【完結】I adore you

ひつじのめい

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曙光

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 やっと目を合わせてくれて……嬉しい蒼

 そう言うと蒼はクシャリと崩れた泣きそうな笑顔を俺に向けた。

 そんな蒼の顔を見て俺の中でガチガチに絡んで中々解けなかった感情が、するりと解けた気がした。

 蒼、一緒に帰ろう!俺の言葉に蒼は小さく頷くと俺を抱き起こした、お互い廊下に座り込んでいたと気付き顔から火が出るぐらい恥ずかしかった。

 なっちゃん真っ赤だねっと笑う蒼に違和感を感じた……

 あきらかに蒼の目の位置が高い、蒼また身長伸びた?ときけば計ってないから分からないと言いながらも嬉しそうだった。

 蒼に鞄を渡した後に自分の鞄を持ってないことに気付き教室に取りに行かないとと思いながらも、なんとなく気まずい………が気持ちを切り替えて取りに行った。

 俺の心配とは裏腹に教室に舞の姿は無かった、舞には悪い事をしたとは思ってるが顔を背けた事対しては悪いとは思っていなかった。

 久しぶりの蒼との帰り道、凄く浮かれている事に気づき俺の中で【それ】は確信へと変わっていった。

 蒼この後……
 俺の家で少し話をしないか?

 そう訊ねた俺に蒼は考えることなく笑顔を浮べ頷いてくれた。

 家に着くと部屋着にチョンマゲ姿の姉ちゃんに出迎えられた、そして蒼に気付くと。

「蒼もう体調は大丈夫?う~ん顔色はいいし大丈夫そうだね……蒼がもう家に来てくれないんじゃないかと思っていたから来てくれて嬉しい!今日はこのまま泊まって行けば良いよ。」

 姉ちゃんのマシンガントークかつ情報量の多さに頭を抱えていると。

「蒼、今日は泊まるで良いよね、心桜さんの提案は断れないよね」

 そう言うと満面の笑みで蒼を見ている、この顔を見て断れる人が居るなら見てみたい。

 蒼は困った顔をしながら着替もないしと言うと姉ちゃんは、夏樹の着れば良いよ着れなかったらパパの未開封のパジャマもあるよと有無をも言わせない。

 蒼も諦めたようで、お世話になりますと姉ちゃんに言うと家へと連絡をしていた。

夕飯が出来るまで、俺と蒼は俺の部屋で話をする事にした、お菓子と飲み物を持って部屋へ入ると当たり前だけど2人きりだ。

 話があるから座ってと促すと蒼はベッドを背もたれにして座ったのを確認すると俺は、蒼の隣に腰を落とした。

 蒼……ままでゴメンと言うも、蒼は首を横に振りながら、なっちゃんに何もされてないから大丈夫だと笑顔を見せる。

 今までの俺なら、ここで話は終わってたと思うでも今回は腹を割って話すと決めている。

 蒼……ちゃんと話を聞いて欲しいと蒼と目をしっかりと合わせた。

 最近の俺たち最近は、やっぱり少し変だったよな……
 蒼の優しさに俺が甘えて居たんだと思う……
 そう伝えると蒼は視線を逸らさず俺の話を聞いてくれている。

 言い訳っぽくなってしまったが、俺が言いたかった事を素直に言葉にして蒼に届けた。

 蒼は分かったと呟くと顔を伏せてしまった。

 俺はまた間違った選択をしまったのかと思い慌てて蒼の顔を両手で包み込むと強制的に俺の方へと顔を向けさせると、蒼の顔は赤く染まっていた。

 俺たちの間に、なんとも言えない空気が流れ……なんとか、この空気を変えようと頭をフル回転させていると、俺の部屋の扉がノックもなしに開いた。

 「あっらぁ~お邪魔だったかしら?」

 その声を聞いて俺は慌てて蒼から手を離した。

 満面の笑みで俺たちを見てる姉ちゃんは、思い出したように、ご飯の用意ができてるから早く下に降りて食べちゃって!と俺たちを急かした。

 姉ちゃんのおかげで、変な空気は無くなったし昔みたいに蒼と笑い合えてる。

 テーブルに付いて夕飯を食べている時も、何故か姉ちゃんはニヤニヤしていて、少し怖い。

 なっちゃん……そう蒼に呼ばれて振り向くと蒼の指先が俺の口元を拭った。

「付いてたよ」

 俺に笑顔を向けながらその指を舐めた、と同時に姉ちゃんが凄い勢いでおでこをテーブルにぶつけた。

 その状態で、食べ終わったなら早くお風呂に入っちゃいなさいよと叫んでる……何故?

 俺たちが部屋を出ると、閉まった扉の奥から奇声が聞こえたが聞こえない事にしておこう。

 俺の隣で楽しそうに笑ってる蒼を見てこの関係が、ずっと続けば……思う自分が居た。
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