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スライム強者設定が有るのを知らない俺です
しおりを挟む意識を取り戻したカクムンドさんに話を聞こうと近づいていると、瓶の中から呟きが聞こえてきた。
『おいおい、このスライム様ともあろう者が人族に負けただと?
しかもこんな狭いトコに入れられるとは。
アイツもしや人族と違うのか?』
ゲームの中みたいにスライムも喋るんだ。
「いえいえ、普通に人ですよ」
『うおぉ!コイツ喋った!』
いや、それはこっちのセリフですよ。
『へぇ、珍しいなぁ。
その強さと言い本当は魔族なんじゃねぇの?』
人聞きの悪い。
普通の人だよ。
ちょっと別の世界から来ただけで、チートも何もない高校生だよ。
『んで?俺はこんなトコに入れられて殺されるの?』
「いやいや、そんな物騒な事しませんって、話をしたくて。
今度魔族の町を作って、そこで魔王になるんですよ。
人族と争わず仲良く、楽しい魔族の町を作ろうと思ってます」
『そりゃまた何でわざわざそんな事を?』
「魔族の方の力試しで、人族に被害が出てて困ってる様なんです。
なので住む場所を分けて、被害が出ないようにしてくれと頼まれたんです」
『そりゃあ人族の勝手だな。
そんな事して俺達に何の得が有るってんだ?』
だよね。
言ってて思ったけど、別に殺したり奪ったりしてる訳でもないのに離れてくれって、一方的な感じがする。
「すみません、まだしっかり考えて無いです。
でも細かい事は後から考えるとして、得になるか分かりませんが、種族問わず強い魔族の方が集まるから、最強を決めたり?」
『ほう、最強か!』
あ、こんなしどろもどろな話に食いついた。
さすがノーキンだ。
国を作ったら、最強武闘会とか開催するとか?
それなら納得してくれる人出てくるかも。
「他にも色々考えてみますので、弱い人族に絡まずに、とりあえず一緒に旅しませんか?」
『旅か…それは何か面白いのか?』
「色んな強い魔族の人に会えますよ。
純血種の人達と話し合いする予定ですので」
『純血種か!スライムには純血種は居ないし、殆どの純血種は引きこもってて滅多に会えないからな。
面白そうじゃないか!
よし、純血種と戦わせてくれるなら付いて行ってやるぜ!』
こんな拙い交渉で仲間になってくれるなんて、本当に小学生レベル。
まあ、最初の仲間はスライムがテッパンだよね。
話し合いが終わったので瓶から出してあげると…アプリコット臭のスライムの出来上がり…
『お?俺様何だかいい匂いじゃないか?』
まあ本人が喜んでるから良いか。
でも話しててちょっと情けなくなった。
これからの方針は決まったかと思ったけど、先の事は何も考えてなかった、
魔王にはなるとして、そこから何をするのか
人族とどのような距離を取って、どう付き合うか
まだ他にも有るだろうけど、とりあえずその二つは早目に考えないとダメだよね。
と言うか準備期間短すぎだよ。
何も具体的な事決める前に城から出され…出発したんだから仕方ないと言うか、あの駄女神が根源なんじゃないか?
丸投げし過ぎだと思うよ、本当。
そうだ、カクムンドさん大丈夫なのかな。
聞きたい事もあったんだ。
皆の方を振り返ると四人がビックリしたような顔でこちらを見ていた。
なぜ?
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