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第二章 旅は道連れ

42 買い物を楽しんでしまいました

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無事にチャック達のカバンを、マジックバッグにすることに成功しました。
私は【付与魔法】を持っていないのに、何故できたのか疑問だったのですけど、どうやら【付与魔法】は【調合スキル】の一部だそうです。
アインが言うには、そのうち【錬金】という上級に発展するのだとか……、よくわからないのですが。


「依頼達成の換金アイテム報酬を、それぞれのカバンにしまってください」
私がまとめて預かっている、先日までの依頼報酬を三等分しました。
報酬はアインに言われて換金アイテムで受け取っています。

行った先によっては、物々交換しか出来ない所もあるそうなので、旅に出るなら、お金より換金アイテムの方が良いのだとか。

「高額の依頼を受ける様になれば、ギルドで貯蓄しておくのもいいですけど、手元に2、3日宿に泊まれる程、お金と換金アイテムは持っておいた方が良いでしょう」

「後は……薬でしたよね」
アドバイスに従い、アインの神殿でいただいた薬類も、3人で分けました。
「基本の薬はこれでいいと思います。
後は受けた依頼によって、必要な物を準備すればいいでしょう」

ロープは丈夫な物を買わないといけませんね。
後は二人の水筒と予備の武器、携帯食も明日買いに行くことにしました。
私の予備武器はナイフですけど、使ったことありませんよ?
「使えるのに越したことはありませんけど、何かあった時や威嚇用にでも持っていた方がいいですよ」
ステゴロでも良いんですけど、確かにナイフを持っていると、威嚇になりそうですね。

「携帯食はシリアルバーみたいなものですか?」
「そのシリアルバーが何かはわかりませんけど、干し肉やナッツ、干し果物、堅パンなどですかね」
ジャーキーにナッツにフルーツ……お酒の肴みたいですね。

「ではその辺りもまとめて、明日買い物に行きましょうね」
私が言いますと、先日と違い、目的がはっきりしたからなのか、シナトラの反応も悪くないです。

「シナトラは買い物に行くのは大丈夫ですか?」
「うん、チャック兄ちゃんに教えてもらったよ。
父ちゃんが居なくてもカバンの中から簡単に食べ物が出てくる様にするんだよね?
それに森に有る果物と違って、人がなんかした甘い果物とか、なんかした味付きの肉とかを、お金と交換するんだね?」
なんかしたとは、加工や調理をしたと言いたいのでしょうね。
チャックが随分噛み砕いてわかりやすく説明してくれた様です。

「他にも気になる物が有れば買って良いんですよ」
「何でも良いの?」
「そうですね、まず冒険に必要な物を買ってから、ですけど」
ニッコリ笑って大きく頷くシナトラの頭を撫でて、チャックに礼を言いました。

「説明ありがとうございます。
私の説明が下手でしたから、先日は理解してもらえなかったですね。
さすがチャックです」
「別に礼なんていいし。
ただ同じ亜人になったばかりだから、あんたよりシナトラの事がわかるだけだし」
私は嬉しくて、チャックの頭も撫でたのですが、
「子供扱いするな」
と逃げられてしまいました。
残念。



翌日は薄曇りの中、3人で買い物へと出かけます。
アインのアドバイスの物を購入した後、シナトラが問いかけて来ました。

「ねえ父ちゃん、保存食以外にも食べ物持ってても良いんだよね?」
ああ、おやつみたいな物が欲しいのですね。
勿論良いですよと伝えると、シナトラはチャックと一緒に、食べ物のお店の集まっている広場へと走って行きました。

着いて行こうと思ったのですけど、断られてしまい、残念です。

残された私は野宿用に、今の毛布だと少し小さいので、もう一回り大きい物と、敷物も欲しいですかね。
鍋も大きな物が欲しいですし、焼き物用に網が有っても良いですね。
あ、ヤカンなどもないでしょうか。

マジックバッグとは便利ですね。
どれだけ荷物が増えても大丈夫なんですから。

冒険者ギルドの近くには、冒険者向けの雑多な物を扱う店が複数店舗有りまして、色々と覗いているうちに、あれもこれも必要なのではないかという気になります。

テントやら食器やらと、目につく物を購入しては、マジックバッグへと入れていきます。
そうだ、服も買いましょう。
貫頭衣の様な物を着ている人も多いですけど、普通のシャツやズボンも有るみたいです。

多分なのですけど、森などの田舎?の方では、簡単に脱ぎ着できる物が好まれていて、町に住む人は、見た目も気にする様ですね。
チャック達の分も買いましょうかね。


換金アイテムをお金に変えて、気になった物をどんどん買っていたのですけど……

「おや?」

それまで入っていたマジックバッグに、物が入らなくなってしまいました。
故障でしょうか?
溢れた物は両手に抱え、宿へと戻りました。



「と言うわけなのですけど、修理などできるのですかね?」
いざとなれば新たに作れば良いのですけど、今マジックバッグの中に入っている中身はどうなるのでしょう?
一旦全部出したほうが良いのでしょうか?
アインに尋ねると、少し呆れた顔をされました。

「容量オーバーだと思いますよ。
一旦全部出してみてください」

言われるままに一つずつ出していきました。
「毛布ダス、敷物ダス、食器ダス、鍋ダス…………」

料理器具にスプーンやフォーク、服に靴に予備の鞄と小袋、ロープと薬類は言われた物以外にも、腹痛に効く薬や包帯などもあります。
後はテントに五徳、着火石と水の石、採取用のハサミと袋、小型ハンマーに小型のツルハシ、ランタンにザル、網、小瓶、小箱………。

「こんな感じですかね」
「……………………………」

ベッドの上へ出していたのですけど、スペースが足らず、ブルースのベッドの上のみならず、床にまで荷物が広がっています。

「………ちょっと入れ過ぎですかね?」
「………………そうですね、貴方の鞄は無限収納ではありませんからね」
「………………………どうすべきですか?」
「不要な物は売りましょう」
「そうですね」

このメンバーですから、ツルハシやハンマーは要らないそうです。
ランタンも魔法を使えるから不要で、着火用や飲み水用の魔石も、魔法が使える私達には不要だそうです。
他にもどんどん荷物を減らされました。

不要とされた物は、再度マジックバッグに詰めて、買ったお店へ。
一度購入した物は、返品などできないそうで、中古品として買い取ってもらうしかないそうです。

見たことの無い物や、今まで使うことのなかった物などに、少しばかり浮かれていたのでしょうか。
ちょっとばかり落ち込みながら、お店を回りました。





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