124 / 206
三章 町をつくる様です
124 トラウマは持ちたくないものですね
しおりを挟む
少しばかり微妙な空気で晩餐を終え、詳しい話はまた明日として、疲れを癒すために休む事となりました。
ゲストルームへ案内された私達は、各々部屋で寛寛ぐ事に。
それぞれ1人部屋なのですが、私は2人部屋で、チャックとシナトラと白雪と一緒です。
白雪を一人寝させられませんし、チャックは私と一緒なのは鉄板です。
なのでシナトラがベッドを一つ、もう一方のベッドで残りの3人で寝るのです。
「ねえ父ちゃん、明日はギルドに行くんだよね?」
ベッドに仰向けに寝転がったシナトラが尋ねて来ます。
「そうですね、私も戦い方を教わりたいですし」
タイマンや抗争はたっぷり経験していますけど、魔法ありきの戦いなんて、この世界に来るまで経験ありません。
それに獣や魔獣などと戦ったのも、この世界に来てからしか無いです。
「シナトラとブルースが居れば、獣に襲われても大丈夫でしょうけど、この前みたいに二人のいない時に襲われる事も有るでしょう。
或いは大きな群れに遭遇する事も無いとは言えません。
そんな時に動けなかったら…。
皆を巻き込むような事、巻き込まれるような事が有るといけませんからね。
そう、巻き込むのも怖いけど、巻き込まれるのも困ります。
怪我や命の危険だけではなく、万が一ブルースが、シナトラが私を巻き込んだとして、体が傷つくのは私でしょうけど、心が傷つくのは、巻き込んだ方だと思うのです。
若い頃、総長の彼女が敵対しているチームに攫われて、痕の残る怪我をしたことが有りました。
その時怪我をした彼女より、巻き込んでしまった総長の方が落ち込んでしまい、ずっとトラウマを抱えていましたから。
当時は正直なところ、「助かったんだから気にしなくていいじゃん」などと思っていました。
けれど妻と出会って、大切な存在ができた時、その相手を巻き込んで、自分のせいで傷つけた時、果たして自分を許せるのかと考えたら…。
総長の心の傷が理解できました。
そんな気持ちをシナトラに味わわせ無いためにも、戦い方を教わるのは大切だと思います。
「………でも僕…剣を持つの怖いな」
そんなシナトラの小さな呟きに答えたのはチャックです。
「狩りをするのが嫌なんじゃ無いんでしょ?
それともこれからは皆が狩りをしている間じっと待ってる?」
シナトラは少し考えて、首を横に振りました。
「それは嫌だ、獲物を追って仕留めるのは楽しいから」
………………うん、まあ、肉食獣ですからね、そこは否定してはいけませんね。
「モリオオネコの時は爪と牙を使ってたし、一人で狩りをしてたから、周りを巻き込むとか考えたこと無かった。
ブルースのおっちゃんと狩りをする時も、うっかり斬りつけてもおっちゃん丈夫だし、問題なかったけど、おっちゃん以外斬っちゃうと、血が出て怪我するでしょ?」
「そうですね、怪我しますね」
怪我の前に、シナトラは何度うっかりでブルースを斬りつけたのでしょう……、突っ込みませんけどね。
「そうならないように教えてもらうんだよ。
オレだってもっと魔法の練習して、間違ってシナトラ達を痺れさしたりしないようにしなきゃね」
それも怖いですね。
狩りの最中に、間違って麻痺の魔法をかけられたら………怖!
「私も少し魔法の練習をしないといけませんね。
鉄パイプは使い慣れてますけど、【この世界の戦い方】をしっかり把握したいです」
まだまだ初心者の私達なのに、一緒にいるのが最強生物の王様トカゲな上に、冒険者としてなかなかのランクだった事、その冒険者として活躍していた時のメンバーが実力者だった事。
色んな条件が重なっているので、ブルースが【普通の冒険初心者】の指南ができていなかったんですね。
彼は少し大雑把なところもありますし、ブルースですし。
アインも戦う事は有るでしょうけど、どちらかと言うと一人で群れを殲滅タイプでしょう。
………混戦になっても、ピンポイントで魔法を使えそうですしね。
「武器でも魔法でも使い方次第なんじゃない?
万が一の確率を下げるためにも、練習したり、使い方を考えたりすればいいと思う」
「そうですよ、鉄パイプだって本来なら水やガスを流す物なんですけど、私が使うと武器になるんですから、なんでも使い方次第ですよ」
チャックと私の言葉にシナトラは頷きました。
普段なら、狩りはシナトラとブルースに任せて、チャックとディビッドは木の実や薪を集めてもらい、私は料理の準備、アインは情報収集やスケジュール組み、ルシーは……見学?
と言った感じの役割分担になっていますけど、人生何が有るかわからない物です。
皆が色んなことをやれた方が良いはずです。
ですから、私も狩りに行ったり、ブルースが料理の準備をしたり、シナトラが情報収集……は無理として、色んなパターンを試した方が良いのではないでしょうか。
その辺りは明日アインに相談してみましょう。
いつの間にか白雪が眠っていましたので、起こさないためにも私達は寝ることにしました。
ゲストルームへ案内された私達は、各々部屋で寛寛ぐ事に。
それぞれ1人部屋なのですが、私は2人部屋で、チャックとシナトラと白雪と一緒です。
白雪を一人寝させられませんし、チャックは私と一緒なのは鉄板です。
なのでシナトラがベッドを一つ、もう一方のベッドで残りの3人で寝るのです。
「ねえ父ちゃん、明日はギルドに行くんだよね?」
ベッドに仰向けに寝転がったシナトラが尋ねて来ます。
「そうですね、私も戦い方を教わりたいですし」
タイマンや抗争はたっぷり経験していますけど、魔法ありきの戦いなんて、この世界に来るまで経験ありません。
それに獣や魔獣などと戦ったのも、この世界に来てからしか無いです。
「シナトラとブルースが居れば、獣に襲われても大丈夫でしょうけど、この前みたいに二人のいない時に襲われる事も有るでしょう。
或いは大きな群れに遭遇する事も無いとは言えません。
そんな時に動けなかったら…。
皆を巻き込むような事、巻き込まれるような事が有るといけませんからね。
そう、巻き込むのも怖いけど、巻き込まれるのも困ります。
怪我や命の危険だけではなく、万が一ブルースが、シナトラが私を巻き込んだとして、体が傷つくのは私でしょうけど、心が傷つくのは、巻き込んだ方だと思うのです。
若い頃、総長の彼女が敵対しているチームに攫われて、痕の残る怪我をしたことが有りました。
その時怪我をした彼女より、巻き込んでしまった総長の方が落ち込んでしまい、ずっとトラウマを抱えていましたから。
当時は正直なところ、「助かったんだから気にしなくていいじゃん」などと思っていました。
けれど妻と出会って、大切な存在ができた時、その相手を巻き込んで、自分のせいで傷つけた時、果たして自分を許せるのかと考えたら…。
総長の心の傷が理解できました。
そんな気持ちをシナトラに味わわせ無いためにも、戦い方を教わるのは大切だと思います。
「………でも僕…剣を持つの怖いな」
そんなシナトラの小さな呟きに答えたのはチャックです。
「狩りをするのが嫌なんじゃ無いんでしょ?
それともこれからは皆が狩りをしている間じっと待ってる?」
シナトラは少し考えて、首を横に振りました。
「それは嫌だ、獲物を追って仕留めるのは楽しいから」
………………うん、まあ、肉食獣ですからね、そこは否定してはいけませんね。
「モリオオネコの時は爪と牙を使ってたし、一人で狩りをしてたから、周りを巻き込むとか考えたこと無かった。
ブルースのおっちゃんと狩りをする時も、うっかり斬りつけてもおっちゃん丈夫だし、問題なかったけど、おっちゃん以外斬っちゃうと、血が出て怪我するでしょ?」
「そうですね、怪我しますね」
怪我の前に、シナトラは何度うっかりでブルースを斬りつけたのでしょう……、突っ込みませんけどね。
「そうならないように教えてもらうんだよ。
オレだってもっと魔法の練習して、間違ってシナトラ達を痺れさしたりしないようにしなきゃね」
それも怖いですね。
狩りの最中に、間違って麻痺の魔法をかけられたら………怖!
「私も少し魔法の練習をしないといけませんね。
鉄パイプは使い慣れてますけど、【この世界の戦い方】をしっかり把握したいです」
まだまだ初心者の私達なのに、一緒にいるのが最強生物の王様トカゲな上に、冒険者としてなかなかのランクだった事、その冒険者として活躍していた時のメンバーが実力者だった事。
色んな条件が重なっているので、ブルースが【普通の冒険初心者】の指南ができていなかったんですね。
彼は少し大雑把なところもありますし、ブルースですし。
アインも戦う事は有るでしょうけど、どちらかと言うと一人で群れを殲滅タイプでしょう。
………混戦になっても、ピンポイントで魔法を使えそうですしね。
「武器でも魔法でも使い方次第なんじゃない?
万が一の確率を下げるためにも、練習したり、使い方を考えたりすればいいと思う」
「そうですよ、鉄パイプだって本来なら水やガスを流す物なんですけど、私が使うと武器になるんですから、なんでも使い方次第ですよ」
チャックと私の言葉にシナトラは頷きました。
普段なら、狩りはシナトラとブルースに任せて、チャックとディビッドは木の実や薪を集めてもらい、私は料理の準備、アインは情報収集やスケジュール組み、ルシーは……見学?
と言った感じの役割分担になっていますけど、人生何が有るかわからない物です。
皆が色んなことをやれた方が良いはずです。
ですから、私も狩りに行ったり、ブルースが料理の準備をしたり、シナトラが情報収集……は無理として、色んなパターンを試した方が良いのではないでしょうか。
その辺りは明日アインに相談してみましょう。
いつの間にか白雪が眠っていましたので、起こさないためにも私達は寝ることにしました。
10
お気に入りに追加
54
あなたにおすすめの小説
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
残滓と呼ばれたウィザード、絶望の底で大覚醒! 僕を虐げてくれたみんなのおかげだよ(ニヤリ)
SHO
ファンタジー
15歳になり、女神からの神託の儀で魔法使い(ウィザード)のジョブを授かった少年ショーンは、幼馴染で剣闘士(ソードファイター)のジョブを授かったデライラと共に、冒険者になるべく街に出た。
しかし、着々と実績を上げていくデライラとは正反対に、ショーンはまともに魔法を発動する事すら出来ない。
相棒のデライラからは愛想を尽かされ、他の冒険者たちからも孤立していくショーンのたった一つの心の拠り所は、森で助けた黒ウサギのノワールだった。
そんなある日、ショーンに悲劇が襲い掛かる。しかしその悲劇が、彼の人生を一変させた。
無双あり、ザマァあり、復讐あり、もふもふありの大冒険、いざ開幕!
幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜
霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……?
生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。
これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。
(小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)
【グラニクルオンライン】〜女神に召喚されたプレイヤーがガチクズばかりなので高レベの私が無双します〜
てんてんどんどん
ファンタジー
国王「勇者よ!よくこの国を救ってくれた!お礼にこれを!!」
国王は綺麗な腕輪【所有者を奴隷にできる腕輪】を差し出した!
主人公(あかん、これダメな方の異世界転移だわ)
私、橘楓(たちばな かえで)はいつも通りVRMMOゲーム【グラニクルオンライン】にログインしたはずだった……のだが。
何故か、私は間違って召喚されゲーム【グラニクルオンライン】の300年後の世界へ、プレイしていた男キャラ「猫まっしぐら」として異世界転移してしまった。
ゲームの世界は「自称女神」が召喚したガチクズプレイヤー達が高レベルでTUeeeしながら元NPC相手にやりたい放題。
ハーレム・奴隷・拷問・赤ちゃんプレイって……何故こうも基地外プレイヤーばかりが揃うのか。
おかげでこの世界のプレイヤーの評価が単なるド変態なんですけど!?
ドラゴン幼女と変態エルフを引き連れて、はじまる世直し旅。
高レベルで無双します。
※※アルファポリス内で漫画も投稿しています。
宜しければそちらもご覧いただけると嬉しいです※※
※恋愛に発展するのは後半です。
※中身は女性で、ヒーローも女性と認識していますが男性キャラでプレイしています。アイテムで女に戻ることもできます。それでも中身が女でも外見が男だとBLに感じる方はご注意してください。
※ダーク要素もあり、サブキャラに犠牲者もでます。
※小説家になろう カクヨム でも連載しています
クラス転移で神様に?
空見 大
ファンタジー
集団転移に巻き込まれ、クラスごと異世界へと転移することになった主人公晴人はこれといって特徴のない平均的な学生であった。
異世界の神から能力獲得について詳しく教えられる中で、晴人は自らの能力欄獲得可能欄に他人とは違う機能があることに気が付く。
そこに隠されていた能力は龍神から始まり魔神、邪神、妖精神、鍛冶神、盗神の六つの神の称号といくつかの特殊な能力。
異世界での安泰を確かなものとして受け入れ転移を待つ晴人であったが、神の能力を手に入れたことが原因なのか転移魔法の不発によりあろうことか異世界へと転生してしまうこととなる。
龍人の母親と英雄の父、これ以上ない程に恵まれた環境で新たな生を得た晴人は新たな名前をエルピスとしてこの世界を生きていくのだった。
現在設定調整中につき最新話更新遅れます2022/09/11~2022/09/17まで予定
不幸な少女の”日常”探し
榊原ひなた
ファンタジー
夜の暗闇の中、弱々しく歩く少女の姿があった。
03:31という時間なので車や人が通らず、街灯もない道を歩く少女の姿を見る者はいない。
もしその少女の姿を見たら思わず目を背けてしまうだろう。裸足で…異様なほど痩せていて…痛々しい痣や傷を全身に作り、服はだらしなく伸びきっており…肩口が破け…髪はボサボサで…。
だが…その少女は虚ろな目をしながら微かに笑っていた。
………
……
…
これは…不幸な少女の”日常”を探す物語。
_________________________
*一話毎文字数少ないです。
*多分R18じゃないはずです、でも一応そういった事も書いてあります。
*初めて書く小説なので文章力や表現力が無く、所々間違っているかも知れません。
*伝わらない表現があるかも知れません。
*それでも読んで頂けたら嬉しいです。
*本編完結済みです。
もふもふ好きの異世界召喚士
海月 結城
ファンタジー
猫や犬。もふもふの獣が好きな17歳の少年。そんな彼が猫が轢かれそうになった所を身を呈して助けたが、助けた彼が轢かれて死んでしまった。そして、目が醒めるとそこは何もない真っ白な空間だった。
いじめられっ子の僕が可愛い人外娘と行く冒険旅〜但し人外娘へと変える方法が独特で〜
揚惇命
ファンタジー
肝田河豚男《キモダフグオ》は、去年まで女子校だった才媛《さいえん》高校に入学する。だが30人のクラスで、男は自分1人だけだった。女子の上位カーストである天谷麻弥《アマタニマヤ》、その取り巻きである今宮春香《イマミヤハルカ》に目をつけられ、虐めを受ける。そんな、肝田河豚男の癒しは、そんな自分に優しく声をかけてくれる裏川菜奈《ウラカワナナ》の存在だった。だが、それも脆く崩れ去る。なんと裏川菜奈こそが天谷麻弥と今宮春香。それにクラスの女子たちをコントロールしていたのだ。そのことを知った肝田河豚男は、大好きなVRMMORPGデモンズフロンティアの世界へと逃げようとする。しかし、運営会社が資金難で倒産して、突然のサービス終了。心の支えを失った肝田河豚男は、とうとう死ぬことを決意する。そして、向かった商業施設のビルの路地裏で怪しげな店を見つける。そこはどんな願いも一つだけ叶えてくれる魔法の店だった。そこでリストバンドを買った肝田河豚男は、半信半疑のまま大好きなデモンズフロンティアの復活を願う。目を開けるとそこは、デモンズフロンティアの世界だった。
※カクヨム様・小説家になろう様でも掲載しています。
※毎週月〜金の18時投稿予定。土日はお休み。
※バイオレンス要素と軽い性描写があるため苦手な方は、ブラウザバック推奨。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる