67 / 70
3章
④合格祝い(デート?)ー2
しおりを挟む
「どいてくれますか。連れを待たせてるんで」
「連れwあのボッチが連れって何の冗談だよ。そうか、マユリか。お前、マユリの彼氏か何かか?」
「そんなんじゃない……と思う」
「そうか、ならよかった。ああ、それと俺もお前に用があったんだった」
「お前の用は聞く必要ない。こっちは急いでんだ。それじゃ」
周りが薄気味悪い笑みを浮かべている。もう卒業だというのに何の用だ。
「タカピーは不合格者だ」
その事実はあまりにも残酷で受け入れ難いものだった。
「どうした?もっと喜べよ。ボッチのお前のために一人になれるよう手を回してやったんだ。ほらどうした?」
「僕はもう合格者と決まっていたはずだ。一体何をした」
「ん?サキ事務官長が直談判に行ったらしいが、そんなものは数の力でどうとでも覆せる。もうわかるよな。白の軍にお前の居場所なんてないんだよ!」
数、それはボッチにはどうあがいても敵わないものだ。そしてこれまで敵しか作ってこなかった自分へのつけがまわってきたのだ。ボッチにとってそれはあまりにも説得力がありすぎた。仕方ないのか・・・・・・・
「ああ、あとマユリは俺がおいしく頂くから、安心しときな」
違う。仕方がなくなんかない!僕はどうなってもいい。だがこんなやつとマユリを一緒にだけはさせたくない。
「お前は一度マユリを捨てて、新しいペアを作ったはずだ。どの口がそれを言う!」
「俺、モテるんだよ。ボッチのタカピーと違ってな。俺の方がマユリを幸せにできる。そんなわけでお前、邪魔だから。消えてくれ」
そういうと言い返す間もなくエイジを含めた上位五人組は去っていった。ここまでするのか。
いや僕に役目などそもそもなかった。僕からは人が離れていく。マユリもそのうちの一人になるだろう。
「タカ君、遅いよ~戻ってきちゃった。なんか話してたみたいだけど?もしかして浮気?」
「浮つくような気持ちは持ってません。それに僕は好きになったら一直線やから」
「おお、こんなところでタカ君の赤裸々告白を聞けるとは思わなかった。意外とタカ君もはっきり言うね」
「まあね」
この後も幸せな時間が続いた。しかしこの幸せな時間の終わりはもうすぐそこまで迫っていることをマユリは知る由もないだろう。
「マユリ、これからも大変だろうから、気をつけてな」
「急に何言ってるの。タカ君がいれば大丈夫だよ」
「マユリにはサキ先生がいるしな」
「うん。私大安心だね」
そうだ。マユリにはサキ先生がいる。僕がいなくなってもきっと、きっと大丈夫だ。それにマユリはボッチの僕とは違い、もともとはみんなから好かれるタイプだ。大丈夫、マユリは僕と出会う前に戻るだけだ。大丈夫、大丈夫、大丈夫、そう大丈夫だ。
後は頼みます。
「連れwあのボッチが連れって何の冗談だよ。そうか、マユリか。お前、マユリの彼氏か何かか?」
「そんなんじゃない……と思う」
「そうか、ならよかった。ああ、それと俺もお前に用があったんだった」
「お前の用は聞く必要ない。こっちは急いでんだ。それじゃ」
周りが薄気味悪い笑みを浮かべている。もう卒業だというのに何の用だ。
「タカピーは不合格者だ」
その事実はあまりにも残酷で受け入れ難いものだった。
「どうした?もっと喜べよ。ボッチのお前のために一人になれるよう手を回してやったんだ。ほらどうした?」
「僕はもう合格者と決まっていたはずだ。一体何をした」
「ん?サキ事務官長が直談判に行ったらしいが、そんなものは数の力でどうとでも覆せる。もうわかるよな。白の軍にお前の居場所なんてないんだよ!」
数、それはボッチにはどうあがいても敵わないものだ。そしてこれまで敵しか作ってこなかった自分へのつけがまわってきたのだ。ボッチにとってそれはあまりにも説得力がありすぎた。仕方ないのか・・・・・・・
「ああ、あとマユリは俺がおいしく頂くから、安心しときな」
違う。仕方がなくなんかない!僕はどうなってもいい。だがこんなやつとマユリを一緒にだけはさせたくない。
「お前は一度マユリを捨てて、新しいペアを作ったはずだ。どの口がそれを言う!」
「俺、モテるんだよ。ボッチのタカピーと違ってな。俺の方がマユリを幸せにできる。そんなわけでお前、邪魔だから。消えてくれ」
そういうと言い返す間もなくエイジを含めた上位五人組は去っていった。ここまでするのか。
いや僕に役目などそもそもなかった。僕からは人が離れていく。マユリもそのうちの一人になるだろう。
「タカ君、遅いよ~戻ってきちゃった。なんか話してたみたいだけど?もしかして浮気?」
「浮つくような気持ちは持ってません。それに僕は好きになったら一直線やから」
「おお、こんなところでタカ君の赤裸々告白を聞けるとは思わなかった。意外とタカ君もはっきり言うね」
「まあね」
この後も幸せな時間が続いた。しかしこの幸せな時間の終わりはもうすぐそこまで迫っていることをマユリは知る由もないだろう。
「マユリ、これからも大変だろうから、気をつけてな」
「急に何言ってるの。タカ君がいれば大丈夫だよ」
「マユリにはサキ先生がいるしな」
「うん。私大安心だね」
そうだ。マユリにはサキ先生がいる。僕がいなくなってもきっと、きっと大丈夫だ。それにマユリはボッチの僕とは違い、もともとはみんなから好かれるタイプだ。大丈夫、マユリは僕と出会う前に戻るだけだ。大丈夫、大丈夫、大丈夫、そう大丈夫だ。
後は頼みます。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
私と母のサバイバル
だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。
しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。
希望を諦めず森を進もう。
そう決意するシャリーに異変が起きた。
「私、別世界の前世があるみたい」
前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
おっす、わしロマ爺。ぴっちぴちの新米教皇~もう辞めさせとくれっ!?~
月白ヤトヒコ
ファンタジー
教皇ロマンシス。歴代教皇の中でも八十九歳という最高齢で就任。
前任の教皇が急逝後、教皇選定の儀にて有力候補二名が不慮の死を遂げ、混乱に陥った教会で年功序列の精神に従い、選出された教皇。
元からの候補ではなく、支持者もおらず、穏健派であることと健康であることから選ばれた。故に、就任直後はぽっと出教皇や漁夫の利教皇と揶揄されることもあった。
しかし、教皇就任後に教会内でも声を上げることなく、密やかにその資格を有していた聖者や聖女を見抜き、要職へと抜擢。
教皇ロマンシスの時代は歴代の教皇のどの時代よりも数多くの聖者、聖女の聖人が在籍し、世の安寧に尽力したと言われ、豊作の時代とされている。
また、教皇ロマンシスの口癖は「わしよりも教皇の座に相応しいものがおる」と、非常に謙虚な人柄であった。口の悪い子供に「徘徊老人」などと言われても、「よいよい、元気な子じゃのぅ」と笑って済ませるなど、穏やかな好々爺であったとも言われている。
その実態は……「わしゃ、さっさと隠居して子供達と戯れたいんじゃ~っ!?」という、ロマ爺の日常。
短編『わし、八十九歳。ぴっちぴちの新米教皇。もう辞めたい……』を連載してみました。不定期更新。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる