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第六章その13 ~もしも立場が違ったら~ それぞれの決着編

これで俺はお前になれる

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「ぐおおおおおおおっっっ!!!」

 不是が振り下ろした強力な一撃を受け、両者の刀が砕け散った。

 もちろん不是は能力を駆使し、すぐに刀を再生していく。

 誠も意識を集中し、あの神器の太刀を呼び出した。ディアヌスとの戦いでも使った、岩凪姫がくれた武器だ。

「そんななまくら刀でよおっ!!! もっとマシな武器出してこいや!!!」

 女神の太刀を侮辱され、誠も咆えた。

「いいや、俺はこれでいいっっ!!!」

 相手の攻撃を太刀でいなし、逆にこちらから切り込んでいく。

 つばぜり合いで火花が舞い、互いの機体を明々と照らした。

「この剣は、岩凪姫がくれた武器だ! 自分が辛い目にあったのに、それでも助けに来てくれた女神の剣だっ! これ以上の武器なんて、俺は知らないんだよっ!!!」

 誠は相手を押し返し、機体の足で突き飛ばした。

 不是は吹っ飛びながらも言い返してくる。

「くそがっ、てめえは恵まれてただけだろうがっ! そんな先読みみたいなチート持ちが、偉そうな事ぬかしてんじゃねえっ!」

 紙一重の命のやり取りが、しばらく続いた。

 ただ全力で攻撃し、身をかわす。それだけを死に物狂いで繰り返した。

 手がしびれる。視界がかすむ。今にも意識が飛びそうだった。


 
 やがて間合いが離れた時、不是は画面上で不気味に笑った。

「随分、疲れてるよなあ。実は、俺もそうなんだよ……」

「……っ、……っ、」

 誠が答えられないでいると、不是は更に不気味な笑みを浮かべた。

「けど残念だな。俺にはまだ、奥の手があるんだよなあ……!」

「………っ!!?」

 誠は反応し、動揺を表に出してしまった。

 ハッタリかとも思ったが、不是はまだ言葉を続ける。

「これがとっておきだ……俺の創生能力でなあ、お前の能力ちからをコピーしてやる……! 目の細胞を、お前と同じにすりゃいいんだろ……?」

「なっ……!?」

「ははは、驚いたか!? そうだろう、だからとっておいたんだ! 最後の最後に、お前が絶望するのを見たかったからな!!!」

 不是の目が青く輝き、首筋の血管のようなものが、一際大きく脈打った。

「俺の勝ちだっ!!! これで俺は、お前になれるっ!!!」



 ……………………………………

 しばし、無言の時が流れた。

 不是は呆然と宙を見つめている。

 何度か唇が動きかけたが、うまく言葉が出ないようだ。

 目にした光景が、あまりにも予想と違っていたからだろう。

 ……当然だ。誠の力は、未来予知でも何でもない。ただ周囲の磁場が見えるだけなのだから。

 今までの膨大な戦闘経験によって、わずかな磁場の変化から、相手の次の動作をイメージ出来るようになっただけなのだ。

「な……何だよこれ……チートなんかじゃねえじゃねえかよ。こんなクソみたいな能力ちからで、なんで……」

「必死だっただけだ……!」

 誠は答え……そして突っ込んだ。

 最後の攻防が始まった。

 不是も疲弊ひへいしているが、誠ももう限界だった。

 けれどその時、周囲の壁が虹色に光ったのだ。

 反魂の術が、とうとう佳境に入ったのだろうか?

(何だ、この光……!?)

 動揺する誠をよそに、次の瞬間、何かの映像が頭に浮かんだ。
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