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15 ルト2
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「子供のころに、いた友が……空色の髪と瞳をしていた、気がする」
口に当てていた手を外して、記憶に思い当たる人がいたらしい国王陛下は曖昧な表現をした。
「だが、その友は人間であったし、いつの間にかいなくなっていた。もう10年くらい前のことだぞ」
該当する人がいたことに国王陛下自身も戸惑いがあるのか、自身の記憶が信じられないようだ。
しかし国王陛下は違うと言っているけれど、シャンリリールは10年前に会っていた友とはここにいる精霊のことだと思った。
あまりにも合致する点が多い。
ひとつ、国王陛下にも会っていた記憶がある。
ふたつ、精霊は人とそっくりであるし話せるから、国王陛下が人と思っていてもおかしくない。
みっつ、最大の確証が持てる点が精霊が国王陛下から離れないことだ。
シャンリリールは間違いないと思っているが、国王陛下に信じてもらうためにも名前で確認するのがいいかもしれない。
精霊は気に入っている人から存在を否定されると弱くなってしまう。精霊を助けるためには国王陛下から認識してもらうことが一番いい。
友と言っていたならば、名前を呼んでいただろうし、精霊が国王陛下を『エペ』と言っていたことからも名前を呼びあうほど近しい関係だったはず。
それに名前で呼びかければ、精霊はもっとハッキリと話せるようになるかもしれない。
「その友達の名前は思い出せますか?」
「名前、か……確か、ルト」
国王陛下の声に反応して、精霊が言葉を発した。
『オモ、イダシタ……?』
精霊の言葉に確信をもって問いかける。
「あなたの名前はルトというの?」
シャンリリールの問いかけに、精霊の存在感が少し強まったように感じた。
『ボク、ノ…ナは……ルト』
やっぱり!
「国王陛下、やっぱり精霊の名前はルトというそうです」
興奮のままに、国王陛下を振り返ると信じがたいものでも見るように見つめていた。
「……まさか……」
言葉が続けられないのか、国王陛下は固まってしまった。
「嘘じゃありません。精霊自身がそうだと言っているんですから。それで――」
「ちょっと待て」
「精霊……ルトがタスケテと言っているんですが、それがどうも――」
「だから待て」
「国王陛下を助けてほしいと言っているみたいで――」
「だから待てと言っている」
国王陛下は混乱する頭を振り払うように頭を振り、シャンリリールを止める。
止められたシャンリリールは仕方なく黙ったけれど、国王陛下は頭痛がするとでもいうように眉間を揉んでいる。
何か難しいことを言っただろうか。
「俺は精霊と会っていた、というのか?」
「そうだと思います」
「……信じられん」
「そんな。信じてください」
信じてもらえないのは困る。
ルトが傷つく。
信じてもらえないのはやはり自分のせいなのだろうか。
国王陛下の目にはまだルトの姿が見えていないようで、だからシャンリリールの言葉だけでは信じられないということだろうか。
「ああ、お前を信じられないのではなく、俺が精霊と会っていたというのが信じられなくてな」
落ち込んでいるシャンリリールを見て、まずいと思ったのか、訂正してくれているようだができていない。
それは結局シャンリリールが信じられないということなのでは?
「あー、何言ってるんだろうな」
国王陛下自身も矛盾はわかっているようだ。
「今はそれについてはいい。それでその精霊が何と言っているんだって?」
「ルトがエペを助けてと言っているんです。エペって国王陛下のことですよね? 何か困っていることはありますか?」
「は?」
「ですから、何か困っていることはありますか?」
「言っている意味がわからない」
「わたしの言葉がわかりづらいですか?」
「そういう意味ではない」
「えぇ? ではどういう意味ですか?」
困惑しているシャンリリールを見つめ、国王陛下は一度息を吐くと真面目に答えてくれた。
「困っている事などない。例えあったとしても子供のお前にできることなどない」
「そうですよね」
それは聞く前からなんとなくわかっていた。
でもルトが助けてほしいといっているし、精霊が人の社会での問題を解決してほしいと思ってるとは思えないんだけれど。
やはりルトにもう少し詳しく聞かないとわからないようだ。
「ルト。国王陛下……ううん、エペの何を助ければいいの?」
『エペをタスケテ。オネガイ』
ルトはやはり同じ言葉しか繰り返さない。
今はルトにこれ以上聞いても、他の言葉を聞ける気がしなかった。
国王陛下がルトを見えるようになれば変わるだろうか。
「クッキー食べる?」
レギナン国にいた時の癖で、いつものようにクッキーが入った袋を手に取る。
クッキーはマルタに貰ったもので、ここに来てから食べようと思っていた。それを1枚取り出し、ルトに差しだす。
ルトはクッキーに惹かれるように手を伸ばすと、クッキーを摘まんだ。そしてモソモソと食べていく。
表情は変わらないけれど、精霊は嫌いなものは食べないから気に入ってくれたのだろう。
知っている精霊とは反応が違うけれど、クッキーを食べてくれたことにホッとする。
ふと視線を感じて振り向くと、ルトが食べているクッキーを国王陛下が驚愕の表情で見ていた。
え? なに? なにに驚いているの?
もしかして精霊がクッキーを食べるとは思わなかったってこと?
それともシャンリリールがクッキーを持っていること事態に驚いているの?
まさかこのクッキーがとても貴重なもので食べたいとか?
「クッキーどうぞ?」
よくわからないから、とりあえずクッキーを差し出してみることにした。
国王陛下は茫然としたまま、クッキーを手に取り食べる。
シャンリリールも1枚食べることにした。
サクッとした食感と優しい甘さに、自然と笑顔が浮かぶ。とても美味しい。
「うまいな」
何気なくこぼれたような言葉が国王陛下から聞こえた。
うんうん、ほんとにそうだよねと思って、国王陛下を仰ぎ見る。
そこにはとても疲れが滲み出た顔をした国王陛下がいた。
そういえば国王陛下はここに休憩に来たのではないかと、今更ながらに思い出した。
とりあえず休憩してもらったほうがいい気がして、国王陛下に声をかける。
「国王陛下、休憩してください」
「……ああ」
気の抜けたように座り込む。
シャンリリールもちょこんと側に座る。
国王陛下にまたクッキーを渡し、シャンリリールもまた食べる。
まったりとした時間が流れ、爽やかな風が吹き抜けていく。
「本当に困っていることはありませんか?」
「…………ない」
もう一度聞くと、シャンリリールを見つめた一拍のあと否定した。
その無言の間は何かあるように感じたんだけど、気のせいかな。
「それにしても、お前……危機感なさすぎじゃないか?」
疲れたように吐き出す国王陛下は、心配しているようにも見えた。
そんなことはないと言おうして、先ほどまでの言動を思い出して反省した。
他に人がいないとは思っていろいろと話してしまったけれど、精霊について話しすぎたかもしれない。
口に当てていた手を外して、記憶に思い当たる人がいたらしい国王陛下は曖昧な表現をした。
「だが、その友は人間であったし、いつの間にかいなくなっていた。もう10年くらい前のことだぞ」
該当する人がいたことに国王陛下自身も戸惑いがあるのか、自身の記憶が信じられないようだ。
しかし国王陛下は違うと言っているけれど、シャンリリールは10年前に会っていた友とはここにいる精霊のことだと思った。
あまりにも合致する点が多い。
ひとつ、国王陛下にも会っていた記憶がある。
ふたつ、精霊は人とそっくりであるし話せるから、国王陛下が人と思っていてもおかしくない。
みっつ、最大の確証が持てる点が精霊が国王陛下から離れないことだ。
シャンリリールは間違いないと思っているが、国王陛下に信じてもらうためにも名前で確認するのがいいかもしれない。
精霊は気に入っている人から存在を否定されると弱くなってしまう。精霊を助けるためには国王陛下から認識してもらうことが一番いい。
友と言っていたならば、名前を呼んでいただろうし、精霊が国王陛下を『エペ』と言っていたことからも名前を呼びあうほど近しい関係だったはず。
それに名前で呼びかければ、精霊はもっとハッキリと話せるようになるかもしれない。
「その友達の名前は思い出せますか?」
「名前、か……確か、ルト」
国王陛下の声に反応して、精霊が言葉を発した。
『オモ、イダシタ……?』
精霊の言葉に確信をもって問いかける。
「あなたの名前はルトというの?」
シャンリリールの問いかけに、精霊の存在感が少し強まったように感じた。
『ボク、ノ…ナは……ルト』
やっぱり!
「国王陛下、やっぱり精霊の名前はルトというそうです」
興奮のままに、国王陛下を振り返ると信じがたいものでも見るように見つめていた。
「……まさか……」
言葉が続けられないのか、国王陛下は固まってしまった。
「嘘じゃありません。精霊自身がそうだと言っているんですから。それで――」
「ちょっと待て」
「精霊……ルトがタスケテと言っているんですが、それがどうも――」
「だから待て」
「国王陛下を助けてほしいと言っているみたいで――」
「だから待てと言っている」
国王陛下は混乱する頭を振り払うように頭を振り、シャンリリールを止める。
止められたシャンリリールは仕方なく黙ったけれど、国王陛下は頭痛がするとでもいうように眉間を揉んでいる。
何か難しいことを言っただろうか。
「俺は精霊と会っていた、というのか?」
「そうだと思います」
「……信じられん」
「そんな。信じてください」
信じてもらえないのは困る。
ルトが傷つく。
信じてもらえないのはやはり自分のせいなのだろうか。
国王陛下の目にはまだルトの姿が見えていないようで、だからシャンリリールの言葉だけでは信じられないということだろうか。
「ああ、お前を信じられないのではなく、俺が精霊と会っていたというのが信じられなくてな」
落ち込んでいるシャンリリールを見て、まずいと思ったのか、訂正してくれているようだができていない。
それは結局シャンリリールが信じられないということなのでは?
「あー、何言ってるんだろうな」
国王陛下自身も矛盾はわかっているようだ。
「今はそれについてはいい。それでその精霊が何と言っているんだって?」
「ルトがエペを助けてと言っているんです。エペって国王陛下のことですよね? 何か困っていることはありますか?」
「は?」
「ですから、何か困っていることはありますか?」
「言っている意味がわからない」
「わたしの言葉がわかりづらいですか?」
「そういう意味ではない」
「えぇ? ではどういう意味ですか?」
困惑しているシャンリリールを見つめ、国王陛下は一度息を吐くと真面目に答えてくれた。
「困っている事などない。例えあったとしても子供のお前にできることなどない」
「そうですよね」
それは聞く前からなんとなくわかっていた。
でもルトが助けてほしいといっているし、精霊が人の社会での問題を解決してほしいと思ってるとは思えないんだけれど。
やはりルトにもう少し詳しく聞かないとわからないようだ。
「ルト。国王陛下……ううん、エペの何を助ければいいの?」
『エペをタスケテ。オネガイ』
ルトはやはり同じ言葉しか繰り返さない。
今はルトにこれ以上聞いても、他の言葉を聞ける気がしなかった。
国王陛下がルトを見えるようになれば変わるだろうか。
「クッキー食べる?」
レギナン国にいた時の癖で、いつものようにクッキーが入った袋を手に取る。
クッキーはマルタに貰ったもので、ここに来てから食べようと思っていた。それを1枚取り出し、ルトに差しだす。
ルトはクッキーに惹かれるように手を伸ばすと、クッキーを摘まんだ。そしてモソモソと食べていく。
表情は変わらないけれど、精霊は嫌いなものは食べないから気に入ってくれたのだろう。
知っている精霊とは反応が違うけれど、クッキーを食べてくれたことにホッとする。
ふと視線を感じて振り向くと、ルトが食べているクッキーを国王陛下が驚愕の表情で見ていた。
え? なに? なにに驚いているの?
もしかして精霊がクッキーを食べるとは思わなかったってこと?
それともシャンリリールがクッキーを持っていること事態に驚いているの?
まさかこのクッキーがとても貴重なもので食べたいとか?
「クッキーどうぞ?」
よくわからないから、とりあえずクッキーを差し出してみることにした。
国王陛下は茫然としたまま、クッキーを手に取り食べる。
シャンリリールも1枚食べることにした。
サクッとした食感と優しい甘さに、自然と笑顔が浮かぶ。とても美味しい。
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何気なくこぼれたような言葉が国王陛下から聞こえた。
うんうん、ほんとにそうだよねと思って、国王陛下を仰ぎ見る。
そこにはとても疲れが滲み出た顔をした国王陛下がいた。
そういえば国王陛下はここに休憩に来たのではないかと、今更ながらに思い出した。
とりあえず休憩してもらったほうがいい気がして、国王陛下に声をかける。
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「本当に困っていることはありませんか?」
「…………ない」
もう一度聞くと、シャンリリールを見つめた一拍のあと否定した。
その無言の間は何かあるように感じたんだけど、気のせいかな。
「それにしても、お前……危機感なさすぎじゃないか?」
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