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2章

⑥外食(1)

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 部屋に着くと、ササッと私服に着替えて腰のホルダーに枝切れもとい自分の魔法の杖を収めた。私服といってもだいたいパーカーかジャージ、Tシャツだ。家では浴衣。しかも毎回同じもの二着を繰り返し着ているので迷いなど一切ない。さすがに浴衣とジャージはまずいか。いつものパーカーだな。

 待ち合わせ場所に着くと、何やら四角いマットレスのようなものがふわふわ浮いていた。ペルシャ絨毯のような模様で高級感があふれている。側面には白の軍のトレードマークの花の模様がついている。

「これがあるってことは、サキ先生は?」

 あたりを見回しても誰もいない。マユリもだ。

「そうか、先生もマユリも僕に嫌気がさして先に行ってしまったのか。触らぬ女子会にたたりなし、だ。よし帰ろう」
 と振り返った瞬間、

「タカ君お待たせ~。待った?って何帰ろうとしてるの?」

「マユリか。いや、もうみんな先に行っちゃったのかと思ってね」
「そんなことするわけないでしょ」

「そんなことするのが人の怖いところや」

「ろくな出会いしかなかったんだね」

「そんなとこ。にしてもずいぶんおしゃれしてきたね。いつもみんなスーツにローブかマント姿だからスカートはえらい新鮮に感じるわ。寒くない?」

「寒くない?って。視点がお年寄りみたいだよ、タカ君。でもおしゃれだって思ってくれるだけで満足した」

「それだけで満足してくれるならお安い御用や」

「それに加えて、かわいいとか似合ってるとかも加われば女の子は喜ぶの」

「はいはい、それじゃあ、かわいい!似合っている!」

「それじゃあって。とってつけた感満載だよ」

「えらい難しいこと言うね」

「はぁ今はまあいいか。わたし先生から言伝預かってるんだけど、いくよ、サウンド!」

 マユリの杖は明るいオレンジ色をしており先には太陽を模したオブジェがついている。
 先からサウンドのオレンジの球が飛び出した。

「ええっとたしか、SAKI!today night!」
「おお、英語の呪文だ」

 するとサウンドの球からサキ先生の声が聞こえてきた。

「おうお前ら、聞こえてるか。サウンドはこういった録音も使えるんだ。覚えておくんだぞ。で、要件だが私はお店の席取りで先に現地に向かった。行先は正門前においてあるウォーターベットに登録してあるから、二人でそれに乗ってこい。では快適な空の旅をお楽しみください」

 ブチっという音とともにサウンドの球が消滅した。

「へぇ~。これに乗っていくんだ。ウォーターベットってなんだか魔法の絨毯に似てるね。楽しそう」

「動力は一応魔法だし、原理は一緒かもしれないけど、でもどちらかというと見た目は空飛ぶマットレスやけどね」

「それな!」
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