね。

そしてそんな俺を心配したのか、クリスティーナも失敗していた。
後で謝っておかなきゃね。


何とか授業をこなしてから、クリスティーナに話しかける。
「またご心配をおかけしたようね、ごめんなさい」
「そんなことないわ、私が勝手にミスしたの。
……でも大丈夫?キャシー」
うん、さすがヒロイン、良い子やわー。

「どうも最近調子が悪いみたいなのですけど、ほんの少しですわ。
でも私ってそんなに不調そうに見えていますの?」
探りを入れてみると、少し考えた後クリスティーナが言う。

「そうね、少し元気な感じかしら。
体調がよろしくないと言うのに元気というのもおかしな事なのですけど、雰囲気が明るいと言うのかしら……。
どう言えば良いのかしら」

んー、中身が伯爵令嬢からお兄さんになったから滲み出るものが違うのかな。
言いたいことは分かったけど、言ってる本人が困惑気味だ。

「大丈夫よ、伝わったわ。
曖昧なこと聞いてごめんなさいね」
「いえ、謝ることなんてございませんわ。
それより今日はこれからどうしましょう」

グダグダになりかかった話を変えてくれるところも、気の使える良い子やわー、癒されるわー。

そんな俺たちに近寄って来る奴がいた。





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