【完結】I adore you

ひつじのめい

文字の大きさ
上 下
13 / 18

不安

しおりを挟む
 俺の熱は2日目にしてやっと下がった、蒼との関係は……
やっぱり今まで通りとは、いかなかった。

 別に避けられてはいないけど、しっかりと線引きさるていると感じる事が多々あった。

 そんな状態が続く中、俺の気持ちとは裏腹に時間だけが流れて気づけば季節が変わっていた。

 蒼と前みたいな関係に戻りたい、最近はそう思うことが多くなってきた。

 そんな状況の中、舞から蒼の名前が出る事が多くなってきた。

 橘くんと帰らないの?今日、橘君も一緒に寄り道しない?初めは舞が俺と蒼の関係を心配してくれいると思っていたけど、俺の中で明確な理由は無いけど何かがひっかかる違和感を抱いていた。

 今日も、代わり映えのない1日が終わるんだろうと思っているとスマホが小刻みに震えメッセが届いた事を知らせている。

 なっちゃん久しぶりに今日、一緒に帰らない?

  たった1行の文字、蒼からのメッセに胸が高鳴る、あの時から蒼と一緒に通学路を歩く事は無くなった。

 俺の指は考えるよりも先に動いていた。

 蒼と帰れるのを楽しみにしてる、そう打ち込み送信ボタンを押した。

 舞の元へと向かうと今日は蒼と帰ることを伝えると、それなら3人で帰ろうと俺に笑顔を向けた。

 俺は、その笑顔にまた違和感を感じた。

 舞に、今日は2人で帰るからゴメンと伝えるのと一瞬、舞の眉間にしわが寄ったように見えたけれど、直ぐにいつもよ笑顔になり、橘君が来るまでは一緒に居たいと言われた。

 何故か断りづらく蒼が来るまで一緒に居ることにした。

 どれくらいの時間が過ぎただろう教室には俺と舞だけになっていた。

 その時、教室へと入ってくる人の気配を感じたと同時に舞に唇を奪われそうになった。

 俺は無意識に唇が触れる直前に顔を背けてしまった

 パタンと何かが落ちた方へと顔を向けると、蒼がこっちを見て立っていた、蒼は俺の視線に気付くとゴメンと言葉を発してカバンを残し走っていってしまった。

 俺は慌てて追いかけようとした時に、舞に腕を掴まれた。

「私たち付き合ってるんだよね、なんでいつも橘くんのことばっかり優先にするの?」

 涙目で、そう言われても舞と付き合ってからは蒼とばかりではないし、むしろ舞中心になっているはずだ。

 俺は話は後でちゃんと聞くからと、舞の手を振り払い蒼を追いかけたが少し舞が気になり振り返ると舞は笑っているように見えた。

 蒼のカバンを持ちながら追いかけるが、いっこうに距離が縮まらない、勉強も出来て運動も出来るなんて蒼はすげぇなと思いつつ、俺は息もとぎれとぎれに蒼の名前を呼ぶも振り返ってもくれない。

 俺はもう1度、蒼の名前を呼ぼうとしたその時、自分の足につまづいて、おもいきりこけた。

 ダサすぎる……

 俺の声にもならない声に気付いた蒼が心配そうに俺の元へと戻ってきた。

「なっちゃん大丈夫?」

 そう俺の顔を心配そうに覗きこんだ。

「蒼なんで逃げるんだよ、足速すぎだろ」

 蒼は、邪魔してゴメンと呟いた……が俺は邪魔されてないし蒼と帰れるのを楽しみにしていた事を伝えるも、何か言いたそうな顔をしつつも何も言わなかった。

「蒼、今日はちゃんと今までの分まで、腹を割ってちゃんと話をしよう」

 俺がそう言っても、何かを考えているようで返事が返ってこない、俺は思わず蒼の両方のほっぺを横へと引っぱった、蒼は何するんだよ!と言いながらも目尻は下がっていた。

 やっと蒼と目が合った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

サンタからの贈り物

未瑠
BL
ずっと片思いをしていた冴木光流(さえきひかる)に想いを告げた橘唯人(たちばなゆいと)。でも、彼は出来るビジネスエリートで仕事第一。なかなか会うこともできない日々に、唯人は不安が募る。付き合って初めてのクリスマスも冴木は出張でいない。一人寂しくイブを過ごしていると、玄関チャイムが鳴る。 ※別小説のセルフリメイクです。

総長の彼氏が俺にだけ優しい

桜子あんこ
BL
ビビりな俺が付き合っている彼氏は、 関東で最強の暴走族の総長。 みんなからは恐れられ冷酷で悪魔と噂されるそんな俺の彼氏は何故か俺にだけ甘々で優しい。 そんな日常を描いた話である。

恋した貴方はαなロミオ

須藤慎弥
BL
Ω性の凛太が恋したのは、ロミオに扮したα性の結城先輩でした。 Ω性に引け目を感じている凛太。 凛太を運命の番だと信じているα性の結城。 すれ違う二人を引き寄せたヒート。 ほんわか現代BLオメガバース♡ ※二人それぞれの視点が交互に展開します ※R 18要素はほとんどありませんが、表現と受け取り方に個人差があるものと判断しレーティングマークを付けさせていただきますm(*_ _)m ※fujossy様にて行われました「コスプレ」をテーマにした短編コンテスト出品作です

楽な片恋

藍川 東
BL
 蓮見早良(はすみ さわら)は恋をしていた。  ひとつ下の幼馴染、片桐優一朗(かたぎり ゆういちろう)に。  それは一方的で、実ることを望んでいないがゆえに、『楽な片恋』のはずだった……  早良と優一朗は、母親同士が親友ということもあり、幼馴染として育った。  ひとつ年上ということは、高校生までならばアドバンテージになる。  平々凡々な自分でも、年上の幼馴染、ということですべてに優秀な優一朗に対して兄貴ぶった優しさで接することができる。  高校三年生になった早良は、今年が最後になる『年上の幼馴染』としての立ち位置をかみしめて、その後は手の届かない存在になるであろう優一朗を、遠くから片恋していくつもりだった。  優一朗のひとことさえなければ…………

「誕生日前日に世界が始まる」

悠里
BL
真也×凌 大学生(中学からの親友です) 凌の誕生日前日23時過ぎからのお話です(^^ ほっこり読んでいただけたら♡ 幸せな誕生日を想像して頂けたらいいなと思います♡ →書きたくなって番外編に少し続けました。

【幼馴染DK】至って、普通。

りつ
BL
天才型×平凡くん。「別れよっか、僕達」――才能溢れる幼馴染みに、平凡な自分では釣り合わない。そう思って別れを切り出したのだけれど……?ハッピーバカップルラブコメ短編です。

独占欲強い系の同居人

狼蝶
BL
ある美醜逆転の世界。 その世界での底辺男子=リョウは学校の帰り、道に倒れていた美形な男=翔人を家に運び介抱する。 同居生活を始めることになった二人には、お互い恋心を抱きながらも相手を独占したい気持ちがあった。彼らはそんな気持ちに駆られながら、それぞれの生活を送っていく。

日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが

五右衛門
BL
 月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。  しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──

処理中です...