55 / 89
三日目(その三十二)
しおりを挟む環はしばらくの間ユリの中を味わうと、そのまま体位を変えずに発射をした。
ふざけていてもユリの体を心配し、負担を与えたくなかった。
それに、もう十分ユリとつながれた。
そして、これからはずっと一緒だ。
そう考えていた。
錬も同じだった。
今日はユリに、だいぶ無理をさせてしまった。
でも、いろいろ話もできたし、ユリの心のうちも聞けた気がする。
ーー最初はただの好奇心だった。
おばさん刑事? 刑事なの?
この人が? マジか。ちっちぇー。
なんか一所懸命で、可愛いな、この人。
まだ離れたくねー。
結婚とか、してねーみたいだな。
無理やり連れてきちまった。
やっべー、刑事相手に。俺、犯罪者?
リアクションがいちいち可愛い。
一緒にいると、すげー楽しい。
この人、ほんと、刑事なんだ。あんなあぶねーマネして……
心がつえーんだな……でもすぐ、不安そうな顔するし。
泣き虫なのも、わかった。
守って……やりてーな。
ユリのことが、好きだ。
会ったばかりでも関係ない。
年齢も気にしない。
これから、ずっと一緒だ。
* * * * * *
ーー錬も環くんも、よく眠ってる。
あれから三人で、ベッドに横になり眠った。
違うな。ふたりはすぐに眠った。
私はーー眠れなかった。
眠らないようにしていたのか。
どちらでもいい。
私は、覚悟を、決めていた。
ふたりを好きだと、自分の気持ちを認めてから。
それを、ふたりに伝えてから。
そして、ふたりが、私を好きだと言ってくれてから。
その気持ちが、本物だと感じてから。
付き合う覚悟は、できない。
だから、別れる覚悟を、決めた。
付き合うなんて、無理だ。
誰がどう考えても、わかる。あり得ない。
だから、一度だけ、抱かれたかった。
錬に。
環くんに。
抱きしめたかった。
錬を。
環くんを。
こんなの傲慢だ。わかってる。
でも、そうしたかった。
まるで思い出づくり? はは。
それでもーー
さよなら、錬。
さよなら、環くん。
出会えてよかった。
ありがとう。
大好き。
さよなら。
* 三日目 終わり *
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
悪役令嬢は王太子の妻~毎日溺愛と狂愛の狭間で~
一ノ瀬 彩音
恋愛
悪役令嬢は王太子の妻になると毎日溺愛と狂愛を捧げられ、
快楽漬けの日々を過ごすことになる!
そしてその快感が忘れられなくなった彼女は自ら夫を求めるようになり……!?
※この物語はフィクションです。
R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。
絶倫彼は私を離さない~あぁ、私は貴方の虜で快楽に堕ちる~
一ノ瀬 彩音
恋愛
私の彼氏は絶倫で、毎日愛されていく私は、すっかり彼の虜になってしまうのですが
そんな彼が大好きなのです。
今日も可愛がられている私は、意地悪な彼氏に愛され続けていき、
次第に染め上げられてしまうのですが……!?
※この物語はフィクションです。
R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。
王女、騎士と結婚させられイかされまくる
ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。
性描写激しめですが、甘々の溺愛です。
※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる