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第二章 色々やってみよう

これからの事

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数日の間、術を使ってみたり、書庫で本を読んだり、遊戯室でこの世界のボードゲームを教えてもらって遊んだり、城下町を案内してもらったり、王子達とお茶したり…。

王子は相変わらず僕を敵視しているようだけど、ルル姫の付き添いとして割と頻繁に顔を合わせる。

ルル姫を始めハーフの方々は、隙あらば……みたいな感じで抱っこしたり、抱っこまでしなくても、頭を撫でたりする。
余りにもベタベタ触ってくる人が多いので、最近慣れて来てしまった。

今もルル姫が僕の腕に絡み付いてて、王子が後ろで凄い目をしている。

「はしたないから離れなさい」
と言われても、姫は無視して
「あっちの噴水は変わった仕掛けが有りますの。一緒に行きましょう」
と僕を引っ張って行く。
そしてまた王子に疎まれると…。

そんなに気にしなくても、幼女をどうにかしようなんて思わないし、僕の中では従兄弟の娘に懐かれてる感覚なんだから、そう睨まないで欲しい。


そんなある日、スイから告げられた。
「王からの伝言です。
明日の昼過ぎに会議室に来て欲しい、との事です」
「会議室?また何か通訳でもすれば良いのかな?」

術を習った日から、色んな人に有用な術を教えてくれとか、妖精がどう思ってるか聞いてくれ、など聞かれるようになった。

そしてその隙に撫でたり、ありがとうと言いながら抱きついて来たり…。
見た目中年なら実年齢は老年?な男性に抱きつかれる三十路男……シュールだ…………。


*****


翌日の昼食後、スイに先導され会議室へと出向く。

会議室には王様と白髪混じりの黒髪の宰相と、王様より年配の男女と、王様と同年代の男性の五人が居た。
 
スイが椅子を引き腰掛けると宰相が話し始める。
「さて、先ずはご紹介致します。
外交に出ていらした前国王のタシ・テム・リア様と奥方様のタシ・シフ・メル様、そして王弟のユゲ・リア・レンです」

紹介されて頭を下げたが、ふと疑問に思う事が……。

「ユゲ家は英雄家系で、黒髪の宰相様が直系なのではなかったのですか?
レン様は宰相様のご親族とご結婚されたのでしょうか?」
身内なら敬称無しでもまだ分かる。

「いえ、レンは私の夫です」
おっと、同性婚なのか?
英雄家系と王族が同性婚とかアリなのか?
と言うか、この世界では普通にある事なのか?
など思ったが、勿論口には出さないよ。

言葉にしなくても表情に出てたのか、宰相がニッコリと笑う。

「私達は同性婚では有りませんよ。
勿論同性婚も認められていますが、私達は違います」

そう言うと、宰相は目を閉じて口の中で何かを唱えた。
すると彼の姿が滲む様にブレて、それが治ると妙齢の女性の姿に変化した。

「ミミなどが無いですからパッと見た目では分かりませんが、私の親は淫魔で私はハーフなのです。
性別は無いので、パートナーになった相手に合わせて性別を変えております。
今までのパートナーの時は男性でした。
今は女性ですが、宰相という仕事柄、他国とわたり合うのはやはり男性の方が都合が良いですので、仕事中は男性になっているのです」

性別が無いとは、見た目だけでなく、やはり魔物と人は違うんだな。
不思議な世界だ。

宰相が元の姿(男性)に戻った後、前国王が口を開く。

「トウ・ドウ・ウチと申したか。
この度は我が孫が御迷惑をお掛けした。
これからの生活は国で面倒を見させていただくとして、流石にずっと城で暮らしてもらうのは困難だ。

ジンからも話しは聞いているだろうが、寿命的な事も考慮して、いずれかの英雄の家系で後見させていただきたい。

なので後見を決めるためにも各家を巡り、そちらに暫く滞在していただきたい」
その辺は王様に聞いていたので、僕は素直に頷く。

「了解いただき感謝する。
そこで先ずはユゲ家、宰相とレンの家に行かれるのは如何か?」

別に異論はなかったので、明日から暫くユゲ家の世話になる事となった。


まあここで反論しても、この幼児な見た目だと仕事も出来ないし、どうしょうも無いもんな。

とりあえず流れに身を任せようと思う。



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