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第五章 問題は尽きないようです

他の方々とも出会う

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それより何より、今回の始末はどうなるんですか?

『そうねぇ、あの人もあの女も酷く怒っていたから、きちんと調教していると思うわ』

……調教………。

『だいたい人間はこの長い年月をかけてもちっとも進化しないんだもの。
欲ばかり深くなって、進化を放棄するなんて傲慢だわ。
まあ、あの子が目をかけていたあなたのいる国はまだまともね』

進化…ですか?人間が?

『そう、進化。
空の生き物も水の生き物も、大地を駆ける生き物も、みな進化したわ。
水を泳ぐものは新たな糧を求めて地上に進出したし、大地を駆けるものは、二つの足で立って、手を使う事ができるようになった。
空を飛ぶものも、同じね。
人間の営みを見て、自分達がより生きやすい様に身体を作り変え、新たな種族として進化したわ』

魔物の人の事ですか?

『そう、人間とコミュニケーションを取るために会話もできる様になって、人と交わる事でさらに進化したわ。
そしてそれを受け入れて一緒に進化していっているのが、あなたのいる国ね』

魔物の人と交わったり、妖精の祝福によって寿命が延びたり、身体的に強くなったり…確かに進化だね。

『あの子が気に入っただけの事はあるわ。
それに比べて北の国の人間たちは、勘違いと欲ばかりで、見ていて不快だったの。
だから今回あなたが動いてくれた事できっかけに出来たの。ありがたいわ』

きっかけって言っても、水の方がコンタクトを取ろうとしてくれたから、今もこうしてこの場所に来ると言う事が出来ているんだと思うんだけど。

『謙遜しなくていいわよ。
あなたが動こうとした、それを妖精がフォローしようとした、それをあの人が利用したという事なんだから。
それにまず妖精と深く絆を結んでいなければ、妖精も動こうとしなかったのだから、全てはあなたの動きのおかげよ』

いやー、そんな大層な事してないと思うんだけど。

『ふふっ、英雄に選ばれただけの事はあるわね』

え?選ばれたって、あれはたまたまの、謂わば事故的なものなのでは?

『ううん、きっと今回の為に世界に英雄として選ばれたのだと思うわよ』

えー、流石にそれはこじつけかと…。

『ふふっ、物事は良い様に受け取るのが一番よ。
きっかけはどうあれ、それまでの過程と結果が全てだと思うわ』

……うん、良い様にとっておきます。

『そうよ、謙遜は美徳と限らないんだから、物事はプラスにとっておきなさいよ』

ありがとうございます、そうします。


そうやって空の人と交流を取っている間に、調教は終わったみたいだ。
呼ばれた様な気がして、下の方に意識を向けると、あの男の埋まっている場所まで引っ張られた。

『やあ、初めまして、妖精のお気に入りの君。
君が望んでいた様に、このゲスに思い違いの修正と、これからの責任の取り方を教え込んでやったよ』

ありがとうございます……って、実際どうなったんですか?

『ん?知りたい?ならダイジェスト版をお送りしよう』

その言葉が頭に聞こえてきたと思ったら、イメージ映像が怒涛の様に流れ込んできた。

かいつまむと、宇宙(そら)から降りてきたうちの四人がそれぞれの生き物の元になった事、生き物の進化、変わらない人間、それを不快に思う彼ら、その不快を知らず驕る人間、深まる不快感、人間を無に還そうとまで考えていた事、一部の進化の兆しのある人間の動きに委ねると決めた事……。

つまり僕達が動かなければ、下手したら人間はこの世界から滅んでいたかもしれないと……怖っ!






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