【完結】I adore you

ひつじのめい

文字の大きさ
上 下
3 / 18

出会い【後編】

しおりを挟む
 それにしても新入生代表って……蒼はもしかして首席だったのかな?

 マジで凄すぎるし格好いいと思っていると、さっきの女の子が声を掛けてきた。

「凄い人気ですね、星蘭中の4人組の1人ですもんね」

 星蘭中せいらんちゅうは俺や蒼が通ってた中学校ではあるけど4人組ってなんだろうと考えて居ると顔に出ていたのか、彼女は俺の返事を待たずに話を続けた。

橘蒼たちばなあおい君、大河内諒太おおこうちりょうた君、星野ほしのルイ君、そして杠葉夏樹ゆずりはなつき君」

 俺の頭はクエッションマークでいっぱいになり、なんで俺の名前を知ってるのか聞くだけで精一杯だった。

「この辺の中学を卒業した人なら知らない人は居ないと思いますよ」

 そう言うと……色んな意味で有名ですからと付け加えた。

 俺達4人は特に目立つような事はしてないし、思い当たる事があるとしたら蒼、諒太、ルイは見た目もあるけど中身も凄い格好いいっ……俺は自分で言ってて悲しくなるけど、典型的なごくごく普通の高校生だ。
 俺は普通の学生だよと言うと彼女は、そんな事はないですよと微笑んでくれた。

 女子は男子より精神年齢が上ときくけど、社交辞令が使えるなんて大人だと感じると同時に、話しやすい子だと思った。

 凄く視線を感じて視線の方へと顔を上げると壇上の蒼と目が合った気がした……えっ……俺をを見ながら話してる?

 さすがに、この人数の中で俺が分かるはずないし気のせいだな。

 それにしても、この1年で蒼は雰囲気も大人っぽくなって……なんだか取り残された気分になり言葉には出来ない複雑な気持ちが胸に芽生えた。

 式が終わった後教室に戻り指定された自分の席へと座るとさっきの話を漠然と考えてみた。

 なんで有名なんだ?

 3人が目立つタイプだから俺も多少は美化されてるとか?

 って事は俺に彼女が出来る可能性が出てきてりして……

「……き……つき」

 頭の中で色々と考えてると俺の両脇腹に衝撃が走った

 なに?なに?なに?

 一瞬、変な声が出ちゃったじゃないか入学初日に変な人認定はされたくないと振り返ると声を殺して笑っている諒太が居た。

「え?諒太!」

「夏樹、同じクラスみたいだな」

 まさか、諒太と同じクラスになるとは思わなかったから少し緊張が解れた気がした。

 そう言えば諒太、式の時に居たかと尋ねると少し遅れたから後ろの席にいたそうだ。

 その話を聞いてあの時、蒼と目が合ったのは気のせいで遅れてきた諒太に気付いたんだろうと俺の中で結論付けれて、なんだかスッキリした。

 遅れてきた友達に気付くなんて蒼は凄い、俺なら緊張して頭が真っ白になってそうだなと思ったのだった。

 ふと諒太の顔を見て違和感を感じた、眉の所と鼻に見た事が無いピアスが光っていた。

「諒太もしかして、ピアス増やした?痛くない?」

 と聞いてみると一瞬だけだから夏樹にもやってやるよと言われ、痛いのは嫌なので丁寧に辞退させて頂いた。

 蒼のみならず、諒太も自分の貫きたい事に真っすぐで、今だに俺は自分のやりたい事が明確に出来てない事に少しだけ寂しくなり。

 諒太かっこいいな呟いていた

 諒太には惚れるなよと笑いながら言われたけれど……

「諒太の、事は人間としては好きだけど付き合うなら女子が良い!」

 と大きな声を出してしまった。

 諒太は、わかったわかったと笑うと、そう言えば夏樹の髪色すげぇ綺麗な色じゃんと褒められて素直に嬉しかった。

「入学式って事で昨日、蒼にやってもらったんだよ、初めは部屋でやろうと思ったけどブリーチ使うし汚れそうだから風呂でやって正解だったよ汚れないし直ぐに流せるし……」

 それを聞いた諒太は2人で風呂に入ったのかと驚いていたから、蒼は服きてたし俺もパンツはいてたと伝えた所、なんだか複雑そうな顔をしていた……気がした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺の好きな男は、幸せを運ぶ天使でした

たっこ
BL
【加筆修正済】  7話完結の短編です。  中学からの親友で、半年だけ恋人だった琢磨。  二度と合わないつもりで別れたのに、突然六年ぶりに会いに来た。 「優、迎えに来たぞ」  でも俺は、お前の手を取ることは出来ないんだ。絶対に。  

楽な片恋

藍川 東
BL
 蓮見早良(はすみ さわら)は恋をしていた。  ひとつ下の幼馴染、片桐優一朗(かたぎり ゆういちろう)に。  それは一方的で、実ることを望んでいないがゆえに、『楽な片恋』のはずだった……  早良と優一朗は、母親同士が親友ということもあり、幼馴染として育った。  ひとつ年上ということは、高校生までならばアドバンテージになる。  平々凡々な自分でも、年上の幼馴染、ということですべてに優秀な優一朗に対して兄貴ぶった優しさで接することができる。  高校三年生になった早良は、今年が最後になる『年上の幼馴染』としての立ち位置をかみしめて、その後は手の届かない存在になるであろう優一朗を、遠くから片恋していくつもりだった。  優一朗のひとことさえなければ…………

サンタからの贈り物

未瑠
BL
ずっと片思いをしていた冴木光流(さえきひかる)に想いを告げた橘唯人(たちばなゆいと)。でも、彼は出来るビジネスエリートで仕事第一。なかなか会うこともできない日々に、唯人は不安が募る。付き合って初めてのクリスマスも冴木は出張でいない。一人寂しくイブを過ごしていると、玄関チャイムが鳴る。 ※別小説のセルフリメイクです。

眠るライオン起こすことなかれ

鶴機 亀輔
BL
アンチ王道たちが痛い目(?)に合います。 ケンカ両成敗! 平凡風紀副委員長×天然生徒会補佐 前提の天然総受け

こっそりバウムクーヘンエンド小説を投稿したら相手に見つかって押し倒されてた件

神崎 ルナ
BL
バウムクーヘンエンド――片想いの相手の結婚式に招待されて引き出物のバウムクーヘンを手に失恋に浸るという、所謂アンハッピーエンド。 僕の幼なじみは天然が入ったぽんやりしたタイプでずっと目が離せなかった。 だけどその笑顔を見ていると自然と僕も口角が上がり。 子供の頃に勢いに任せて『光くん、好きっ!!』と言ってしまったのは黒歴史だが、そのすぐ後に白詰草の指輪を持って来て『うん、およめさんになってね』と来たのは反則だろう。   ぽやぽやした光のことだから、きっとよく意味が分かってなかったに違いない。 指輪も、僕の左手の中指に収めていたし。 あれから10年近く。 ずっと仲が良い幼なじみの範疇に留まる僕たちの関係は決して崩してはならない。 だけど想いを隠すのは苦しくて――。 こっそりとある小説サイトに想いを吐露してそれで何とか未練を断ち切ろうと思った。 なのにどうして――。 『ねぇ、この小説って海斗が書いたんだよね?』 えっ!?どうしてバレたっ!?というより何故この僕が押し倒されてるんだっ!?(※注 サブ垢にて公開済みの『バウムクーヘンエンド』をご覧になるとより一層楽しめるかもしれません)

だから振り向いて

黒猫鈴
BL
生徒会長×生徒会副会長 王道学園の王道転校生に惚れる生徒会長にもやもやしながら怪我の手当をする副会長主人公の話 これも移動してきた作品です。 さくっと読める話です。

平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。

しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。 基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。 一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。 それでも宜しければどうぞ。

たまにはゆっくり、歩きませんか?

隠岐 旅雨
BL
大手IT企業でシステムエンジニアとして働く榊(さかき)は、一時的に都内本社から埼玉県にある支社のプロジェクトへの応援増員として参加することになった。その最初の通勤の電車の中で、つり革につかまって半分眠った状態のままの男子高校生が倒れ込んでくるのを何とか支え抱きとめる。 よく見ると高校生は自分の出身高校の後輩であることがわかり、また翌日の同時刻にもたまたま同じ電車で遭遇したことから、日々の通勤通学をともにすることになる。 世間話をともにするくらいの仲ではあったが、徐々に互いの距離は縮まっていき、週末には映画を観に行く約束をする。が……

処理中です...