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物語の始まりと終わり
sideA 中編
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中学に入ると、私たちは初めて離れ離れを経験した。あいつは親の進めで私立中学に入学した。
私はそのまま地元の公立中学へと進学した。
あいつはサッカー部、私は吹奏楽部に入部し、お互いに忙しくなるとだんだんと会える機会も減って行った。
スマホは2人とも持たせてもらっていなかったし、今まではほぼ毎日あっていたので、連絡手段など必要なかった。だから、会えなくなると途端に距離が離れる。
それでも、たまに時間を見つけては家の前で立ち話をしたり、近所のコンビニまでデートしたりと僅かであるが付き合いは続いていた。
中学時代で特に記憶に残っているのは中学2年生の冬。
私たちは同じ月に生まれたけれど、私の方が5日誕生日が早い。
雪国の極寒の冬の日。日も落ちて、真っ暗な中にしんしんと雪は降り続けていた。
部活からの帰り道、私の家へと続く曲がり角に人影が見えた。
不審に思って警戒しつつ通り過ぎようとした時、目に飛び込んできたのは頭と肩に雪が積もり、耳が真っ赤になったあいつだった。
「どうしたの?!」
私は叫んで駆け寄った。
「どうしても渡したいものがあって」
あいつはそう言った。
「これ」
目の前に差し出されたのは赤いリボンでラッピングされた白い袋。
「1日早いけど、誕生日おめでとう」
予期していなかった出来事に私が固まっていると、あいつは照れたように言い訳を並べ立てる。
「ほら、俺一応彼氏だし、1番にお祝いしなきゃと思って、そしたら部活帰りのタイミングしかないと思ったけど、なかなか帰ってこないし。明日は朝から練習試合だからーー」
「開けていい?」
あいつの言葉を遮って私は聞いた。
あいつが頷くのを見てリボンを解くと、中にはデニム生地にブルーの花が付いたカチューシャと白地にハート柄のシュシュが入っていた。
私が小学生の頃好んでいたものに思わずふっと笑みがこぼれる。
今はもうこういったデザインのものは使わないけれど、私が好きだったものを覚えていてくれた事が嬉しかった。
私が笑ったのを見て、プレゼントを気に入って貰えたと思ったのか、あいつはクシャッと笑った。
私が1番好きなあいつの笑顔だった。
あの時貰ったカチューシャとシュシュは今も私のジュエリーボックスの中で眠っている。
翌日は部活が休みだったため、私はショッピングモールに行き、タオルを買った。ブルーとレッドの2色。サッカーを真剣に頑張っているあいつが部活で使えるようにと思って選んだ。
これが、あいつとすごしたラストの誕生日だった。
それからお互いに部活や勉強が忙しくなり、だんだんと会う頻度は減って行った。
翌年、私は親の仕事の都合で、中学卒業と共に東京へ引っ越した。
中学3年生の誕生日は、受験で東京にいた。
引っ越す前にあいつの家に母と挨拶には行ったものの、ギクシャクして当たり障りのない会話しか出来なかった。
スマホがメッセージの着信を告げる。
相手は母からだった。
内容はゆみさんとランチに行く日の日程。ちょうど部活が休みの日だったため、即答でOKの返信をする。
ゆみさんと会うのはちょうど2年ぶり。私はこの春、高校3年生になった。
あいつが来るかは分からない。
もし、会うのだとしたら、私たちは何を話すのだろうか。あの甘酸っぱい、恋とも呼べない時を過ごしてから2年。そもそも私たちはいつまで付き合っていたのだろう。
私はそのまま地元の公立中学へと進学した。
あいつはサッカー部、私は吹奏楽部に入部し、お互いに忙しくなるとだんだんと会える機会も減って行った。
スマホは2人とも持たせてもらっていなかったし、今まではほぼ毎日あっていたので、連絡手段など必要なかった。だから、会えなくなると途端に距離が離れる。
それでも、たまに時間を見つけては家の前で立ち話をしたり、近所のコンビニまでデートしたりと僅かであるが付き合いは続いていた。
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「開けていい?」
あいつの言葉を遮って私は聞いた。
あいつが頷くのを見てリボンを解くと、中にはデニム生地にブルーの花が付いたカチューシャと白地にハート柄のシュシュが入っていた。
私が小学生の頃好んでいたものに思わずふっと笑みがこぼれる。
今はもうこういったデザインのものは使わないけれど、私が好きだったものを覚えていてくれた事が嬉しかった。
私が笑ったのを見て、プレゼントを気に入って貰えたと思ったのか、あいつはクシャッと笑った。
私が1番好きなあいつの笑顔だった。
あの時貰ったカチューシャとシュシュは今も私のジュエリーボックスの中で眠っている。
翌日は部活が休みだったため、私はショッピングモールに行き、タオルを買った。ブルーとレッドの2色。サッカーを真剣に頑張っているあいつが部活で使えるようにと思って選んだ。
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あいつが来るかは分からない。
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