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第94話 岩手県① 龍泉洞、冷麺、じゃじゃ麺
しおりを挟む「おお、ここは鍾乳洞じゃな。何度か見てきたやつじゃろ?」
「うん、高知の龍河洞、山口の秋芳洞、ここ岩手の龍泉洞で日本三大鍾乳洞だよ」
北海道を出て本州へと戻り、岩手県へとやってきた。
そしてここ龍泉洞は三大鍾乳洞の最期のひとつだ。
「ここは龍泉洞と龍泉新洞に分かれているよ。龍泉新洞は元々龍泉洞と一続きだった可能性が高くて、今では科学館として公開されているらしいね」
どちらも同じチケットで入ることができる。そしてこの近くのお土産屋さんではお土産のクーポンが付いた入場券がお買い得に購入できる。なんでもお土産屋さんが団体200名の割引入場券を購入して、それにクーポン券を付けているらしい。
……お店も賢いよね。観光地の入場券なんかはこうしてちょっとお得な現地の割引なんかもあったりするから、事前に調べてみるのもいいかもしれないぞ。
「おお、これは美しいのじゃ!」
「ええ、綺麗にライトアップされておりますね」
この龍泉洞では他の鍾乳洞とは異なって、鍾乳石がカラフルなスポットライトでライトアップされている。こうした鍾乳洞も中々見ごたえのあるものである。
亀岩、地蔵岩、守り獅子など、長い年月が積み重なって不思議な形の鍾乳石へと変わっていくのはとても神秘的だよね。鍾乳洞特有のこういった雰囲気はここでしか味わえないものだからな。
「お、おお……これは深いのじゃな……」
「水深が100メートル近くあるというのに最深部まで見えるほど綺麗な水なのですね」
「この龍泉洞の地底湖の中でも第三地底湖は特にすごいよね」
龍泉洞の全容は5キロメートルにまで達すると言われており、安全に観光ができる1.2キロメートルの範囲内でも3つの地底湖がある。
この地底湖は世界的にも屈指の透明度を誇っており、ドラゴンブルーと呼ばれるほど湖が青く見えるのは透明度が高いのと水深が深いからそう見えるそうだ。
地底湖の中でライトアップされた光によって深い湖の底まで見える光景はとても神秘的で美しい。
龍泉新洞の方は洞窟内をそのまま使った自然洞窟科学館で、洞窟内に様々な解説が書いてあったり、この洞窟で縄文時代に生活をしていた原始人の生活様式や洞窟から出土した動物の骨や土器なんかも展示してあるそうだ。
確かに原始人からしたら、中がとても広くて雨風を防げつつ、綺麗な地底湖の水を飲めるこの洞窟は生活をするには最適な場所なのかもしれないな。
「ほう、冷たくて麺もツルツルでモチモチしておって、ラーメンとはまったく違うのじゃな!」
「じゃじゃ麺という料理は初めて食べましたが、こちらも面白い食感をしておりますね」
「岩手県は冷麺、じゃじゃ麺、わんこそばの盛岡三大麺が有名なんだ。わんこそばは夜に食べるから、お昼は冷麺とじゃじゃ麺だね」
岩手県の盛岡では三大麺が有名だ。
盛岡冷麺は昭和29年に焼き肉店を開店した際、朝鮮半島に伝わる冷麺を日本人の口に合うように捜索したのが始まりだとされている。
盛岡冷麺の麺は腰が強くて表面がツルっとのど越しが良いのが特徴だ。牛コツに鶏ガラを加えて出汁をとるスープはさっぱりとしつつもコクや旨みがたっぷりとつまったスープで、スープを冷やすことによって、より麺のコシを味わうことができる。
「キムチの酸味と冷たいスープが良く合っていて美味しいですね。それにスイカが入っていることには驚きました」
「ほう、この赤い果物はスイカというのじゃな。甘くてとても美味しいのじゃ!」
「本場の盛岡冷麵のお店にはスイカが入っているお店が多いんだよね。それと盛岡の方だと、冷麺が有名なお店は焼肉屋さんが多いけれど、冷麺だけを食べに来るのも大丈夫なんだよ」
盛岡の冷麺にはスイカが入っていることが多い。コクのある出汁とキムチの酸味と辛さの合間に甘いスイカを食べるとそのどちらの味も強調されてより美味いんだよね。
冷麺というと焼き肉のお供というイメージが強いかもしれないが、ここ盛岡ではメインの料理だ。そのため、焼肉屋さんに入って焼き肉を食べずに冷麺だけを食べに入るのも許されるようだ。
「じゃじゃ麺は少しだけ残しておいて、そこに生卵を入れて混ぜて、ちーたんあるいはちいたんたんをかけて〆の卵スープにするんだよ」
「肉みそがとても美味しいですね。麺はどちらかというとうどんに近い感じでしょうか」
「最後に卵スープへ変わるとは面白いのじゃ」
じゃじゃ麺は中国の炸醤麺(ジャージアンミエン)を元に盛岡の人たちの舌にあうとうにアレンジをくりかえすうちにじゃじゃ麺の原型ができたらしい。
肉味噌にキュウリとネギを乗せ、好みでラー油や生姜やニンニクを掛けて食べる。自分の一番の好みが分かるまでに3回くらい通うのがお薦めらしいな。
そして最後はチータンと呼ばれるじゃじゃ麺を茹でたゆで汁を加えて卵を混ぜた卵スープを〆に食べるのがじゃじゃ麺の正式な食べ方である。やはりこういったその土地独自の料理を現地で食べるのは良いものである。
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