某国の皇子、冒険者となる

くー

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第1章 冒険者への道のり

6. 冒険者ギルドへ

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朝食での敗北感を打ち消すためにも、俺は張り切っていた。
さあ、いよいよ冒険者になるときが来たのだ!

この世界では冒険者ギルドに所属して初めて、冒険者として一人前とみなされる。
国や地域によって差異はあるが、冒険者認定試験を受け、それに合格することがギルドに所属することの条件だ。
ブラウフォンスの試験はギルド指定のダンジョン探索で、ダンジョン内で倒したモンスターの指定素材を持ち帰ることだった。
試験を受けるにはエントリーをしなければならない。そのために俺たちは冒険者ギルドに向かった。

20分ほど歩くと、ブラウフォンスの町の中心部にある冒険者ギルドに辿り着いた。
町の他の建物と同じような石造りの壁だが、扉は鉄でできている。年季が入り趣のある扉を押し開け、中に入った。屋内には二、三十名の冒険者がいて賑わっている。
クエスト依頼が張り出されたボードの依頼を確認している人、カウンターで受付と話している人、テーブルを囲み冒険者同士で談笑している人達も多い。
俺がお忍びで訪れた帝都の冒険者ギルドよりもこじんまりとしているが、活気はこちらも負けてはいなかった。
俺は受付の順番待ちの列に並んだ。しばらくすると俺の順番が来た。
「冒険者認定試験を受けたいのですが」
「では、こちらの羊皮紙に必要事項をご記入ください」

名前や年齢といった情報を記入し提出すると、試験の概要説明会が13時からで、まもなく始まると案内される。
「ギリギリセーフだな」
「ノアは運がいいから」
受付から説明会の資料を受け取り、別室の説明会場に移動した。そこには、既に10名程の受験者たちが集まっていた。

冒険者認定試験説明会の内容は、今回試験場となるダンジョンの仕組み、各々に課されたモンスターの素材を指定の日時までに持ち帰ること、試験中の事故や怪我に対してギルドは一切責任を負わないことなどだった。
俺の指定素材はスケアリーベアの鍵爪だった。このモンスターは図鑑でしか見たことがない。
「腕が鳴るぜ!」
「ノアは自分の身を守ることに専念して。スケアリーベアとは俺が戦う」
「…は?」
ウィル…なにを言ってるんだ?
「おまえ、説明聞いてなかったのか?自分で倒して手に入れた素材じゃないと無効だって言ってただろ?」
「ノアの作戦、命令で倒すから問題ないでしょ。チームの勝利はノアの勝利だよね?」
なんか違う。ウィルと俺のパーティは、俺が思い描いていた冒険者パーティじゃない。

「おーい、そこのお二人さん。さっそく仲間割れか?」
ふいに声をかけられ、俺はうしろを振り返った。


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