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最終章 死と光
2. 悪霊
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「来たか……」
サナトリオルムは玉座から立ち上がった。
「ルクスを返せ!」
兄上が声を張り上げ悪霊に向かって叫んだ。
「我に勝ったら返してやろうではないか」
「その言葉、違えるなよ」
「クク……怖い、怖い……」
サナトリオルムが呪文を唱えると、床にいくつもの魔法陣が現れた。
「おまえたちの人数分のダンスパートナーを用意してやった。存分に楽しむがいい」
「げっ!なんだこいつら……」
魔法陣からは気味の悪い魔物が召喚され、サナトリオルムは再び玉座についた。
「オブスタリークス!」
兄上が魔法でサナトリオルムを攻撃するが、ヤツは防御魔法を展開しているようだ。見えない膜のような何かに跳ね返されてしまった。
「グラヴィス……おまえの相手は我ではないぞ。クク……そんなことをしていて……いいのか?」
「つっ……!」
こめかみのあたりに激痛が走り――
「ノア!?」
次の瞬間には身体中から血が噴き出していた。
いつ――攻撃されたんだ?
「あっはっはっはっはっは!やはりノアは、弱いなあ~…」
「ニケ!!!」
兄上がニケの名を呼んだ。
「は、はいっ!」
「ノアをともに助けるぞ!他の皆は魔物の相手を頼む」
「御意!」
「「「はい!」」」
ラウルスが兄上の声に真っ先に応え、他のみんなもそれに続いて声をあげた。
「持ち場を死守しろ!」
皆は、俺たちを守るように四方に陣取っている。魔物は七体……一人で約二匹を受け持たなくてはならない。
「なかなかおもしろい見世物だろう。何人死ぬかな……ククッ……楽しみだ」
サナトリオルムの耳障りな笑い声が遠くから聞こえてくる。
俺はニケと兄上に回復魔法をかけられ、さっきよりも体が楽になってきていたが、まだ血が流れる感覚があった。
「ノア、おまえはサナトリオルムに呪詛をかけられた。私も知らない……非常に強力な魔法だ。だが、心配するな。必ず助けてやる!」
「兄上……ニケ……」
「ニケ、そのまま魔法をかけ続けろ。私は別の魔法を使わねばならない」
「はい!」
「ノア……少々手荒い方法を使うが……気を強く持ち、耐え抜いてくれ」
「は…い……」
「私の魔力をおまえに直接流し込む。以前、意図せずそうしたことがあっただろう。そのとき、おまえの魔力は一時的に強化されていた。その状態であれば、サナトリオルムにかけられた魔法を打ち破れるやもしれん。だが、おまえのからだがそれに耐えれるかどうか……これは賭けだ」
「がんばります……なんとなくだけど、できそうな気がします。おねがいします、兄上」
兄上の魔力が、俺のからだに流れ込んでくるのを感じた。
からだが熱い……
サナトリオルムは玉座から立ち上がった。
「ルクスを返せ!」
兄上が声を張り上げ悪霊に向かって叫んだ。
「我に勝ったら返してやろうではないか」
「その言葉、違えるなよ」
「クク……怖い、怖い……」
サナトリオルムが呪文を唱えると、床にいくつもの魔法陣が現れた。
「おまえたちの人数分のダンスパートナーを用意してやった。存分に楽しむがいい」
「げっ!なんだこいつら……」
魔法陣からは気味の悪い魔物が召喚され、サナトリオルムは再び玉座についた。
「オブスタリークス!」
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「グラヴィス……おまえの相手は我ではないぞ。クク……そんなことをしていて……いいのか?」
「つっ……!」
こめかみのあたりに激痛が走り――
「ノア!?」
次の瞬間には身体中から血が噴き出していた。
いつ――攻撃されたんだ?
「あっはっはっはっはっは!やはりノアは、弱いなあ~…」
「ニケ!!!」
兄上がニケの名を呼んだ。
「は、はいっ!」
「ノアをともに助けるぞ!他の皆は魔物の相手を頼む」
「御意!」
「「「はい!」」」
ラウルスが兄上の声に真っ先に応え、他のみんなもそれに続いて声をあげた。
「持ち場を死守しろ!」
皆は、俺たちを守るように四方に陣取っている。魔物は七体……一人で約二匹を受け持たなくてはならない。
「なかなかおもしろい見世物だろう。何人死ぬかな……ククッ……楽しみだ」
サナトリオルムの耳障りな笑い声が遠くから聞こえてくる。
俺はニケと兄上に回復魔法をかけられ、さっきよりも体が楽になってきていたが、まだ血が流れる感覚があった。
「ノア、おまえはサナトリオルムに呪詛をかけられた。私も知らない……非常に強力な魔法だ。だが、心配するな。必ず助けてやる!」
「兄上……ニケ……」
「ニケ、そのまま魔法をかけ続けろ。私は別の魔法を使わねばならない」
「はい!」
「ノア……少々手荒い方法を使うが……気を強く持ち、耐え抜いてくれ」
「は…い……」
「私の魔力をおまえに直接流し込む。以前、意図せずそうしたことがあっただろう。そのとき、おまえの魔力は一時的に強化されていた。その状態であれば、サナトリオルムにかけられた魔法を打ち破れるやもしれん。だが、おまえのからだがそれに耐えれるかどうか……これは賭けだ」
「がんばります……なんとなくだけど、できそうな気がします。おねがいします、兄上」
兄上の魔力が、俺のからだに流れ込んでくるのを感じた。
からだが熱い……
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