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第四章 そしてこれから
大円団?いや、とりまの終わり
しおりを挟む「いやー、何だか凄いよね、あの人」
翌日、城下町へお昼ご飯を食べに行くのに付き添ってくれているニトに話しかける。
「あー、イツな。
アイツは昔からあんなだぞ。
今のウチより小さい頃に、スイに会って一目惚れ。
カイ王子くらいの頃にドラゴン姿を見て二目惚れ。
成人後にドラゴンの角や爪やウロコなんかが、希少な薬の素になるって知って三度惚れ」
「運命の人なのかな?」
それだけ執心してるなら、そうなのかな?と思ったんだけど、
「いや、違うだろ。
小さい頃は見た目で、物心ついた後は知的好奇心だと思うぞ。
まぁ、アイツの運命の人がイツだと面白いけどな」
そう言った後、
「いや、やっぱりダメだ。
イツは最近まで俺との仲を疑ってて、随分厄介に突っ掛かれたから、幸せを願ってやる事なんて出来ないな」
と、首を振る。
「ニト……心が狭いんじゃない?」
僕が言うと、隣を歩いていたニトがしゃがみ込み、視線を合わせて真剣な顔で言う。
「お前さ、昨日アイツに突っ掛かれたんだろ?
あれが二十年以上続いてみな」
想像するまでもなく、げんなりするな、それは。
「前言撤回させていただきます」
「わかれば宜しい」
立ち上がるついでに抱っこされてしまった。
「でも、運命の人って同性もアリなんだ?」
子孫を残す為の運命的なモノなんじゃないんだ。
「そりゃそうさ、種族さえ超えるんだから、性別なんて小さい事だろ」
まぁ、種族が違うのに子供が出来るって事考えると、性別くらい小さな事……なのか?
でも僕は女の子が良いなぁ。
なんで事を抱っこされたまま考えてると、強い視線を感じて、ぶるっと震えてしまった。
同じく震えるニト。
「…………………………」
「…………お前も大変だなぁ」
視線の元は、護衛について来たネイだ。
「何がそんなに気に入ったんだ?
視線合わせるなら、スイだってワンコ副団長だって居るんだろ?」
小声で聞くと、ニトも小声で返してくる。
「スイの場合、上位種に対する服従って言うか、敬意だろうし、ワンコ……リイに対しては、アレは誰に対してもあんな感じだから、ペット感覚?
と言うか、やっぱり部下は部下だろ。
そこいくとお前は上でも下でもない立ち位置で居られるから……とかじゃないの?
まぁ、立ち位置は対等でも、立った視線の位置は全然違うけとね」
最後の一言余分だよ。
うーん、スイだと気分的に上司?ワンコ副団長だと、部下だから、上下関係が無い分いいって事なのかな?
でもさ、でも……何だかなぁ。
ネイが女の人なら嬉しかった気が……。
「案外ネイの運命の人かもね」
「いや、いくらバツイチと言っても、僕は女の子が良いから、BLは要らないから」
「バツイチ?BL?今度曾祖父さんに聞いてみよう」
何だかメンタルダメージを受けてしまった。
抱っこされたままうなだれて居ると、ニヤリと嫌な笑い方をするニト。
「あ~あ、腕が疲れて来たかな、誰か抱っこ変わってくれないかなぁ~」
「ちょっ!」
めちゃくちゃワザとらしく言うと、ススススとネイが近寄って来て、手を差し出す。
「私が変わりましょう」
ああ……めっちゃ良い笑顔だ…。
ニトめ、覚えてろよ!
と思いながら、ニコニコ笑顔のネイに抱っこされたまま城へ、しかも部屋まで運ばれた……。
こんな時は、熊澤さんに癒してもらおう……………。
*****
それから五日後、受け入れの準備が整ったと言う事で、いよいよ城を出て行くことになった。
この五日の間、城で仲良くなった人や、王妃様達への挨拶は順に済ませておいた。
出発の時は、特に仲の良くなった庭師の人達と、厨房の人達がわざわざ見送りに来てくれた。
勿論王様や宰相さん、ニト達やら八兵衛さんもで、なんだかんだで賑やかな出発となった。
「近いのだからいつでも城へ遊びに来てくれ」
「はい、妖精達との通訳が必要な時は、いつでも呼んで下さい」
一番のお仕事なのですからね。
「まぁ、近いし、買い物とかでもちょくちょく行くわ」
「仕事に差し障りのない程度でね」
ニトの言葉に返しているとネイが、
「私もお邪魔させていただいて宜しいでしょうか…」
「ハイオマチシテオリマスー」
そう返すしかない僕に、苦笑いを浮かべるラトさん。
息子さんを止めようよー。
「じゃあそろそろ行きますか」
トキ家からの迎えは、オールバックに髪を纏め、三つ揃いのスーツを着た秋彦さんだ。
「正装だからね」
とウインク。
いつも乗っていた馬車ではなく、トキ家の馬車へ乗り込み、トキ家へ向けて出発だ。
召喚されて、色々問題発生したけど、落ち着く場所も決まったし、これからこの世界で楽しみながら生きていこう。
ーーーーー〈切り取り線〉ーーーーー
前半はここでお終いですけど、番外編を挟んで、後半が始まります。
番外編は、ウチ以外のお話しとなります。
後半は、R15な部分もありますけど、よろしければ最後までお付き合いください。
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