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1章

①僕しかいない町と「何か」(1)

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 私、タカヒロは優秀である。ざっと経歴を並べると中学高校の成績はオール5、そして地元の地方国立大学経済学部に進学して数々の資格を取得、その後は首席で卒業し税金を集める国家公務員に就職となる。これだけであれば文句なしだろう。しかし私には友達が一人もいない。誤解があってはいけないので念を押すが友達が少ないのではなく、一人もいないのである。生まれてこのかたずっと、である。別に暴力を振るうとか悪口を言うとかそんな他人を傷付けるようなことなどは一切していない。むしろ目立つようなほうではない。
 
 小学生の頃はテレビゲームやカードゲームが流行し、私が独りぼっちなのは皆が持っているものを私が持ってないからだと考えていた。しかし新しいゲームを買ったり、レアカードを当てたりした時も、人が集まるのは一時だけですぐにまた独りぼっちに戻った。

 両親はこんな私を心配して、中学以降には部活やサークルに入るように勧めてきた。まだ素直であったこの頃の私は言うことを聞いて入部した。部活紹介などの「みんな仲良く和気藹々とした部活です!」「上下関係なく気軽に楽しめます!」という言葉にも素直に心惹かれた。しかしどの部活・サークルに入っても結末は同じであった。
 
 最初のころに行われる新入生歓迎会や見学時には仲良くやろうぜ!みたいな雰囲気でまとまるが、ノリについていけずにだんだんと孤立し、空気となる。もっとひどい場合はいじめの標的にもなった。
 「たかぴー!そこに立っとれ、はりつけや!」
 同じ部員から「はりつけ」と称する壁際に立たされテニスボールを体に打ち付けれるようなこともあった。部活紹介なんて所詮はただの謳い文句のオンパレードだ。理想と現実は違う。私は中学、高校、大学の部活・サークルをたった1か月で退部してきた。
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