ちいさなはなし

いちしの花

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芳香

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 2020年10月のこと。
千葉にある神社の御朱印が可愛くて、家族で車で向かった。

 運転は主人、車酔いしやすい娘は助手席、私は運転席の後ろに。

 結構な距離を走り、目指す神社が近くなった頃、唐突に香水の香りがしてきた。
 車に弱い娘がいるので、車の芳香剤は置いていない。
 華やかな、花の香り。それもかなり強い。
 主人や娘に聞いても、香水の香りはしないと言う。 
 二人ともアレルギー持ちで鼻が詰まり気味なので、わからないんじゃないの、この匂いがと思いつつ。
 車中、匂いの元を探した私であった。
 結局、神社に着いて降りるまで香りはあったけれど、帰る時に車にまた乗った時は消えていた。
 おかしなこともあるものだね、でその時は終わった。

 時は過ぎて、2021年1月終わり近く、私たちは高幡不動に向かっていた。
 その途中、また車の中に漂う強い香水の香り。
 今度は主人にもわかったらしい。
 窓を開けて外からの香りなのか確認したけれど、香りの元は分からずじまい。
 我が家の車は長く乗っているけれど、今までそんなことはなかった。
 
 
 今年に入ってから、ある霊能者さんに世間話のようにこの件を話してみた。

「あー、車に女性が憑いているね」

ってさらりと言われて、びっくり。
 うちの車が何かしたわけじゃなく、たまたま道を走っていた時に憑いたとのこと。
 そうやって話をしている間に、その女性を祓ってくれたのでした。
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