某国の皇子、冒険者となる

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第5章 砂漠の国の錬金術師

3. 意外な特技

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「遅れてごめん。思ってたより仕事に時間がかかっちゃって」
「大丈夫。まだ始まったばっかりだよ」
「仕事かぁ…何やってるんだ?」
「こういうの作ってる」
ニケはテーブルの上に色の付いた液体の入った小瓶を置いた。

「これは……魔力増強薬でしょうか?一時的に服用した者の魔力を上げるという……」
「さすが、エルフは博識だね」
「これってあんまり市場に出回らないよね?作れる人が少ないらしくて…」
「うん。僕作れるんだ。すごいでしょ。ノア?」
「すごいなぁ……」
「ニケ、自慢やめろよ」
ウィル……ちょっと同感。

「別に自慢ってほどでも……ノアだって魔法の才能あるんだから、作れると思うんだけど」
「どうだろ……昔、家庭教師にも習ったことあるけど、魔法薬作りって苦手でちゃんとできたことないんだよなぁ……なんでもできるニケが羨ましい」
俺はがっくりと肩を落とし、ため息をついた。
「そんなに落ち込まなくても……ノアは魔法が使えるから、そっちで仕事したらいいじゃない。魔物退治とか。ギルドにたくさん依頼が来てるらしいよ」
「いやー…冒険者となったからには、生産職のひとつやふたつ、極めたいっていうか……」
前世で遊んでいたMMORPGでも、戦闘民族として高難易度コンテンツのクリアを目指して練習に参加するよりもどちらかというと、のんびりクラフターをする方が好きだった。

「ふーん…そうなんだ。なにか作りたいものでもあるの?」
「じつは…兄上に手作りの何かをプレゼントしたくて」
「…へぇ。ノアってお兄さんがいるんだね」
「うん。ニケにもいるだろ?」
「いるよ。兄と姉が五人も。なんでわかったの?」
「末っ子っぽいから。ていうか、兄弟多いな」
「まあ、歳が離れてるし、あんまり会わないけどね。ノアみたいに、プレゼントを贈りたいと思うほど仲良くないし…」

あ…しまった……
兄弟に手作りプレゼントを渡したいとか、引かれただろうか。
でも、兄上ならどんな高価なものでも自分で買えるだろうし。選択肢が他にないんだよなぁ……

「それで、ノアはお兄さんに何を作ってあげるつもりなの?」
「えーと…肌身離さず身につけられるものがいいって言ってたから、やっぱりアクセサリーかな」
「ふんふん…」
「兄上は魔法を使うから、欲を言えば魔力を上げる効果かなんか付けたいなー…」

「彫金と錬金術の技術が必要ってわけか……」
「難しいかなぁ…」
「いや、そうでもないよ」
「ほんとに!?」
「そういうのなら、僕が教えてあげられそうだし」
「えっ!!いいの!?」

俺の大声に、他の話題で盛り上がっていた三人がこちらへ振り返った。

「僕の故郷に遊びに来ない?ノア」


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