某国の皇子、冒険者となる

くー

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第5章 砂漠の国の錬金術師

2. 祝杯

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よさそうな店に入ったところで、俺はジンを振り返った。

「ジン、ギルドの掲示板に、ニケへの伝言メッセージを貼ってきてくれる?」
「えー…なんで俺が~」
「たまには使い魔らしいことしろよ」
「使い魔の使いってそういう意味なのかなぁ…」
「乾杯は待っててやるから、はいダッシュ!」
「も~!年長者は敬ってよね……」
文句を言いながらも、ジンは冒険者ギルドの方向へ小走りで去って行った。

「文句の多い使い魔だな……」
「うん。使われるのに向いてないよね……」

エールが来たので、とりあえず三人で乾杯した。
「「「おつかれ~!」」」
この国での飲酒は18歳から可能なので、セーフだ。

「は~~~~~~~……っ!うまい!」
「今回の依頼は、やり遂げた感というか……すごい達成感があったよな」
と、ウィル。
「大変でしたからね……」
「あ!もう飲んでる!待ってるって言ったのに!みんな待ってると思って俺、全力で走ってきたのに!」
息せき切ってジンが現れた。

「ごめんごめん、忘れてた☆すみませーん!エールもうひとつください」
「まったく…兄弟そろってひどいんだから……」
「お使いありがとう、ジン。ここのエールうまいよ。飲んで機嫌なおせよ」
「走った後だと、余計おいしさが増しているはずですよ」
「そうそう」
「うぉ~!早く酒来いー!」

追加の酒が到着し、ジンは一気に傾けた。
「っは~~~~~~!生き返る~~~~~」
「いい飲みっぷりだなぁ…」

「さっそく愚痴いいですかぁ?あの遺跡にはもう二度と、行きたくない~」
「あのお二方の手にかかれば瞬殺だが、あの遺跡のモンスターたち、それなりに手強かったからなぁ」
「そうなのですか?」
「そうだったの?」
俺とエトワールはポカン顔だ。

「俺とウィルがどんなに苦労したか……だって俺ら二人とも近接攻撃職じゃない?」
「俺はまだ貧血気味だ……」
ウィル……かわいそうに。兄上とペアででよかった……

「ジン…血を飲まなくても魔法が使えるように修行したら?」
「えぇっ!そんなこと考えたこともなかった」
「それはいい考えですね」
「決まりだな。師匠にお願いしておくよ」
「ちょっと~!普通にムリだってば~」
「ウィルもがんばるんだし、おっさんもがんばりなよ」
「あ!ニケ!来たんだ!」

そこには、涼し気な顔をしたニケがいた。


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