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第四章その2 ~大活躍!~ 関東からの助っ人編

鶴ちゃんはしぶとい

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 青く輝く、不思議な空間だった。

 まるで神殿の柱のように、巨大な円柱が幾つも並び、その間を清らかな小川が流れている。

 しかし地面らしきものはなく、足元にはただ青い世界が広がるだけだ。

 所々に白い霧が漂っているが、それが柱に触れる度、清浄な光を帯びて輝いていた。

 そしてその場に立つのは、2人の女神と永津彦である。

「永津殿、時忘れの秘宝の効果はすぐにとける。その前に次の手を打たねばなりません」

 長い黒髪を伸ばし、切れ長の目元が凛々しい女神・岩凪姫いわなぎひめは、そう言って一歩進み出た。

「敵は日の本の大地をほころばせ、地の底の邪神どもを解き放つ算段。人は懸命に立ち向かいましょうが、今は神人も、その守り手も倒れております。だからこそ高天原たかまがはらの神々に、更なる助力をお願いしたいのです……!!」

 岩凪姫は鶴達の身を案じているのか、顔を伏せ、ぎゅっと拳を握り締めた。

 そんな岩凪姫の後を、妹の佐久夜姫さくやひめが続ける。

「私も姉と同じ考えです。夫の不在にあまり勝手は言えませんが、出来得る限り、高天原からのご助力を」

「……邇邇芸ニニギ様のおおきさき、そしてその姉神殿のお言葉。私も深く受け止めておりますが……」

 闘神・永津彦は、2人の女神を交互に見つめ、淡々と言葉を返した。

「ご期待に添えるかどうかは分かりませぬ。私はただ、偉大なるお方々のめいを実行するのみ……本分ほんぶん荒事あらごとにございますゆえ

 永津彦はそれだけ言うと、霧の向こうへ歩き去って行った。



「……どこかしら、ここは」

 果てしなく続くほの暗い世界に、鶴は不思議そうに首をかしげた。

「どうやら敵の……魂の中みたいだね」

 鶴の足元に立つコマは、周囲を見回してそう答えた。

「完全に吸収されたと思ったのに……僕達の魂はそのままで、あいつの中を動き回れてる。全くわけが分からないよ」

「知らないけど、世の中なんとかなるものよね」

 鶴は腕組みし、いつも通り適当に納得している。

「この調子で、あの魔王も誰か何とかしてくれないかしら」

「ちょっと鶴、こんな状況でまだ楽する気!?」

 コマは憤慨するが、鶴はゆっくりと首を振った。

「冗談よコマ。さすがの私も今度は別だわ」

 鶴はそこで頭上を見つめた。

「暗がりの中で、みんなの声が聞こえたの。みんな一生懸命だし……だから私も、たまには頑張ってみるわ……!」

 鶴は瞳をキラキラ光らせて、ぐっと手を握っている。

「……いい事言ってる感じだけどさ。たまにじゃなくて、いつも頑張りなよ」

 コマはツッコミを入れるが、鶴はもう歩き出していた。

「行くわよコマ、適当に出口を探してみましょう」

「君は運だけはいいからね」

 コマも慌てて鶴に駆け寄ってくる。
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