上 下
74 / 94

宴〜やっぱりお酒は必要だね

しおりを挟む

『何だ?これ?』
『今まで嗅いだ事ない匂いだな』
『何だ何だ?人族の飲み物か?』

配られた葡萄酒っぽい感じのお酒の匂いを皆が嗅いでいる。

うんうん、初めての食べ物や飲み物ってとりあえず匂い嗅いでみるよね。

「まぁまぁ、俺達の友達のドワーフが持って来た手土産だ。
毒が入ってるわけでも無いし、ちょっとずつだけど、皆も飲んでくれ」
「コー、ご飯の時は『いただきます』だろ?
酒を飲む時も同じなわけか?」

挨拶は大事と、日常の挨拶をする様にしてるんだけど、今まで飲む事無かったから初めての挨拶……合言葉?

「では皆カップを持って、俺が『乾杯』って言ったら皆も『乾杯』って言いながら、近くの人とカップを軽く合わせて下さい。
……じゃあ良いですか……カンパーイ!」

「「『カンパーイ!』」」

いや、絶対やると思った!
だから軽くって言ったのに、かなり激しくカップ同士をぶつけてあちらこちらでお酒が溢れてる。

「あ、初めてのお酒なんだから一気に飲まないで…………」

遅かった。
皆一気に酒を呷ってる……何だか嫌な予感しかしたいよね………。

『あーっはっはっはー!何だコレ!』
『あれ?お前三人居るぞ?分裂したか?』
『うひゃひゃひゃひゃ~』
『揺れてるぞ!地面が揺れる!気をつけろ!』
「きゃ~はははは、やだぁ~~」
『ZZZZZ』

想像通りです。
二口三口くらいしか飲んで無いはずなのにカオスです。

先程までただの食事会だったのに、一気に宴会って雰囲気になりました。

……お酒って凄い………。


*****


翌朝、飲んだ量が少しだったからなのか、皆の肝臓が強いのか、二日酔いになる事なく朝から元気です。

やっぱりお酒飲む前と飲んでからでは、皆の雰囲気とか全然違ったし、これからも宴や何かめでたい事があった時の為に、お酒を準備した方が良いかと判断する。

俺は飲めないんだけどね、皆の為にも作れるのなら作ろうかな。


オーガの中で一番陽気になってた三人を呼んで、相談してみた。
酒が気に入ったなら、作るのも賛同して、ついでに作るの頼めるかな?と思ったから。

「昨日少しだけどお酒飲まれましたよね。どうでした?」
『いやー、アレは良いな』
『人族はあんな良い飲み物持ってんのか』

よしよし、乗り気だね。

「あれ作ってみませんか?」
『何だって!』
『俺らにも作れんのか?』
『作ったらまた飲めんのか?』

うんうん、良い食いつきだ。
この三人にも街へ行って貰おう。
新たに酒造りの指導を受けさせてもらえるよう手紙に書き足した。

出来れば料理も覚えてきて欲しいけど、魔族の人達は味に拘らないようだし、それは無理かな。

食いしん坊の純血種のチョココロネなら……でも長い事水から離れるのは無理だろうし、人型になれるかもわからないから、今度再会したら聞いてみよう。

とりあえずは、建築と衣装と酒造りを指導してもらう事で良いかな。


*****


そして別れの時が来た。

「それではコウイチ様、町づくり頑張ってください」
「落ち着いたら城にもまた遊びに来てくださいね」
「皆気をつけて帰ってくださいね」
「私はもう暫くこちらに居ますが、手紙の件は宜しく頼みますよ」
「……なるべく早いお帰りをお待ちしております」

スケエリアがとても名残惜しそうにしてるけど、ここはごめんなさいだ。

「暫くは無理でしょうけど、また必ず会いに行きますね」
「再会を楽しみにしております」
「それでは……」

挨拶を交わし馬車を見送った。

「修行に行く時会いに行きますね」
スケエリアと仲良くなったサクラも一緒に見送りだ。

「皆さん頑張ってください」
一月弱しか一緒に居なかったけど、別れはやっぱりちょっと寂しいな。
でもやる事は沢山あるんだし、いつまでもしんみりしてられないな。

馬車を見送った後、今日の予定をこなす事にする。





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

最弱悪役令嬢に捧ぐ

クロタ
ファンタジー
死んで乙女ゲームの最弱悪役令嬢の中の人になってしまった『俺』 その気はないのに攻略キャラや、同じ転生者(♂)のヒロインとフラグを立てたりクラッシュしたりと、慌ただしい異世界生活してます。 ※内容はどちらかといえば女性向けだと思いますが、私の嗜好により少年誌程度のお色気(?)シーンがまれにあるので、苦手な方はご注意ください。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

NTRエロゲの世界に転移した俺、ヒロインの好感度は限界突破。レベルアップ出来ない俺はスキルを取得して無双する。~お前らNTRを狙いすぎだろ~

ぐうのすけ
ファンタジー
高校生で18才の【黒野 速人】はクラス転移で異世界に召喚される。 城に召喚され、ステータス確認で他の者はレア固有スキルを持つ中、速人の固有スキルは呪い扱いされ城を追い出された。 速人は気づく。 この世界、俺がやっていたエロゲ、プリンセストラップダンジョン学園・NTRと同じ世界だ! この世界の攻略法を俺は知っている! そして自分のステータスを見て気づく。 そうか、俺の固有スキルは大器晩成型の強スキルだ! こうして速人は徐々に頭角を現し、ハーレムと大きな地位を築いていく。 一方速人を追放したクラスメートの勇者源氏朝陽はゲームの仕様を知らず、徐々に成長が止まり、落ちぶれていく。 そしてクラス1の美人【姫野 姫】にも逃げられ更に追い込まれる。 順調に強くなっていく中速人は気づく。 俺達が転移した事でゲームの歴史が変わっていく。 更にゲームオーバーを回避するためにヒロインを助けた事でヒロインの好感度が限界突破していく。 強くなり、ヒロインを救いつつ成り上がっていくお話。 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』 カクヨムとアルファポリス同時掲載。

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

おっさん、勇者召喚されるがつま弾き...だから、のんびりと冒険する事にした

あおアンドあお
ファンタジー
ギガン城と呼ばれる城の第一王女であるリコット王女が、他の世界に住む四人の男女を 自分の世界へと召喚した。 召喚された四人の事をリコット王女は勇者と呼び、この世界を魔王の手から救ってくれと 願いを託す。 しかしよく見ると、皆の希望の目線は、この俺...城川練矢(しろかわれんや)には、 全く向けられていなかった。 何故ならば、他の三人は若くてハリもある、十代半ばの少年と少女達であり、 将来性も期待性もバッチリであったが... この城川練矢はどう見ても、しがないただの『おっさん』だったからである。 でもさ、いくらおっさんだからっていって、これはひどくないか? だって、俺を召喚したリコット王女様、全く俺に目線を合わせてこないし... 周りの兵士や神官達も蔑視の目線は勿論のこと、隠しもしない罵詈雑言な言葉を 俺に投げてくる始末。 そして挙げ句の果てには、ニヤニヤと下卑た顔をして俺の事を『ニセ勇者』と 罵って蔑ろにしてきやがる...。 元の世界に帰りたくても、ある一定の魔力が必要らしく、その魔力が貯まるまで 最低、一年はかかるとの事だ。 こんな城に一年間も居たくない俺は、町の方でのんびり待とうと決め、この城から 出ようとした瞬間... 「ぐふふふ...残念だが、そういう訳にはいかないんだよ、おっさんっ!」 ...と、蔑視し嘲笑ってくる兵士達から止められてしまうのだった。 ※小説家になろう様でも掲載しています。

魔境暮らしの転生予言者 ~開発に携わったゲーム世界に転生した俺、前世の知識で災いを先読みしていたら「奇跡の予言者」として英雄扱いをうける~

鈴木竜一
ファンタジー
「前世の知識で楽しく暮らそう! ……えっ? 俺が予言者? 千里眼?」  未来を見通す千里眼を持つエルカ・マクフェイルはその能力を生かして国の発展のため、長きにわたり尽力してきた。その成果は人々に認められ、エルカは「奇跡の予言者」として絶大な支持を得ることになる。だが、ある日突然、エルカは聖女カタリナから神託により追放すると告げられてしまう。それは王家をこえるほどの支持を得始めたエルカの存在を危険視する王国側の陰謀であった。  国から追いだされたエルカだったが、その心は浮かれていた。実は彼の持つ予言の力の正体は前世の記憶であった。この世界の元ネタになっているゲームの開発メンバーだった頃の記憶がよみがえったことで、これから起こる出来事=イベントが分かり、それによって生じる被害を最小限に抑える方法を伝えていたのである。  追放先である魔境には強大なモンスターも生息しているが、同時にとんでもないお宝アイテムが眠っている場所でもあった。それを知るエルカはアイテムを回収しつつ、知性のあるモンスターたちと友好関係を築いてのんびりとした生活を送ろうと思っていたのだが、なんと彼の追放を受け入れられない王国の有力者たちが続々と魔境へとやってきて――果たして、エルカは自身が望むようなのんびりスローライフを送れるのか!?

その日暮らしの自堕落生活

流風
ファンタジー
如月玲子、40歳。 施設出身で独身。家族も無く、多少ワーカーホリック気味の日常を淡々と過ごしていた。 人間関係が苦手で、お金が貯まったら老後は引きこもり生活を送りたい。そう思っていたのに… 突然の異世界召喚、しかも着地点がズレて湖の中へ。 気づくとなぜか13歳まで若返り、知らない世界での一からのスタートとなってしまう。 魔法のある世界だが、保有魔力量が徐々に減り、魔法が使える者が少なくなっている世界。そんな中、保有魔力量が物凄く多い玲子が召喚された。与えられたチートは魔力量のみ。魔物もいる世界で必死に魔法と剣術を学ぶ。 新しい世界で冒険者となったが、今さら仕事漬けの日々は送りたくないと、休日多めの生活を送ろうとするが… 出会ったモフモフに「ダラダラするな」と怒られながら狩りに付き合わされ、召喚した王族の捜索から逃れるために隣国を目指し旅をする。 いつか平和な街の片隅の小さな家を買いダラダラ生活を目標に頑張って生きていきます。

女神の力を持たされた転生王女は銀河系最強勇者達に保護される

有馬 迅
ファンタジー
仕事に疲れてしまった他世界の女神に気がついたら拉致られていた水森 花梨は、そうとも知らずに疲弊していた女神を励まし、その力を譲られてしまった。 他の神様達のルールや柵、色々な都合と責任逃避の結果、女神が管理していた世界の辺境小国に第3王女フィリアとして転生することになったのだが…。 ※最初の3話以降書き溜めゼロです → 本編完結しました ※R15は保険です(暴力表現・グロ用。エロは多分ありません) ※毎日更新です → 外伝移行の為、不定期更新に変わります

処理中です...