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第六章その12 ~魔王を止めろ!~ 決死の柱突入編
人間相手は舌戦で
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瞬き程の合間に、苛烈な攻撃が加えられた。
一同は下がりながら電磁シールドで弾き、体勢を整える。
「……いや、敵さん本気だ。通してくれって言っても、そうはいかんだろうな」
香川の呟きに、カノンも頷いた。
「こっちの機体もパワーアップしてるけど、あっちも邪神がいじってそうね」
「確かに、どー見ても不気味な感じになってるもんな」
宮島の言う通り、相手の機体からは黒い邪気のようなものが立ち昇っている。
だが隊員達が苦慮する最大の理由は、誠もよく分かっていた。それは相手が『人』だからだ。
「嫌やわこういうん。なんぼ悪党でも、人間相手は気兼ねするで」
難波の言葉は、全員の気持ちを代弁していただろう。
恐らく邪神は、その狙いを兼ねて彼らをスカウトしていたのだ。
……ただ誠は、相手の挙動にぎこちなさを感じていた。
どこか怯えているというのか、焦りが垣間見えるというのか。
つい先日、ディアヌスの細胞を奪いに来た時のような勢いが無かったのだ。
(おかしい……棒立ちの射撃しかしてこないし、まるで素人の連携だ。不是の機体が見えないのと関係あるのか……?)
誠は探りを入れるべく、外部拡声器で呼びかける。
「なぜこの期に及んで邪魔をする? 邪神の親玉が出てきたら、何もかもおしまいなんだぞ。あいつらがどれだけ危険か分かってるのか?」
「……し、知ってるわよ! あたしらだってそのぐらいっ!」
驚いた事に、相手は真っ向からその問いに答えた。
更に予想外は続き、相手は通信機能をONにしたらしい。誠の機体の画面上に、女の姿が映し出された。
長い髪の一部を巻いて飾り付けた、20歳ぐらいの女……確か蓼川マキナとかいい、不是の恋人だった人物だ。
かつて余裕たっぷりだったマキナの表情は、今は悲壮感に満ちている。
「あたしらだって、やりたくてやってるわけじゃないのよっ……! あんたらをやらなきゃ、こっちがやられるんだから……!」
「アホかっ、そんなん最初から分かってたやろ! あんなもんについてくからそうなるんや!」
「うっ……!」
難波の指摘に、マキナは目に見えてうろたえた。
唇を噛み締め、青ざめた顔で小刻みに目線を動かしている。
頃合いを見て、カノンが更に揺さぶりをかけた。
「だったら今からでも、縁を切ったらいいんじゃない? 外に大勢来てるんだもの、今なら保護してもらえるでしょ?」
勿論それはブラフであり、戻ったところで彼らは死を免れない。
恐るべき邪神に味方し、多くの人々を危険にさらしたのだ。
少なくとも外患誘致に該当するし、死刑以外の未来など無いはずだ。
それでもカノンはハッタリを込めて言ったのだ。戦いで余計な時間を使わぬように……無駄に消耗しないように。
そんな試みに気付く様子もなく、マキナは画面上でうろたえていた。
「こ、こんなはずじゃなかったのよ。あたしは、あたし達は……!」
だが、マキナが何かを言おうとした時だった。
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
不意に彼女達の機体から、激しい力が立ち昇った。
黒い稲妻。そう例えるのが最も相応しい絵面であり、マキナ達の機体は、音を立てて変形していったのだ。
「あっ……ああっ、ああああああああっっっ!!!」
通信画面はノイズ交じりになり、マキナの悲鳴が響き渡る。
やがて『声』が投げかけられた。
「裏切るつもりか? 馬鹿め、全て予測済みだ」
「ここまで来てくれて感謝するぞ。我らの名誉挽回になる」
声は口々に好き勝手な事を言うが、誠はそれに聞き覚えがあった。
あの高千穂研で、カノンの体を操っていた鬼の頭領……五老鬼と呼ばれる連中の声だったからだ。
一同は下がりながら電磁シールドで弾き、体勢を整える。
「……いや、敵さん本気だ。通してくれって言っても、そうはいかんだろうな」
香川の呟きに、カノンも頷いた。
「こっちの機体もパワーアップしてるけど、あっちも邪神がいじってそうね」
「確かに、どー見ても不気味な感じになってるもんな」
宮島の言う通り、相手の機体からは黒い邪気のようなものが立ち昇っている。
だが隊員達が苦慮する最大の理由は、誠もよく分かっていた。それは相手が『人』だからだ。
「嫌やわこういうん。なんぼ悪党でも、人間相手は気兼ねするで」
難波の言葉は、全員の気持ちを代弁していただろう。
恐らく邪神は、その狙いを兼ねて彼らをスカウトしていたのだ。
……ただ誠は、相手の挙動にぎこちなさを感じていた。
どこか怯えているというのか、焦りが垣間見えるというのか。
つい先日、ディアヌスの細胞を奪いに来た時のような勢いが無かったのだ。
(おかしい……棒立ちの射撃しかしてこないし、まるで素人の連携だ。不是の機体が見えないのと関係あるのか……?)
誠は探りを入れるべく、外部拡声器で呼びかける。
「なぜこの期に及んで邪魔をする? 邪神の親玉が出てきたら、何もかもおしまいなんだぞ。あいつらがどれだけ危険か分かってるのか?」
「……し、知ってるわよ! あたしらだってそのぐらいっ!」
驚いた事に、相手は真っ向からその問いに答えた。
更に予想外は続き、相手は通信機能をONにしたらしい。誠の機体の画面上に、女の姿が映し出された。
長い髪の一部を巻いて飾り付けた、20歳ぐらいの女……確か蓼川マキナとかいい、不是の恋人だった人物だ。
かつて余裕たっぷりだったマキナの表情は、今は悲壮感に満ちている。
「あたしらだって、やりたくてやってるわけじゃないのよっ……! あんたらをやらなきゃ、こっちがやられるんだから……!」
「アホかっ、そんなん最初から分かってたやろ! あんなもんについてくからそうなるんや!」
「うっ……!」
難波の指摘に、マキナは目に見えてうろたえた。
唇を噛み締め、青ざめた顔で小刻みに目線を動かしている。
頃合いを見て、カノンが更に揺さぶりをかけた。
「だったら今からでも、縁を切ったらいいんじゃない? 外に大勢来てるんだもの、今なら保護してもらえるでしょ?」
勿論それはブラフであり、戻ったところで彼らは死を免れない。
恐るべき邪神に味方し、多くの人々を危険にさらしたのだ。
少なくとも外患誘致に該当するし、死刑以外の未来など無いはずだ。
それでもカノンはハッタリを込めて言ったのだ。戦いで余計な時間を使わぬように……無駄に消耗しないように。
そんな試みに気付く様子もなく、マキナは画面上でうろたえていた。
「こ、こんなはずじゃなかったのよ。あたしは、あたし達は……!」
だが、マキナが何かを言おうとした時だった。
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
不意に彼女達の機体から、激しい力が立ち昇った。
黒い稲妻。そう例えるのが最も相応しい絵面であり、マキナ達の機体は、音を立てて変形していったのだ。
「あっ……ああっ、ああああああああっっっ!!!」
通信画面はノイズ交じりになり、マキナの悲鳴が響き渡る。
やがて『声』が投げかけられた。
「裏切るつもりか? 馬鹿め、全て予測済みだ」
「ここまで来てくれて感謝するぞ。我らの名誉挽回になる」
声は口々に好き勝手な事を言うが、誠はそれに聞き覚えがあった。
あの高千穂研で、カノンの体を操っていた鬼の頭領……五老鬼と呼ばれる連中の声だったからだ。
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