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伝えるのは、はっきりと
しおりを挟む発情期5日目の朝。
毎夜セラフィエルに抱いてもらったことで、随分と体が楽になった。たまに頭が少しぼうっとするくらいで、日常生活に支障はなさそうだ。
セラフィエルを見送り、ガルファは身支度をし始める。今日でここを離れようと決めていた。
腹は満たされているのに、心にぽっかりと穴が空いている。
セラフィエルへの恋慕を自覚したガルファは、最初に言われていた「お互いに精を与え、もらうだけの関係」を続けられそうになかった。セラフィエルの心までもが欲しいと我儘になってしまった。でも向こうにそんな気持ちはないのだ。
セラフィエルに抱かれると、蕩けそうなほど幸せなのに、たまに全てを投げ出したくなるほどの虚しさに襲われる。
ガルファは一瞬躊躇った後、一着のセラフィエルの服を手に取った。一着だけなら、貰っていっても許されるだろうか。すん、と匂いを嗅ぎ、それを抱きしめる。
部屋を一度見まわしてから、ガルファは元の住処に飛び立った。帰り際、ディランのところに寄って擬似精液を分けてもらう。休眠するかもしれないと伝えたら珍しく焦っていたのが可笑しい。また目を覚ますことができたら、その時は揶揄ってやろうとガルファは笑った。
その日から、ガルファはセラフィエルの住処に行かなくなった。腹が減ると人間の精液を口に入れようとしては吐き出し、擬似精液を無理矢理飲み込むことになった。勇気を出して天使に声をかけようとしても、姿を見て逃げられるか罵られるかのどちらかで、当然、ガルファは弱っていく。
たったの1週間で、擬似精液は最後の一瓶だけとなった。もうディランのところまで飛ぶ力もない。ガルファはセラフィエルの服を抱きしめ、体を丸めた。彼の香りは消えてしまったのに手放すことができない。今頃セラフィエルはどうしているだろうか。あれからまだ1週間だし、ガルファが来ないことも気にしていないか。面倒な餌やりがなくなって喜んでいるかもしれない。
「セラフィエル、会いたい・・・」
ガルファはそのまま休眠状態に入った。
「・・・いない」
発情期5日目の夜、セラフィエルが住処に帰るとそこにガルファの姿はなかった。寝所も綺麗に片付いている。もう帰ったのかと、セラフィエルが静かに椅子に座った。
久しぶりに訪れる、住処での1人の時間。前までこの時間が一番好きだったはずなのに。セラフィエルは何をするでもなく、落ち着かなさげに手を組んでは離してを繰り返した。
3日も経てば精をもらいにやってくるだろうと思っていた。しかし何日経ってもやってこない。
大丈夫なのだろうか。生きているだろうか。人間の精はもう受け付けないと言っていた。もしかして他の天使にもらっているのか。もう自分は用無しなのか。本当に自分はただの餌だったのか。
「ガルファ」
呟いた声は自分で思った以上に切ない響きをしていた。
もう誤魔化せなかった。あの悪魔に会って、キスをして、抱きしめたかった。
「ガルファという者はどこにいる」
ガルファが魔界に戻って10日後。その日の魔界は大騒ぎだった。何と言っても悪魔嫌いで有名な大天使セラフィエルが天から舞い降りたからである。1人の悪魔を探していることは瞬く間に知れ渡った。
「おいおい、あの話、マジだったのかよ」
ディランも魔界に立つ大天使を見て唖然としていた。周りを見回すセラフィエルに向け、一歩前に出る。
「ガルファは眠ってますよ」
「誰だ」
「ディランと言います。ガルファの、まぁ、育ての親みたいなもんです」
「ガルファはどこにいる」
無表情のままセラフィエルに距離を詰められ、ディランが思わず後退る。怖気付いたのを誤魔化すように1つ咳払いをして、ついてきてください、と翼を広げた。
「ガルファは大抵このあたりにいます。あ、あそこかな」
「ガルファ!」
大きめの魔界樹の中の空洞に、ガルファがセラフィエルの服を被り身を丸めて眠っていた。覗き込むと、すうすうと小さく呼吸をしている。揺り起こそうとするセラフィエルを、ディランが止めた。
「今起こすと死んじゃうかもしれません」
「何?!」
「休眠ってつまり、これ以上エネルギーが失われないように仮死状態になってるんですよ。見た感じ相当消耗してるし、起こしたらそのまま餓死するか、誰彼構わず襲って精液を搾ろうとするか、まぁあんまりいいことは起きません」
「じゃあどうすればいいんだ」
「そこに俺が作った擬似精液、栄養剤みたいなもんが残ってるんで、それをゆっくり飲ませてみるとかですかね。で、起きたらあんたがたらふく精液をあげれば大丈夫です、多分」
その言葉にセラフィエルが擬似精液の瓶を持ち、一回り小さくなったガルファを抱き上げる。そのまま飛び立とうとする彼に、ディランが口を開いた。
「あんたの気まぐれで、そいつは人間の精液を体が受け付けなくなったんです。ペットにすんなら、最後までちゃんと責任を持ってくださ」
「・・・じゃない」
「は?」
「ペットじゃない!!!」
セラフィエルが叫び、周りの空気がビリビリと震えた。思わずディランの腰が抜ける。その叫びからあふれ出る切なさややるせなさに、ディランは、眉一つ動かさないなんて嘘だったんだなと、場違いなことを考えながら、飛び立つセラフィエルの背中を見つめた。
口を塞がれ、美味しくないものを流し込まれる。飲み込みたくなくて必死に舌を動かして抵抗するのに、舌が絡め取られ、鼻を摘まれる。息ができなくなって仕方なく飲み込むと、褒めるかのように歯列をなぞられた。なんだか少し嬉しくなって、また流し込まれるものを飲み込む。そうしているうちにだんだんと意識が浮上し、ぼやけた視界に見覚えのある美しい瞳が見えた。
「・・・ぃ、・・・ぅ」
セラフィエルの名を呼びたかったのに声が出ない。パクパクと口を開くと、舌を差し込まれ、くちゅくちゅと口腔内を舐めまわされた。唾液を流し込まれると懐かしい痺れるような刺激を感じる。美味しい。さっきまでのとは大違いだ。ガルファは送られる唾液を飲み込み、必死で舌を動かしてねだった。
強く抱きしめられ、セラフィエルの香りに包まれる。「ガルファ」と耳元で呼ばれ、痩けた頬に涙が一筋だけ流れた。夢を見ているんだ。セラフィエルに抱きしめられ、キスされ、名前を呼ばれるなんて、なんて幸せな夢だろう。このまま死んでしまってもいい。
体をうつ伏せにされ、尻を開かれて後孔を舐められる。インキュバスの本能か、すぐに愛液が滲み出て潤ったのを感じた。ねだるように少しだけ腰を動かすと、すぐに圧倒的な熱を与えられた。
「ーーー・・・っ」
感電したように体が跳ねる。息もできない。そのままゴリゴリと中を擦られ、歓喜に下肢が痺れた。ガルファの陰茎が何かを堪えるように震える。
(おしっこ、漏れる、やばい・・・っ)
我慢できずにしょろ、とそれがあふれ出た。まるで犬の嬉ションみたいだと恥ずかしさに身を捩る。腰を押さえられて奥を突き上げられ、頭が真っ白になった。後孔は勝手に蠢き、必死になって精液を搾ろうとしている。
「出す、から、ちゃんと飲んでくれ」
泣きそうな声が後ろから聞こえ、そのまま勢いよく後孔に精液を注がれた。雷が落ちたかと思うほどの電撃が結腸を襲う。全身に激しく血が巡り、湯だったように体が熱くなった。
「は、は、は、セラ、フィ・・・ッ」
「ガルファ!」
魔力に酔ったのか視界が回る。後ろから顔を上げさせられ、そのままキスされた。まだ夢を見ているのか。
腹の奥にビリビリとした快感を感じ、突然意識が覚醒する。
「あ、何、ああああッ!!」
うつ伏せになっているガルファを、誰かが組み敷いている。後孔はぐちゃぐちゃにかき混ぜられ、快感で蕩けていた。以前アザリエルに組み敷かれたことを思い出し、パニックになったガルファが逃れようともがく。
「や、や!助けて、セラフィエル!嫌だ!セラフィエルのしか、嫌ああああ!!」
「落ち、着け」
「抜いて、抜いてくれ!セラフィエル、助けてッ!!あああああ!!!」
「ぐ、ぅっ」
最奥に精液を注がれ、パチパチと弾けるその刺激にガルファが絶頂に押し上げられた。呆然とし、涙があふれる。
「誰と間違えている、よく見ろ」
「あ、ああ、嘘、大、天使、さま・・・」
振り向くと、そこにはガルファが求めてやまなかったセラフィエルの姿があった。後孔が激しく収縮し、腰が引き攣る。
「はぁんー・・・ッ!」
セラフィエルの姿を見つめながら、陰茎から一筋の精液を漏らした。セラフィエルが腰を軽く揺すると、そのまま何度も甘く達する。
セラフィエルが陰茎を抜いてガルファを抱き起こし、仰向けにする。膝を折り曲げさせ、もう一度後孔に挿入すると、ガルファの首元に顔を埋めながらすぐに腰を振り始めた。
「ガルファ、ガルファ、あぁっ」
こんなに顔を近づけてセックスしたことなどない。切なげに名を呼ばれながら首元や頬にキスされて、ガルファの顔が真っ赤に染まった。セラフィエルの口元から目が離せなくなる。
「あ、あ、大天使様っ」
「セラフィエルと、呼べ」
「っ!セラフィエル、セラフィエルっ!あああ!」
「ガルファ、っ」
薄く開いたガルファの口に、セラフィエルが吸い付いた。夢にまで見たことだ。ガルファの興奮が極まり、後孔を痙攣させながら仰け反る。陰茎は萎え、完全に後孔だけで達していた。
食い締まる蜜壺を掻き分けながら、セラフィエルが腰を振る。射精欲を堪えながら奥を捏ねると、度重なる絶頂で結腸口が痙攣し、セラフィエルのカリのくびれが強く扱かれた。
「ぐ・・・っ」
息を詰めながら亀頭を結腸にゆっくり出し入れすると、ガルファから唸り声が漏れた。セラフィエルの下で腹筋が波打っている。セラフィエルは自分が犯しているであろう場所に手を当て、その腹をぐっと押した。
「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!イ゙ぐ、イ゙ぐ、セラフ、あ゙あ゙あ゙ッ!!」
「ガルファ、で、る、んんっ」
痙攣している体を抱きしめながら激しくキスをし、最奥で射精する。精液を注ぐたびに亀頭を吸い上げられ、セラフィエルが甘く呻いた。
体を起こし陰茎を引き抜こうとすると、離さないというように中のひだが絡みついてきた。射精直後の刺激にセラフィエルが腰を震わせる。
ガルファがセラフィエルの首に手を回し、唇を合わせてくる。とろけた表情で唇を舐められ、セラフィエルがガルファの中でまた大きくなる。中のうねりを味わうように、ゆったりと腰を振った。
合わせていた唇を離し、ガルファが耐えられないというように喘ぎ声を上げる。間近で快感に歪む顔を見ながら、とちゅ、とちゅ、とゆっくり陰茎を押し込んだ。見られていると気づいたガルファが顔を背けようとするのを、手で押さえる。
「は、んん、はずい、から、っ、見んな、ぁ!」
「だめだ。もっと見せろ」
とちゅ、とちゅ、とちゅ。
「んん!あ、むり、や、や、俺、イきそ、イきそ、奥、ゆっくり、イッく、あああッん゙ん゙!!」
ガルファの視界には、快感に眉根を寄せるセラフィエルの顔がいっぱいになっている。熱くガルファを見つめながら腰を振り、たまらそうに息を荒げるその姿に、ガルファが涙をこぼしながら達した。
「んんーー・・・ッ!」
ぐん、と背筋を伸ばしてガルファが硬直する。指先から小さな痙攣が始まり、全身に広がっていく。セラフィエルがゆっくりと腰を振り続ける。ガルファの頭が真っ白になり、腰が狂ったように突き上げられた。
「あ゙あ゙あ゙!!!あ゙あ゙あ゙!!!」
「はぁっ、ガルファ」
セラフィエルが我慢できなくなったのか、ガルファを強く抱きしめ、射精に向かってガツガツと結腸を抉り始める。
「は、は、ガルファ!」
「セラフ、あああッ!俺、俺、っ、あ゙あ゙ッ!!」
セラフィエルは涙をあふれさせるガルファの耳元で「好きだ」と呟いて、そのまま最奥で射精した。最後の一滴までガルファに飲ませるように、ぐ、ぐ、と陰茎を押し込み、深く息を吐いた。
肉ひだの吸い付きに逆らい、ゆっくりと陰茎を引き抜く。全身を細かく痙攣させるガルファを抱きしめ、頭を撫でながら口付けを落とした。
ガルファが呆然とセラフィエルを見つめた。
「セラ・・・大天使様」
「セラフでいい」
ガルファが目を見開いたまま何度も口の中でセラフ、セラフ、と反芻している。その口を唇で塞ぐと、ガルファの顔が瞬く間に赤くなった。
「可愛いな」
「あ・・・え・・・?」
セラフィエルがくすりと笑うと、ガルファが手で口を押さえてプルプルと震え始める。
「セラフ、セラフ、だよな?ええ?何、これ、夢?・・・痛い」
自分で自分の頬を抓り、現実だと認識したようだ。セラフィエルが赤くなった頬をぺろりと舐める。そのままちゅくちゅくと首元から肌に吸い付き始めた。
「ええ?!何、どうなってんだ?!無理無理、俺の脳のキャパを超えてる!別人になってる!」
「ん、ガル、私の名前を呼べ」
「せ、セラフ?」
「ん、心地いい」
セラフィエルはすっかりガルファに甘えているようだ。胸元に吸い付かれ、ガルファがくすぐったいと身を捩る。
「はぁ、ガル、生きている、よかった」
とくとくと響く心音に耳を傾けるセラフィエルを見て、ガルファがハッと思い出した。ここを出てから飢え死にしかけていたことを。
「またセラフに助けられたんだな、ありがとう」
「もうここを出て行かないでくれ。生きた心地がしなかった」
「う、ん」
「はぁ、ガル、好きだ」
「~~~~っ!!待って、だから何なんだそのキャラ!!恥ずかしい!!」
顔を真っ赤にして暴れるガルファをきつく抱きしめ、セラフィエルが頬を擦り寄せる。
「お前がいなくなって、毎日、今日は来ているかもと、寝所を確かめては落胆する毎日だった。寂しいとは、こういう感情だったんだな」
「ん、ん、やめ」
「お前は人間の精を受け付けないと言っていたし、他の天使にもらっているかと思うと腑が煮えくり返りそうだった」
「ひっ!」
「アザリエルに命じてお前の居場所を辿らせたら、魔界にいるということだけはわかったんだ。だから直接迎えに行った」
「え?魔界に行ったのか!皆驚いただろうな」
「ああ、驚いていた。そこでディランに会い、お前のところに案内してもらった」
ぎゅう、と痛いほど抱きしめられる。セラフィエルを見ると少し涙ぐんでいるように見えた。
「お前は、俺の服を被って、痩せ細って、もう目を覚まさないかと」
「・・・うん」
「なぜ、来なかったんだ。あんなになってまで、なぜ、そんなに私が」
「俺、セラフのことを好きになっちゃって」
涙をこぼしそうなセラフィエルに、ガルファが口を開いた。セラフィエルの美しい髪に指を通し、耳元にキスをする。
「餌やりとしてのセックスは、辛かったんだ」
「餌やりなんて、私は」
「最初に言ってただろ。俺たちは餌を与え、もらうだけの関係だって。発情期の終わり頃もそんな感じだった」
「あの時は、お前が、アザリエルに欲情するから、誰でもいいのかと腹が立って」
「ん?あいつになんか欲情したことねえけど。むしろ発情期なのに入れて欲しくなかった、気持ち悪くて。尻尾触られんのも嫌だったけど、入れられるよりはマシかと思ってしょうがなくやっただけだ」
「そう、なのか?」
「うん。発情期の間、俺がムラムラしたのはセラフにだけ」
「ガルファ!」
暖かく抱きしめられ、顔面中にキスをされる。自分が寝ている間に、セラフィエルは随分甘えん坊になってしまったらしい。大天使の可愛らしい一面に、ガルファは少しむずむずする。
「俺も好きだ、セラフィエル。毎日名前を呼んでほしい。セラフと一緒にいたい」
「ああ、ガルファ、好きだ。もう二度と離れないでくれ」
「うん」
「ガル、もう一度したい、っ、入れていいか」
硬くなった陰茎の先を後孔に当てられ、ガルファが頷くとそれは蜜壺にみっちりと沈んだ。セラフィエルが腰を揺すりながらガルファの頬を撫で、耳元で好きだと囁いてはキスを繰り返す。ガルファはあまりの多幸感に陰茎から精液なのか潮なのかもわからない液体を吹き出し続けることになった。
「ガル、好きだ、好き、だ」
「はぁぁん、もう、言うなぁ、っんん!」
「ん、ガル、嫌ではないんだろう。ここからまた漏れている」
セラフィエルがガルファの陰茎の先端を開き、指で優しく抉る。また新しい液体が噴き出し、ガルファが仰け反った。
唐突に尻尾を掴まれ、筒にできるか、と囁かれる。何も考えられないまま尻尾をオナホール状にすると、それをゆっくりと陰茎に被せられた。
「ゔーーー!!!あ゙あ゙あ゙あ゙!!!」
「ガル、っ、気持ちいいか」
「は、は、は、もう、無理、イ゙、ぐッ!」
腰をガクガクと上下させ、ガルファが尻尾の中に射精すると、それを追うようにセラフィエルが後孔に精液を注いだ。
力を抜いた2人は、顔を寄せ合い唇を合わせる。ガルファは注がれる唾液をコクコクと飲み下した。
「ん、んん?!セラフ?!もう俺お腹いっぱいで!」
「ガル、これは餌やりではないと、言っただろう、っく、はあっ、もう一度・・・」
「や、や、もうだめ、もう抜いて、あああああ!!!」
この日、欲求不満が爆発したセラフィエルに、ガルファの方が音を上げることになった。翌日、酷い二日酔いに苦しんだことは言うまでもない。
かくして気持ちは繋がった。
これから2人の静かな蜜月が始まる。
かと思われた。
「なあなあ、ガルって猫魔獣の血入ってんのに猫耳じゃねえのな?尻尾も猫じゃねえし」
「ひっ!触んな!耳も尻尾もインキュバスの方なんだって!」
「じゃあちんこは?」
「やめろー!!!」
セラフィエルが不在の時、たまにアザリエルがやってきてくるようになった。
「おい、アナル見せてみろって。まーた加護かけられてんのか?」
「お前ほんと、早く捕まれ!」
「触んねーから、ほらほら」
「やめ、うわあ!脱がすなバカ!死ね!」
ズボンを下ろされ尻を広げられる。そこに触れられそうになったところで、バチンと音が鳴った。
「ひー、やべえ!全然手前で弾かれた!」
「とにかく尻から手を離せ。そして説明しろ!」
そこでアザリエルから聞かされた真実に、ガルファの顔が湯だったように赤くなる。
ガルファの後孔には、ガルファ自身とセラフィエルだけが触れることができ、触れればセラフィエルに知らされるような呪がかけられているらしい。つまり、先ほどのアザリエルのように触ると弾かれ、セラフィエルがそれに気付くのだそうだ。驚くことに発情期の時からそれはあったらしいが、なにより、これは自分で触れたとしてもセラフィエルにバレるらしい。
(じゃああの時尻尾で触ってたのも、昨日ムラムラして指を入れたのも、バレてんのかよ!)
ベッドで三角座りになり、顔を隠したガルファにアザリエルが笑う。
「本人に自覚はなかったかもしんねえけど、あいつあの時からお前に独占欲あったんだな!」
「・・・うるせえ」
「なあ、お前、たまに可愛く見えんのは何で?今なら勃ちそうだけど、ヤッてみる?」
「ヤるわけねーだろ!」
「えー、俺テクニシャンなんだけどなあ」
落ち込んだフリを肩をすくめたアザリエルがパッと立ち上がる。
「そんなことより、お前今日死ぬかもね。謝っとくわ、スマン!」
「何だよ、不吉なこと言うな!」
「だってお前、さっき俺にアナル触らせたじゃん。セラフィエルは加護でそれ知ってるわけじゃん。・・・お互い長生きできるようにがんばろうぜ!」
じゃ、と手を上げたアザリエルの体が宙に浮いた。
「あ」
「お前はここで死ね」
セラフィエルがアザリエルの首根っこを掴んで持ち上げている。とても見たことのある光景だ。
「ガルはここで待っていろ。後でゆっくり話をしような」
「・・・は、はい」
しばらくして外から何かが爆発するような音が何度も聞こえてくるが、耳を塞いでおく。
音が鳴り止むと、返り血に濡れたセラフィエルが戻ってきて、開口一番「消毒しようか」と微笑んだ。いつの間にかすっかり表情豊かになっている。
ガルファはその日、1時間くらい後孔を舐められ、ぐずぐずに溶けた中を夜通し揺すられ続けた。「絶対誰にも触らせません!自分でも触りません!」と宣誓もさせられた。命は取り留めたが、別のところで深いダメージを負ったのである。
そうして2人の静かな、時々賑やかになった蜜月は続く。ガルファが空腹に困ることはもうない。
「もう無理!腹いっぱいなんだってー!!!」
終わり。
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