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プロローグ

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 僕の両親はαとΩの同性夫婦だ。


 はるかは父さんの番つがいらしいけど、僕からみたら、やたら仲が良い事は認めるけれど、一般的な夫婦とさほど変わらないと思う。

 まぁヒートの時の遥は辛そうではあるけど、そこは父さんにしか治める事は出来ないから、違う所と言ったら、それぐらいだと思っている。

 僕はと言えば、見た目が遥に似ているらしく美人や奇麗といった言葉は聞き慣れているから、まったく褒め言葉とは思えなかった。

 幼い頃は、身体も細く小さかった事もあり女の子に間違われる事がほとんどたった。

 それが8才を過ぎた頃に、同級生たちが次々とバース診断が出始めると、まだ僕には結果が出ていないのに、遥に似ていると言う事だけでΩっぽいと思われることが増えていった。

 それに関して否定も肯定もした事がないのにも関わらず、Ωだと思う人が日に日に増えていったが、あえて否定するのも面倒で放置した結果、Ω認定されていた。

 僕のバース性は本当はαだ。

 その事を知っているのは両親と、学校の一部の先生だけだった、もし何かが有った時に先生が知らないと困るとの事で父さんが先生に話したのだった。

 他の人には、父さんも遥も言いたければ言えば良いし楓の好きにしなさいと僕の気持ちを尊重してくれていた。

 もうすぐ高校入学、綿密に練った計画の元に僕は2つ年上の幼馴染の翠くんを追いかける為に同じ高校を内緒で受け、思惑通りに首席を回避しつつギリギリの点数で合格するミッションを達成させた。

 なるべく目立たずに、翠くんだけを愛でる高校生活を送りたいと思うのだった。


 ✽✽✽✽


 「楓!」 


 名前を呼ばれて振り返ると、中学からの腐れ縁でもあり親友のそらくんが手を振っていた。

 空くんに、おはよ~と言いながら手を振ると小走りで僕の元へと駆けてきた。

 「楓の顔立ちと体系マジでエグい、遠くからでも分かるしヤバ」

 そう言いながらコロコロと換わる空くんの表情が面白くて頬が緩んだ。


「なんだよ……その笑顔……まじでヤバいだろ!」


 顔を赤らめた空くんは両手で、顔を覆いながらヤバいとエグいを連呼していた。

 空くんは僕に対して普通に接してくれる、他の人みたいにΩなのと聞いたり、陰口を言うこともないので本当に感謝している。

「空くんだって僕から見たらヤバくてエグいよ。」

 あえて空くん風に言ってみると、凄く嬉しそうに顔を崩してマジ!?イケてる?楓に言われると上がるわ~と言いながら、にこにこしていた。

 そんな空くんを見ているだけで入学の緊張が和らぐようだった。

「そうだ楓、うちの学校に両親ともαのサラブレッドの先輩が居るらしいよ、知ってた?」

 僕は分からないと答えると空くんは、確か生徒会長がそのαみたいだよと教えてくれた。

 僕はさほど興味がなく、そうなんだ……とだけ答えると空くんは本能的にα1人でも怖いのに生粋のαとかヤバすぎると言いながら俺の腕にしがみついて居るけど、僕のことは怖くないのかな?と思ったりした。

 空くん重いよ~と腕を揺らすと、ごめんと言いながら何かに気付いた様に目を大きく開いた。


「楓!その耳のピアスなんなんだよ!いつ増やした?ガチでかっけぇ~」


 凄く褒めてくれる空くんに、そらくんもやる?と聞いたら痛そうだから遠慮すると断れた。

 見た目は、派手なのにこういう所は可愛いんだよな……と思うと全てを見せあってる空くんの彼氏が羨ましかった。


 僕だって、翠くんの好みになりたいし好きになって貰いたいし、僕だけに夢中になって貰ってドロドロに甘やかしたい。

 けれど今は翠くんを見つけることが出来るか心配になってきた。

 この門をくぐったら、入学式だ!翠くん絶対に見つけてあげるから待っててね。
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