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第五章その6 ~やっと平和になったのに!~ 不穏分子・自由の翼編
不是の襲来1
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「久しぶりだな、出来損ない……!」
外部拡声器越しではあるが、不是の声には歓喜が滲み出ていた。
「会いたかったぜ……てめえを地獄に叩き落とすために戻ってきたんだ」
不是の人型重機は、宙に浮いたまま全身に力をみなぎらせた。
その機体は……一言で言えば漆黒の心神。
誠が乗る機体の形状に極めて近かったが、装甲のあちこちに刺々しい装飾や武装が追加されている。
関節から見える人工筋肉が膨張し、凄まじい電磁エネルギーが機体の周囲に発散されていた。
まるで機体そのものが、どす黒い闇のオーラを纏っているかのようだ。
しばし警戒する誠達だったが、再び付近で複数の爆発が相次いだ。
「やべえっ、早くしねえと!」
宮島の言葉と同時に、弾けるように動き出す隊員達。
だがそんな一同を見透かすかのように、複数の光弾が彼らの機体に降り注いだのだ。
やがて燃え上がる車両を押し退け、青紫の人型重機が次々姿を現した。
「不是さんの邪魔はさせないぜ? 三下ども」
そうあざ笑う彼らの声にも、誠は聞き覚えがあった。かつて不是の配下にいた特務隊のパイロット達だ。
彼らも不是と同様拘束されていたはずだが、恐らく同時期に脱獄したのだろう。
「新しい機体の慣らし運転だ。頑張って付き合ってくれよ?」
彼らはそう言うなり、強化刀を抜いて襲い掛かってくる。
隊員達は応戦するが、相手方の機体のパワーが極端に高い。
電磁バリアがいとも容易く斬り破られ、宮島は咄嗟にバックステップして刃筋を回避した。
「なっ、なんだこいつらっ、滅茶苦茶強ええぞ!?」
「特注の機体みたいだな。宮島っ、踏ん張れよ!」
宮島、香川が連携し、同時に強化刀で切りつけるが、相手の機体は片手の電磁シールドだけでそれを弾いてしまう。
属性添加機の出力だけでも、こちらの数倍は発揮していそうだった。
「ははっ、すげえすげえっすよ不是さん、最高ですわこの機体!」
パイロットは狂喜し、そのまま力任せに宮島と香川を追い詰めていく。
同様に難波やカノンも苦戦していた。
「あかんわ、性能が違いすぎるで!」
彼女らの機体がよろめき、相手の追撃を喰らいそうになったため、誠は射撃でそれを牽制した。
「出力に差がある、時間稼ぎでいい! 回避と防御にエネルギーを回せ!」
だがそこまで叫んだ途端、誠は強烈な殺気を感じた。
不是の乗る黒い人型重機が、猛烈な勢いで突進して来たのだ。
「てめえの相手は俺だろうがよおおおっ!!!」
不是の機体は禍々しい形状の強化刀を抜いて襲いかかる。
「くっ!!!」
誠は咄嗟にこちらの強化刀で受ける。
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
凄まじい衝撃、そして光。
双方の刃の斬撃系電磁式が相殺し合い、発生した余剰エネルギーが雷のように周囲を照らした。
誠はいったん大地を蹴って後退する。
距離をとって相手の出方をうかがうつもりだったが、不是はそれを許さない。
「逃がすか出来損ないがよおっ!!!」
連続して打ちつけられる、凄まじい連撃。
その速度も重さも、今までの相手とは桁違いだった。
(前より速い、人間の反応速度じゃないっ……! 先読みして対処しないと)
誠は意識を目に集中する。
環境変異の影響で、特殊な視細胞をもつ誠は、意識すれば相手の周囲の電磁場が見える。
人や怪物と言えど、その思考は電気信号であり、何かを考えれば周囲の磁場が乱れる。それを読み取る事で、誠は相手の動きを先読み出来るのだ。
だがそこで、誠は強烈な痛みを感じた。
(…………っっっ!!!???)
全身の神経が焼き尽くような激痛。紛れも無く、今までの戦いの後遺症だった。
(駄目だ……先読みが使えない……!)
だが目の前の殺戮者は、そんな誠の窮状を楽しむように叫んだ。
「どうした、弱くなったのか? それとも俺が強くなり過ぎたのかよ!?」
不是は一旦距離をとると、機体の周囲に不可思議な光を集め始めた。
青紫の光が複雑な幾何学模様となり、それが幾重にも重なって、耳が痛くなるような高音を奏でている。
外部拡声器越しではあるが、不是の声には歓喜が滲み出ていた。
「会いたかったぜ……てめえを地獄に叩き落とすために戻ってきたんだ」
不是の人型重機は、宙に浮いたまま全身に力をみなぎらせた。
その機体は……一言で言えば漆黒の心神。
誠が乗る機体の形状に極めて近かったが、装甲のあちこちに刺々しい装飾や武装が追加されている。
関節から見える人工筋肉が膨張し、凄まじい電磁エネルギーが機体の周囲に発散されていた。
まるで機体そのものが、どす黒い闇のオーラを纏っているかのようだ。
しばし警戒する誠達だったが、再び付近で複数の爆発が相次いだ。
「やべえっ、早くしねえと!」
宮島の言葉と同時に、弾けるように動き出す隊員達。
だがそんな一同を見透かすかのように、複数の光弾が彼らの機体に降り注いだのだ。
やがて燃え上がる車両を押し退け、青紫の人型重機が次々姿を現した。
「不是さんの邪魔はさせないぜ? 三下ども」
そうあざ笑う彼らの声にも、誠は聞き覚えがあった。かつて不是の配下にいた特務隊のパイロット達だ。
彼らも不是と同様拘束されていたはずだが、恐らく同時期に脱獄したのだろう。
「新しい機体の慣らし運転だ。頑張って付き合ってくれよ?」
彼らはそう言うなり、強化刀を抜いて襲い掛かってくる。
隊員達は応戦するが、相手方の機体のパワーが極端に高い。
電磁バリアがいとも容易く斬り破られ、宮島は咄嗟にバックステップして刃筋を回避した。
「なっ、なんだこいつらっ、滅茶苦茶強ええぞ!?」
「特注の機体みたいだな。宮島っ、踏ん張れよ!」
宮島、香川が連携し、同時に強化刀で切りつけるが、相手の機体は片手の電磁シールドだけでそれを弾いてしまう。
属性添加機の出力だけでも、こちらの数倍は発揮していそうだった。
「ははっ、すげえすげえっすよ不是さん、最高ですわこの機体!」
パイロットは狂喜し、そのまま力任せに宮島と香川を追い詰めていく。
同様に難波やカノンも苦戦していた。
「あかんわ、性能が違いすぎるで!」
彼女らの機体がよろめき、相手の追撃を喰らいそうになったため、誠は射撃でそれを牽制した。
「出力に差がある、時間稼ぎでいい! 回避と防御にエネルギーを回せ!」
だがそこまで叫んだ途端、誠は強烈な殺気を感じた。
不是の乗る黒い人型重機が、猛烈な勢いで突進して来たのだ。
「てめえの相手は俺だろうがよおおおっ!!!」
不是の機体は禍々しい形状の強化刀を抜いて襲いかかる。
「くっ!!!」
誠は咄嗟にこちらの強化刀で受ける。
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
凄まじい衝撃、そして光。
双方の刃の斬撃系電磁式が相殺し合い、発生した余剰エネルギーが雷のように周囲を照らした。
誠はいったん大地を蹴って後退する。
距離をとって相手の出方をうかがうつもりだったが、不是はそれを許さない。
「逃がすか出来損ないがよおっ!!!」
連続して打ちつけられる、凄まじい連撃。
その速度も重さも、今までの相手とは桁違いだった。
(前より速い、人間の反応速度じゃないっ……! 先読みして対処しないと)
誠は意識を目に集中する。
環境変異の影響で、特殊な視細胞をもつ誠は、意識すれば相手の周囲の電磁場が見える。
人や怪物と言えど、その思考は電気信号であり、何かを考えれば周囲の磁場が乱れる。それを読み取る事で、誠は相手の動きを先読み出来るのだ。
だがそこで、誠は強烈な痛みを感じた。
(…………っっっ!!!???)
全身の神経が焼き尽くような激痛。紛れも無く、今までの戦いの後遺症だった。
(駄目だ……先読みが使えない……!)
だが目の前の殺戮者は、そんな誠の窮状を楽しむように叫んだ。
「どうした、弱くなったのか? それとも俺が強くなり過ぎたのかよ!?」
不是は一旦距離をとると、機体の周囲に不可思議な光を集め始めた。
青紫の光が複雑な幾何学模様となり、それが幾重にも重なって、耳が痛くなるような高音を奏でている。
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