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四章 鄒畿山の戦い
屍山血河
しおりを挟む雪がちらちらと降り始めるころ、朝廷軍は鄒畿山に到着し、柏木の里を包囲した。山の周辺に陣地をつくり、足場を踏み固めて山を取り巻くようにして、蟻一匹も通さない包囲網が完成した。
「大層なこった。ごまんといるぜ」
「実際は十万だがな」
行俊と弓彦は急峻な崖からその様子を見降ろしていた。これほど離れていては目標が小さすぎて攻撃は出来ないが、監視のためにここへ張り付いているのだ。千里眼の術者が警戒してはいるのだろうが、行俊と弓彦は軍の様子を見たかったのでやって来ている。普段からは考えられないような人数が集まり、手に手に槍や弓などの武器や、楯を持って歩いている。馬に乗っている者は位の高い指揮官らしい。一般兵に命令を与えていた。
「寅二は大丈夫かな」
「さあ……でも既に門の前は結界が張ってあるし、術者も揃えてる。敵がこの守備を破れるとは思えないけどなあ」
加えて門を守っているのは青龍導師である。ヤマトの全ての術者の中で最強の攻撃力を有する人物で、戦況が悪化したとしても青龍導師が敗れるのは想像もできない。
寅二は緒戦に参加させられているが、その次は行俊達が出なくてはならない。飛んでくる矢の数を考えると、あまりいい気分ではない。
「動き始めたな」
指揮官であるらしい騎兵が歩兵集団を率いて森の向こうへ姿を消した。次いで角笛が鳴る。これは兵士を集合させる合図であるらしい。つまり、これから戦いがはじまろうとしているのだ。
「こんだけいる中から将軍を探し出せって言われても無理だよなあ」
里の人間はたいてい目が良く、遠くまで細かいものを見ることもできるのだが、それでも山の頂上付近にある里から麓の兵士たちを見ても将軍らしき人物などは見抜くことが出来ない。よほど煌びやかな着物を着たりしていなければ判別は不可能だろう。
弓彦は軍を眺めながらため息をつく。
「もうなんでこんなことになったかな」
「しょうがないだろ。妖怪が復活して役人に取り憑いたのに気づかなかったんだし」
「ほんと都にいる奴らは何してんだよ。如月も都に行って帰ってないんだろ?」
「ああ。ひょっとしたら如月を含めて都の術者は既に全滅したのかもな」
都の術者が殺されていないとすれば、妖怪が取り憑いてその肉体を操っていることが考えられるが、現在都にいるのは白虎導師である。まさか敵の罠にそう易々と引っかかるわけがあるまい。
「そういや朱雀導師は?」
「確か今は里の中で休んでる。青龍導師と交代で戦うらしいぞ」
導師だけでなく他の術者も千人を三つにわけて交互に門で戦うことになっている。門の狭さの為、敵軍が一度に多くの戦力を投入できないのが幸いして、三百人弱でも十分対抗できるのである。さらに敵の神通力対策で賀古丸が味方への攻撃の命中率を下げているので、相当堅固な守りである。
「始まるみたいだな」
弓彦が指さした方を見ると、門の周りの森に兵士たちが隠れているのが見えた。
ああ、なぜ俺はこんなところに来てしまったのだろう。
二郎は森の中で弓を構えながらそう思った。前の戦は相手が自分と同じように武器を持って戦っていたので恐怖こそあれ未知の力への恐れは無かったが、今回は違う。あの恐るべき神通力の使い手たちと戦わねばならないのだ。
ーふん、どうせお前は緒戦で死ぬさ。
幸作の声が頭に浮かんでくる。幸作は槍と支給された楯を持って、槍衾をつくる部隊へ行く途中でそんなことを言った。
ぎりと奥歯を強く噛み締める。面白くない。この戦いで生き延びたら、叔父と叔母を放り出して夜盗にでもなろうか。もしそうしたら、真っ先にあの家を襲ってやる。
二郎の構える弓は里の城壁を向いている。その先には何百もの術者たちが列をなして立っていた。
「撃て!」
指揮官の号令と共に、二郎は弓を引き絞り、矢を放った。周りからも風を切る音が聞こえる。ヤマト軍は森の茂みから一斉に矢を射かける。空に舞い上がった矢は銀色の雨となって敵陣に降り注いだ。
が、飛来した矢は一つ残らずぴたりと動きを止めた。まるで矢だけが時間を止められたように静止している。二郎は知らなかったが、これはもちろん廉次を始めとする結界師たちによってつくられた見えない障壁に侵攻を阻まれたためである。
「なんだと……」
指揮官の唖然とした声が聞こえる。次の瞬間、必殺の威力を宿していた矢は、それを発揮することなく爆散した。
敵陣の先頭にいる銀髪の男がゆっくりと手をこちらに向けた。
「焼き払え」
低く、あまりに簡単に発せられた声は直後に起こる惨劇を全く予想させないほど落ち着いていた。
次の瞬間、二郎の目の前にいた兵士が突然燃え上がった。次いで周囲の木々も燃え始める。それが敵の神通力によるものであると気づいたときには既に、業火が森や人を呑みこみ、全てを燃やし尽くさんと勢いを増して燃え盛っていた。
「うあああ!」
叫びながら二郎は闇雲に逃げ出した。人間の悲鳴や木の倒れる音が一体となって森の中に響き渡っている。二郎はその中を走り、安全な場所を探した。
駆けていく二郎に時折手を伸ばす者もいたが、その体はほとんどが炭化しており、助かる見込みは無さそうだった。
「置いて行かないでくれ……!」
背後から聞こえる悲痛な叫びを必死に無視して二郎は走った。理屈ではもう助からない者だから自分の命を優先させるのは正しいのだと思っていたが、そう簡単に割り切れるものではない。
しかし、その判断は本人の気づかぬうちに二郎を死から守っていた。緒戦で門の周りの森に投入されていた弓兵の多くは火炎そのものではなく、炎が燃えるときに出る毒気のせいでその九割五分を失った。つまりほぼ全滅状態なのであるが、二郎はいち早く戦場から離脱したため死を免れたのである。
しかし緒戦はヤマト軍の惨敗となって終わった。投入された兵二千のうち助かったものは僅か百人だった。
その報告を聞いて、朝比奈将軍は気にも留めぬ様子で包囲網の強化を続けた。
「しかしこれほどの被害が出るとは思いもしませんでした…」
「莫迦か、お主は。術者たちを相手にするのだからあの部隊の全滅など最初から織り込み済みだ。あれはただの小手調べにすぎない」
朝比奈将軍はこともなげに言うとその部下に物資の移動を命じた。
夜。麓の陣の一角に二郎は座り込んでいた。近くでは他の兵士たちが火を囲んで騒いでいる。二郎はその喧騒から離れ、一人で糒を噛んでいた。
昼間の戦いを思い出して、二郎はぶるりと震えた。人間の肉や髪が燃える臭いがまだ鼻の奥にこびりついて離れない。水で戻して柔らかくなった糒は咀嚼するうちに歯に絡みつき、口を動かすのが億劫になってくる。
今自分がこうしてものを食べているのが不思議になってくる。幸作の予言は外れたが、生き延びたことへの嬉しさなどは全くなく、ただただ茫然とすることしかできなかった。
遠くの門前で並んでいた術者たちはどれも普通の人間と変わらないような顔つきだったが、彼らが少し力を奮うだけで命が芥ほどの重さを持たずに消し飛ばされたのである。今の二郎にとっては彼らが悪鬼のようにしか見えなかった。
また、二郎は瘧のように震えた。明日も、地獄の戦場へ足を踏み入れるのだ……。
そう思うと、歯がかちかちと鳴り、体から力が抜けていく。
もう、嫌だ。こんなところにいるくらいなら………。
都での暮らしを思い出して、二郎は考えを変えた。
都もやめよう。どうせなら、人のいない山奥で………
二郎は、立ち上がると、武器を放り棄て、とぼとぼと歩き始める。
里の方に目をやると、無数の篝火が周りの森を照らしているのが見えた。
この日、朝廷軍から一人の兵士が姿を消した。
門の周辺には視界を確保するための篝火がいくつも置かれており、明々と輝いている。これほど大量の篝火がいるのは神通力の〝目の届かないところに術は使えない〟という弱点があるからである。いきおい術の使いづらい夜間に敵が仕掛けてくる可能性が高まるため、夜間に大量の光源を用意する必要があるのだ。
行俊と弓彦はその夜間に出張る役目を任せられていた。周りには昼間と変わらず三百人が待機している。
「ちっ、何か臭いな」
弓彦が鼻をうごめかせて言った。
「確かに。多分昼間の戦いで出た死体が焦げた臭いだろ」
「うへえ。動物どもが寄ってくるんじゃないのか?」
「そういう動物はとっくに麓にいる兵士たちに喰われてるよ」
二人は無駄口を叩きあいながら見張りを続けていた。もちろん敵の接近が無いか気を付けながらだったが、それでも気が緩んでいるのは否めない。
圧勝が既に里の者全員が知ることとなり、夕方には皆が沸き立っていた。しかし指示を出す人間、つまり導師の二人や六白蓮の面々は落ち着いて仕事をこなしていた。やはり人の上に立つ人間というものはこの落ち着きが無ければ務まらないのだろう。
「敵がさっさと退散してくれればありがたいんだけど。敵将は見つかったのか?」
「いや、まだだ。敵も千里眼の術者のことは知っているらしい。常に移動して居場所を掴まれないようにしているんだとか」
何人か捕まえた捕虜からの情報である。朝比奈将軍の、本陣を移動させながら戦闘を行えるほどの指揮能力はヤマト軍でも随一なのではないか。
同じく捕虜の情報によると敵方にも術者が何人かやって来ているらしい。幻術で命中率が下がっているとはいえ、何故昼間の戦いに投入してこなかったのだろう。夜では相手もこちらと同じく攻撃が難しいはず……
そこではっとした。
今、こちらは接近する敵を見つけるために篝火を大量にたいている。この光の届く場所に術者がいれば、相手はこちらに姿を見られることがなく一方的に攻撃できるのではないかー
突然、悲鳴が聞こえた。
そちらを見ると、仲間の術者が空中に吊り下げられていた。そしてその体はだんだん折り曲げられていく。
「あっ……があっ……」
太い木の枝が折れるような音がした。背骨が折れたらしく、その男は地面に墜落してもぴくりとも動かなかった。
続いて隣にいた女が倒れる。その顔は急激に霜で覆われていき、完全に凍り付いてしまう。行俊が抱き起した時には、息絶えていた。
「敵の攻撃だ!」
後で聞いたことだが、最初のこの奇襲により、三十人ほどの術者が死んだ。しかし、すぐさまその代償を敵に求むべく、誰かの放った炎が森を照らした。
「いたぞ!」
光で照らし出された敵の術者が一人、誰かの術の餌食となり、風刃で切り裂かれた。その血は近くにいた行俊の顔にも少し飛び散り、赤黒いしみを作った。
「よくもやってくれたな!」
見張りに出張っていた和助の放った炎が逃げ惑う敵術者の顔に巻き付き、絶命させる。敵は喉を焼かれて声も出ず、そのまま地に倒れ伏した。
虚を突かれて多少死者は出たものの、流れは里側に傾いていた。すでに森の中は炎で明るくなっており、敵の様子がよく見える。どうやら少数でやって来たようで、その数は三十人ほどだった。時間が経過して、その三分の二の術者が斃されると、残りの者たちはすぐに引いて行った。
幸い陣の中と森で敵味方の区別がはっきりしていたため同士討ちは起こらなかったが、結局この奇襲で六十名の術者が死傷してしまったのである。
荒い息をつく行俊は、森を焼く炎の向こうへ去っていく人影を眺めやると、舌打ちをして陣へ戻った。
「術者を使ってきましたか……まあ予想内です」
清十は本営にいる面々―導師二人、楓、廉次、夕霧に向かって言い放った。
「予想内なら教えても良かったのではないか?」
「どうせ言ったところで敵の攻めてくる時間帯は分かりませんし……それに、あの戦法は使ってこないと考えていたので」
「何故だ?」
青龍導師は腕を組んで問うた。その顔には険があり、非難の色を含んでいるように見える。青龍導師は人格者で、敵には容赦無いが、味方に対してはねぎらいの言葉をかけ、犠牲を最小限にしようと行動する。その容姿や戦闘技術も相まって、師匠になってほしいという者が後を絶たない。
「敵の擁する術師団は、昼間、千里眼で見たところ、全部で六十人でした。桃李の里や柳の里から無理やり引っ張ってきたのでしょうが、今回の奇襲で半数がやられています。同じ方法で戦えば、残りが全滅するのは必至。敵としては、切り札である術師団をこれ以上失うわけにはいかないでしょう」
「ふむ……」
青龍導師は、味方を数字として考え、何人死ぬというのを計算するのに抵抗がある様子だったが、それを受け入れざるを得ない立場にある以上はそれを認めなくてはならない。歯切れの悪い青龍導師を置いて、清十は独りごちた。
「まさか一日目でこんなに大胆に動いてくるとは思いませんでした。しかし、これも緒戦の小手調べだとしたら、まだ敵にも策があるのかもしれません」
「それなら、反攻の日は早めにしておいた方が良いだろうな。夕霧、千里眼の術者たちは敵の兵糧の場所か敵将の居場所を掴んだか?」
夕霧は突然廉次に言葉を向けられたので、少し慌てて答えた。
「あ、はい。敵将は常に移動し続けているらしく、捕捉は出来ませんでした。しかし、一部の兵糧の存在は確認しています」
「じゃあ明日にでもうって出よう。三十人ほどで急襲部隊を編成しー」
「待ちなさい。ここは慎重に行くべきよ」
楓は廉次の言葉を遮ると、続ける。
「これからは相手の出方も制限されてくるわ。今回みたいに思い切った行動はできないはず、心配なのは、兵士でもなく、術者でもない」
「妖怪か……」
朱雀導師が呟く。そう、本来の敵は軍などではなく、それを操る妖怪たちである。里を確実につぶすために、人間の兵士だけを送るとは考えにくい。隠し玉として妖怪戦力があるはずだ。
「下手に動いたらそこを攻撃されるかもしれないわ」
「でも、それは動かなくても同じだろう? 相手から打開してくるしかないんだから」
廉次がそう返すと、楓はにべもなくはねつけた。
「こちらから動くのと敵がこちらへやってくるのとでは地の利が違うわ。やはり予定通りここに立てこもって防戦すべきよ」
夕霧はそれほど軍略に明るいというほどではないのでどちらの判断が正しいのか分からなかったが、いきなり動くのは軽率すぎるような気がした。
「まあ確かにいきなり打って出るのは危険だ。暫く様子を見てから判断しよう」
清十の意見は楓に傾いたようだった。さしもの廉次も戦術面ではお手上げらしく、清十の判断に任せることにしたらしい、ただ頷いて引き下がった。
「……そろそろ夜が明けるな」
青龍導師は、明るんできた東の空を眺めやると、そう呟いた。
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