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『君の知らない魂の決意』
016 『Product』
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重力装置を操作できるスズナが運転するSkyDCに乗り、新東京大学へ向かう車内。黒のクラフトスーツに着替えたユウラとスズナは、地上と上空から、予期せぬ攻撃があってもすぐに対応できるようにと理由をつけて、ルカとレイを同乗させなかった。
「訊いていいかしら?」
いつになく不安そうな声でスズナは訊く。
「ん?」
「今朝の段階で、《未來ミナ》に新たな武装クラフトが施されていたら、私たちに対抗する手段があると思う?」
「俺たちはあくまでも、生活の補助をするためのクラフトを専門にしているからな。もし、あのクラフトを宮城ヒロが施していたのだとしたら、俺たちが武装クラフトをしたところで対抗できないだろうな」
「やっぱりそうよね……」
「一番問題なのは、クラフト以前に《MOTHER》にハッキングしたのが誰かってことなんだけどな。もし、《BLACK》じゃなくて、宮城ヒロだったとしたら相当厄介だぞ」
MOTHERのメインシステムに侵入し、情報の改ざんや権限を自衛隊から奪取することは普通のハッカーでは無理だった。なぜなら、MOTHERへのアクセスコードは、毎秒ごとに何兆通りの暗号コードとして並び替えられるため、それを瞬時に解読し入力することはほぼ不可能。唯一、同じタイミングで並び替えられたアクセスコートが八王子隊長が所持しているセキュリティチップにも反映されるため、それ以外でアクセスすることができないからだ。
さらに日本各地から選りすぐられたホワイトハッカーたちによって、完璧なハッカー対策が成されている。難攻不落の鉄壁と言える絶対的なセキュリティ。それを知っている二人は、宮城ヒロという男を脅威に感じていた。
「確かに、複数人いるホワイトハッカーを凌ぐハッカーの知識と技術を持ったクラフターということになるわよね」
「考えたくはないけどな。あんなクラフトを現実にできるクラフターが宮城ヒロだったとしたら、あり得ない話じゃない」
「ねえ、私1つ思いついたわ。《MOTHER》を強制的にシャットダウンしたら、転送装置とか《Alice》も機能が停止するんじゃない? そしたらに逃亡もできないし、《未來ミナ》も活動停止で動けなくなるわよね?」
「どうしようもなくて焦る気持ちはわかるけど、それは無理だろ」
「あら、私が考えたことが的確すぎて受け入れない気かしら?」
「冷静に考えてみろよ。《MOTHER》をシャットダウンしたら、国内にあるすべての電子機器が機能を停止するんだぞ。そしたら、みんながパニックを起こして宮城ヒロを見つけるどころの話じゃなくなるぞ。それに、《未來ミナ》が動かなくなったときに、体中を巡っている核燃料がどうなるかわからないだろ?」
「なら、私たち宮城ヒロを見つけたところで、何もできないじゃない。強制的に止めることもできないし、核爆発が起きたら困るから破壊して止めるわけにもいかないし」
「だから教授に話を聞きに行くんだよ。宮城ヒロについて知ることができれば、話し合いで解決できるかもしれない」
「あんな事件を起こした犯人と関係があるなら、普通の人間じゃないに決まっているじゃない。あんたも少し冷静になって考えなさいよ」
「自分の意思で行動していたらの話だろ。もし、《BLACK》に従わなければならない事情があったら話す余地はある」
「逆に話が通じる相手じゃなかったら、終わりってことね」
「そうだな」
希望というものは、非合理的でいつも不確実なもの。しかし、それは不安や恐怖に押し潰されてしまいそうな暗闇の中にいるときこそ、大きな光となり強い輝きを見せる。少し悲観的になっていたスズナにとって、ユウラが発する言葉一つ一つに、理想と現実が散りばめられていることが、聞こえの良い言葉を並べただけの慰めの言葉よりも、安心することができた。
「ねえ、私と勝負しない?」
「は? ここまで来て勝負とか、どうかしてるぞ」
「私とあんた、どっちが生き残れるか」
その言葉に込められた想いを察したユウラは、小さく頷いた。
それから新東京大学へ到着するまでの間、二人は言葉を交わさないまま過ごした。
***
新東京大学は、旧東京大学の敷地をそのまま活用し、東京大学や早稲田大学、明治大学などを含めた国立12大学、公立2大学、私立123大学の計137大学を統合した日本最大級の国立大学である。
大学の統合時に、老朽化が進んでいた建築物の建て替えが行われ、そのほとんどが地上30階からなる高層ビル群に変わり、新たな学び舎として生まれ変わった。そんな様変わりした大学内で、昔と変わらぬ姿で残っている建造物がある。それは東京都時代に初めて登録有形文化財に指定された安田講堂や法文1号館、法文2号館、法学部3号館、工学部列品館、工学部1号館、本郷通りに面している正門と門衛所、そして、かつての国宝であり国の重要文化財に指定されている赤門だ。教育史を象徴する建造物を失ってわならないという人々の願いから、修繕工事だけを行い、そのまま残されている。
昔であれば、複数ある大学の中から選択し受験することができたが、受験可能な大学は新東京大学に限定され、現在では選ばれたエリートのみが入学できる特別技術者育成機関という位置付けにある。
その代わりに、年齢問わず実力さえ備わっていれば、小学生や幼稚園児でも新東京大学に受験することが可能で、能力に応じて飛び級や卒業することができる。
そんなエリート中のエリート大学を卒業したユウラは、あの日、教授と話をして以降この場所を訪れていない。二人は懐かしい風景に思いを馳せながら教授のもとへ向かう。
「ここに来るのも、久しぶりだな」
「卒業以来ね……。そういえば、教授ってまだ現役でやっているかしら」
「あの人まだ、50歳前半くらいだし現役だと思うけど」
「嘘……。私、教授のこと60歳後半くらいだと思っていたのだけれど、そんなに若いの?」
「そんなに老けてたか?」
「うん」
「だったら、別の教授と勘違いしてるんじゃないか」
「でも、ここの大学にいる変わり者の教授って言ったら一人しかいないわよね?」
「まあ、一人しかいないと思うけど」
「そうよね……。私、気難しい人苦手だから授業も取っていなかったし、勘違いかも知れないわ」
「とりあえず、研究室に行ってみよう」
研究室の前に行くと、部屋の明かりが付いていた。
「失礼します」
ドアをノックし部屋の中に入ると、あの時と変わらない古いパソコンを使用して、何やら真剣な表情でキーボードを打ち鳴らす教授の姿があった。
「誰かね? 私は今忙しくて手が離せないのだが」
パソコン画面から目を離さず、指を動かし続けながら教授は言った。
「お仕事中すみません。ご無沙汰しています。吾妻ユウラです」
名前を聞いた途端、指を止めユウラの方へ視線を送る。
「ああ、君か。それに横にいるのは、神埼くんだったかな?」
「はい、神埼スズナと申します。在学中はお話をする機会がなかったのに、よく覚えていらっしゃいますね」
「不思議なことではないさ。私は才能ある君たちについて多少なりとも興味があって、ここにいるのだから」
才能があると判断した生徒に関して、全員の名前と顔を教授は覚えている。
「何かあれば、ここへ来ると思っていたが、二人揃って結婚の報告でもしに来たのかい?」
「冗談はやめてください。実は、卒業生の宮城ヒロという人物についてお話を聞きたいと思いまして」
「彼がどうかしたのかい?」
「かなり凄腕のクラフターだという噂を聞きまして、今後の研究に役立てられればと」
「なるほど。まだ諦めずに研究は進めているようだな。分かった、私に分かる範囲であればで教えてあげよう」
そう言うと、あの日と同じ様にライトペンシルを手に取り『宮城ヒロとは?』と、クリアボードに白光りする文字を書いた。
「ありがとうございます。早速ですが、宮城ヒロはどんなクラフトに特化したクラフターだったんですか?」
「うーん……。彼は、どんなクラフトでもトップの成績だったな。満遍なくすべてをこなせる印象だ」
「満遍なくですか。それでも、1番得意なクラフトはありますよね」
「強いて言うなら、彼は転送装置の開発に力を入れていたようだ」
「転送装置ですか?」
「ああ、彼は転送装置の新たな可能性に心を惹かれていたようだからな。学生時代から「将来的に物だけを転送する時代は終わる」と豪語していた。確かネズミを使った生物転送の実験も行なっていたはずだ」
一言でクラフトと言ってもその用途は多岐に渡る。ユウラのように生体機能を強化するクラフターが行うクラフトを例に挙げると、ルカに改造を施している声帯や脚部に対するクラフトなどがある。これは主にAIが搭載されているアンドロイドに適しているクラフト技術だが、これを医療の分野に応用すれば、義手や義足、義眼などハンディキャップを背負う人々に対しても有効だ。
対して、宮城ヒロは新たな転送装置の開発に力を入れていた。
「実験は、成功したんですか?」
実現不可能だと思っていた生体転送についての研究をしていたことに、ユウラは一人の研究者としても興味をひかれていた。
「光粒子化することには成功したが、転送には至っていないと聞いた覚えはある」
元々、光量子仮説に基づく光電効果の理論的解明により、1921年のノーベル物理学賞を受賞した20世紀最大の物理学者《アルベルト・アインシュタイン》によって、光が粒子であると言われ、現代ではその仮説は正しかったと実証されている。結果として、物質の光粒子化やデータ化は既に完成することに成功しているが、細菌以外の生物を光粒子化したという成功事例は公表されていない。
つまり、宮城ヒロは学生の時点で、長年成功例がなかった生物の光粒子化することに成功したということになる。
「まさか、本当に生物の転送を研究しているやつがいるなんて……」
「彼自身は、この研究については伏せていたようだが、何か理由があったのだろう。他に何か聞きたいことはあるかね?」
「他に何か研究してたことはないですか?」
「私にはそれ以上は、話してはくれなかったが、研究資料なら学内に保管されているはずだ。卒業生である君たちなら、何の問題もなく閲覧できるだろう」
「ありがとうございます」
「それはそうと、君の研究は順調かね?」
「いえ、俺の方はまだこれといって進展はないです」
「そうか。次は何か進展があったときにここへ来なさい」
ユウラたちは、軽くお辞儀をして教授の研究室を後にした。
「訊いていいかしら?」
いつになく不安そうな声でスズナは訊く。
「ん?」
「今朝の段階で、《未來ミナ》に新たな武装クラフトが施されていたら、私たちに対抗する手段があると思う?」
「俺たちはあくまでも、生活の補助をするためのクラフトを専門にしているからな。もし、あのクラフトを宮城ヒロが施していたのだとしたら、俺たちが武装クラフトをしたところで対抗できないだろうな」
「やっぱりそうよね……」
「一番問題なのは、クラフト以前に《MOTHER》にハッキングしたのが誰かってことなんだけどな。もし、《BLACK》じゃなくて、宮城ヒロだったとしたら相当厄介だぞ」
MOTHERのメインシステムに侵入し、情報の改ざんや権限を自衛隊から奪取することは普通のハッカーでは無理だった。なぜなら、MOTHERへのアクセスコードは、毎秒ごとに何兆通りの暗号コードとして並び替えられるため、それを瞬時に解読し入力することはほぼ不可能。唯一、同じタイミングで並び替えられたアクセスコートが八王子隊長が所持しているセキュリティチップにも反映されるため、それ以外でアクセスすることができないからだ。
さらに日本各地から選りすぐられたホワイトハッカーたちによって、完璧なハッカー対策が成されている。難攻不落の鉄壁と言える絶対的なセキュリティ。それを知っている二人は、宮城ヒロという男を脅威に感じていた。
「確かに、複数人いるホワイトハッカーを凌ぐハッカーの知識と技術を持ったクラフターということになるわよね」
「考えたくはないけどな。あんなクラフトを現実にできるクラフターが宮城ヒロだったとしたら、あり得ない話じゃない」
「ねえ、私1つ思いついたわ。《MOTHER》を強制的にシャットダウンしたら、転送装置とか《Alice》も機能が停止するんじゃない? そしたらに逃亡もできないし、《未來ミナ》も活動停止で動けなくなるわよね?」
「どうしようもなくて焦る気持ちはわかるけど、それは無理だろ」
「あら、私が考えたことが的確すぎて受け入れない気かしら?」
「冷静に考えてみろよ。《MOTHER》をシャットダウンしたら、国内にあるすべての電子機器が機能を停止するんだぞ。そしたら、みんながパニックを起こして宮城ヒロを見つけるどころの話じゃなくなるぞ。それに、《未來ミナ》が動かなくなったときに、体中を巡っている核燃料がどうなるかわからないだろ?」
「なら、私たち宮城ヒロを見つけたところで、何もできないじゃない。強制的に止めることもできないし、核爆発が起きたら困るから破壊して止めるわけにもいかないし」
「だから教授に話を聞きに行くんだよ。宮城ヒロについて知ることができれば、話し合いで解決できるかもしれない」
「あんな事件を起こした犯人と関係があるなら、普通の人間じゃないに決まっているじゃない。あんたも少し冷静になって考えなさいよ」
「自分の意思で行動していたらの話だろ。もし、《BLACK》に従わなければならない事情があったら話す余地はある」
「逆に話が通じる相手じゃなかったら、終わりってことね」
「そうだな」
希望というものは、非合理的でいつも不確実なもの。しかし、それは不安や恐怖に押し潰されてしまいそうな暗闇の中にいるときこそ、大きな光となり強い輝きを見せる。少し悲観的になっていたスズナにとって、ユウラが発する言葉一つ一つに、理想と現実が散りばめられていることが、聞こえの良い言葉を並べただけの慰めの言葉よりも、安心することができた。
「ねえ、私と勝負しない?」
「は? ここまで来て勝負とか、どうかしてるぞ」
「私とあんた、どっちが生き残れるか」
その言葉に込められた想いを察したユウラは、小さく頷いた。
それから新東京大学へ到着するまでの間、二人は言葉を交わさないまま過ごした。
***
新東京大学は、旧東京大学の敷地をそのまま活用し、東京大学や早稲田大学、明治大学などを含めた国立12大学、公立2大学、私立123大学の計137大学を統合した日本最大級の国立大学である。
大学の統合時に、老朽化が進んでいた建築物の建て替えが行われ、そのほとんどが地上30階からなる高層ビル群に変わり、新たな学び舎として生まれ変わった。そんな様変わりした大学内で、昔と変わらぬ姿で残っている建造物がある。それは東京都時代に初めて登録有形文化財に指定された安田講堂や法文1号館、法文2号館、法学部3号館、工学部列品館、工学部1号館、本郷通りに面している正門と門衛所、そして、かつての国宝であり国の重要文化財に指定されている赤門だ。教育史を象徴する建造物を失ってわならないという人々の願いから、修繕工事だけを行い、そのまま残されている。
昔であれば、複数ある大学の中から選択し受験することができたが、受験可能な大学は新東京大学に限定され、現在では選ばれたエリートのみが入学できる特別技術者育成機関という位置付けにある。
その代わりに、年齢問わず実力さえ備わっていれば、小学生や幼稚園児でも新東京大学に受験することが可能で、能力に応じて飛び級や卒業することができる。
そんなエリート中のエリート大学を卒業したユウラは、あの日、教授と話をして以降この場所を訪れていない。二人は懐かしい風景に思いを馳せながら教授のもとへ向かう。
「ここに来るのも、久しぶりだな」
「卒業以来ね……。そういえば、教授ってまだ現役でやっているかしら」
「あの人まだ、50歳前半くらいだし現役だと思うけど」
「嘘……。私、教授のこと60歳後半くらいだと思っていたのだけれど、そんなに若いの?」
「そんなに老けてたか?」
「うん」
「だったら、別の教授と勘違いしてるんじゃないか」
「でも、ここの大学にいる変わり者の教授って言ったら一人しかいないわよね?」
「まあ、一人しかいないと思うけど」
「そうよね……。私、気難しい人苦手だから授業も取っていなかったし、勘違いかも知れないわ」
「とりあえず、研究室に行ってみよう」
研究室の前に行くと、部屋の明かりが付いていた。
「失礼します」
ドアをノックし部屋の中に入ると、あの時と変わらない古いパソコンを使用して、何やら真剣な表情でキーボードを打ち鳴らす教授の姿があった。
「誰かね? 私は今忙しくて手が離せないのだが」
パソコン画面から目を離さず、指を動かし続けながら教授は言った。
「お仕事中すみません。ご無沙汰しています。吾妻ユウラです」
名前を聞いた途端、指を止めユウラの方へ視線を送る。
「ああ、君か。それに横にいるのは、神埼くんだったかな?」
「はい、神埼スズナと申します。在学中はお話をする機会がなかったのに、よく覚えていらっしゃいますね」
「不思議なことではないさ。私は才能ある君たちについて多少なりとも興味があって、ここにいるのだから」
才能があると判断した生徒に関して、全員の名前と顔を教授は覚えている。
「何かあれば、ここへ来ると思っていたが、二人揃って結婚の報告でもしに来たのかい?」
「冗談はやめてください。実は、卒業生の宮城ヒロという人物についてお話を聞きたいと思いまして」
「彼がどうかしたのかい?」
「かなり凄腕のクラフターだという噂を聞きまして、今後の研究に役立てられればと」
「なるほど。まだ諦めずに研究は進めているようだな。分かった、私に分かる範囲であればで教えてあげよう」
そう言うと、あの日と同じ様にライトペンシルを手に取り『宮城ヒロとは?』と、クリアボードに白光りする文字を書いた。
「ありがとうございます。早速ですが、宮城ヒロはどんなクラフトに特化したクラフターだったんですか?」
「うーん……。彼は、どんなクラフトでもトップの成績だったな。満遍なくすべてをこなせる印象だ」
「満遍なくですか。それでも、1番得意なクラフトはありますよね」
「強いて言うなら、彼は転送装置の開発に力を入れていたようだ」
「転送装置ですか?」
「ああ、彼は転送装置の新たな可能性に心を惹かれていたようだからな。学生時代から「将来的に物だけを転送する時代は終わる」と豪語していた。確かネズミを使った生物転送の実験も行なっていたはずだ」
一言でクラフトと言ってもその用途は多岐に渡る。ユウラのように生体機能を強化するクラフターが行うクラフトを例に挙げると、ルカに改造を施している声帯や脚部に対するクラフトなどがある。これは主にAIが搭載されているアンドロイドに適しているクラフト技術だが、これを医療の分野に応用すれば、義手や義足、義眼などハンディキャップを背負う人々に対しても有効だ。
対して、宮城ヒロは新たな転送装置の開発に力を入れていた。
「実験は、成功したんですか?」
実現不可能だと思っていた生体転送についての研究をしていたことに、ユウラは一人の研究者としても興味をひかれていた。
「光粒子化することには成功したが、転送には至っていないと聞いた覚えはある」
元々、光量子仮説に基づく光電効果の理論的解明により、1921年のノーベル物理学賞を受賞した20世紀最大の物理学者《アルベルト・アインシュタイン》によって、光が粒子であると言われ、現代ではその仮説は正しかったと実証されている。結果として、物質の光粒子化やデータ化は既に完成することに成功しているが、細菌以外の生物を光粒子化したという成功事例は公表されていない。
つまり、宮城ヒロは学生の時点で、長年成功例がなかった生物の光粒子化することに成功したということになる。
「まさか、本当に生物の転送を研究しているやつがいるなんて……」
「彼自身は、この研究については伏せていたようだが、何か理由があったのだろう。他に何か聞きたいことはあるかね?」
「他に何か研究してたことはないですか?」
「私にはそれ以上は、話してはくれなかったが、研究資料なら学内に保管されているはずだ。卒業生である君たちなら、何の問題もなく閲覧できるだろう」
「ありがとうございます」
「それはそうと、君の研究は順調かね?」
「いえ、俺の方はまだこれといって進展はないです」
「そうか。次は何か進展があったときにここへ来なさい」
ユウラたちは、軽くお辞儀をして教授の研究室を後にした。
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