傀儡の祝妃

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不治の病が蔓延する東洋の国、宝国。
名の由来は、人ならざる異能を持つとされる<祝妃(しゅくひ)>が、正妃として帝と国を守っていること。
しかし、万病を跳ね返す治癒の力を備えているはずの緑妃・芯蘭(しんらん)は、国に病が蔓延した咎で、領地を没収されただけでなく、幽閉、後に処刑されてしまう。
代って、成り代わるように正妃の座についたのが、白妃・麗梅(れいばい)だ。
新年の最初の宴、白宴で手柄を立てた者に、次なる<祝妃>の座を与えよう。

幼い皇帝の代わりに権力を司る国母(正妃)が戯れに口にした一言が、宮廷に雌伏する姫と皇子たちの心を焚きつけた。
あるものは愛情から、またある者は権力のため、<祝妃>を手中にすることを願って、白宴に臨むことになった。

白妃が主催する新年の宴には、白妃の産んだ8人の娘の内、末の娘・銀玲(ぎんれい)だけが欠席したようだ。
銀玲は病弱で発語がうまく出来ないばかりか、引っ込み思案で、なにより病に罹患し長くないとされた皇女だった。
そのため、母親は疎か、使用人たちさえ、彼女に優しくする者はない。
そんな折、白宴の準備で慌ただしい最中、銀玲の世話係として新たに花梨という娘が召し抱えられた。

ドジだが愛嬌があり、裏表のない花梨は、侮られながらも徐々に後宮に馴染んでいく。
ある夜、姫の代わりに毒に当たってしまった花梨。
そんな彼女を治療したのは年若い宮廷見習い薬師の河鹿(かろく)だった。
これをきっかけに後宮の皇子皇女に目をかけられた花梨は同じ女官たちの嫉妬から濡れ衣を着せられ、
河鹿とともに牢に幽閉された罪人の世話を言いつけられるが、そこで出会った野卑で鋭い眼光の男は、なぜか花梨を見知っているようで……?
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