58 / 112
第58話 沖縄県② 首里城、美ら海水族館、沖縄料理
しおりを挟む「美しい赤色の城じゃが、今までに見てきた城とは少し違う感じなのじゃな」
「もともと沖縄県は琉球王国と呼ばれておりました。その頃に建てられた首里城には当時の国王やその家族が住んでおりましたが、中国と日本両方の特徴が取り入れられた独自の建築様式が築かれておりますね」
「通ってきた守礼門も同じように朱色で他のお城とは全然違うのが面白いよね」
昼食を食べてやってきたのは首里城だ。首里城は琉球王国のグスクおよび関連遺産として世界遺産にも登録されている。正確に言うと首里城は戦争で焼け落ちてしまって復元をしているので、登録されているのは首里城の跡地なんだけれどな。
「中では当時の資料なんかも見ることができるよ」
展示コーナーでは当時の王冠や当時食べていた食事の再現などが展示されていた。王冠なんかをみると、当時の琉球王国は日本ではなかったんだなあと思ってしまう。
こういった昔から引き継がれている伝統的な文化を残して引き継いでいくことはとても大事なのである。
「な、なんじゃこれは! 大きな水槽の中にたくさんの魚がおるぞ!?」
「ここは水族館といって、海に生息する生き物を安全に見て回れる場所だよ」
続いてやってきたのは美ら海水族館だ。ここは那覇とはかなり離れているのだが、ミルネさんの魔法を使えば一瞬で来られたので本当に助かる。沖縄に電車はなく、モノレールと車での移動が基本となるので、本島を回るのには基本的に車が必須となる。
そういえばサファリパークに行ったことはあったが、水族館は初めてきたことになるのか。確かに、水の中で生活している魚などのを眺めることができる水族館ってよく考えるとすごいことだよな。
「沖縄付近でしか見ることができない魚なんかも多くいるからね。それにサンゴや熱帯魚も見られるんだよ。そしてなんといっても、この世界最大規模のアクリルパネルから巨大なジンベイザメやマンタを大迫力で見られるのが最大の特徴だね」
美ら海水族館ではさまざまな魚を見て回れるのだが、その中でも一際巨大な水槽の中で悠々と泳いでいるジンベイザメたちの姿がとても魅力的だ。しかもこの水槽は上からも見ることができるのである。美ら海水族館といえば、このジンベイザメを見るために那覇から遠くまでやってくるイメージだな。
「おお、器用に泳いでいるのじゃな」
「ここでは毎日エサをやる時間が決まっております。こうやってエサの時間になるとジンベイザメたちがエサを食べる姿を一目に見るため大勢のお客さんがやってくるのです。自分たちがエサを食べる光景が観光客を呼び込むエサになっていることなど、彼らはまったく気付いていないのでしょうね」
「いや、誰が面白いことを言えと……」
喜屋武さんも地元に帰ってきて変なテンションになっているのかもしれない。俺も生まれ育った地元を案内するときはいつもより熱が入る気もする。島は違えど同じ県ということで、いろいろと説明をしてくれるのはとてもありがたいんだけどね。
ジンベイザメのエサをやる時間は決まっているので、もしここを訪れるのなら、しっかりと時間を確認してから訪れることをお勧めするぞ。
「あれだけ大きな魚が泳ぎながらエサを食べている姿はとても見ごたえがあるのじゃ。妾たちの世界にもこういったものがあってもいいかもしれんのう」
大きな身体をしていながらエサをねだって身体を縦にしている姿も可愛らしいものである。
……異世界だととんでもないモンスターもいるだろうからな。動物園や水族館を作るのなら十分に注意してもらわないといけない。
「ほお~これまたいろいろな料理がならんでおるのう! どれもとてもおいしそうじゃ!」
明日は本当以外の島をいくつか回る予定のため、今日の観光は少し早めに切り上げて、様々な沖縄料理を出してくれる店にやってきた。
昼間は定番のチャンプルー定食を食べたが、晩ご飯は沖縄料理をたくさん頼んで少しずつ食べる。ただでさえ沖縄料理は種類が多いから、ひとつずつ店で食べるのは難しいからな。
「まずは沖縄の定番の沖縄そばだよ。そばといっているけれど、そば粉は使わず小麦粉にかん水を加えた平麺で豚骨やカツオ節からとった濃厚なスープが特徴なんだ。そして豚のスペアリブであるソーキが入っているからソーキそばとも言われているね」
小麦粉にかん水を加えているのでラーメンに近い感覚だな。具材は紅ショウガや薄く切ったカマボコといったものが基本となるようだ。
「こちらはニンジンシリシリです。シリシリとは沖縄の方言ですりおろすという意味で、細く千切りにしたニンジンを卵とコンビーフと一緒に炒めた料理となります。シンプルな沖縄の家庭料理ですが、意外とあとを引く味です」
このニンジンシリシリも素朴だけれどおいしいんだよねえ。
「こっちのラフテーは豚のバラ肉をじっくりと煮込んだ料理だね。ふつうの角煮と違って泡盛を使って煮込んでいるんだよ」
トロトロに柔らかく煮込まれた豚バラ肉は口の中で優しく溶けていく。テビチもおいしいんだけれど、あの豚の足がドンッという見た目がね……
他にもプチプチとした食感が味わえる海ブドウ、独特の香りがするジーマーミ豆腐、慣れるとクセになるらしい島豆腐を麹と泡盛で発酵させた豆腐よう、かなり独特な臭みのある山羊汁などもご愛敬だな。
沖縄県は本当に独特な料理が多い。他にも島それぞれに特徴もあったりするから、明日からが楽しみだな。
10
お気に入りに追加
237
あなたにおすすめの小説
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
妹の物を盗んだということで家を追い出された。その後、妹のでっちあげだったことが発覚し・・・?!
ほったげな
恋愛
身に覚えがないのに、妹のジュエリーボックスを盗んだということ家を追い出された。その後、妹のでっちあげだったことが発覚。しかも、妹は子爵令息と婚約しており・・・??!
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
美しい姉と痩せこけた妹
サイコちゃん
ファンタジー
若き公爵は虐待を受けた姉妹を引き取ることにした。やがて訪れたのは美しい姉と痩せこけた妹だった。姉が夢中でケーキを食べる中、妹はそれがケーキだと分からない。姉がドレスのプレゼントに喜ぶ中、妹はそれがドレスだと分からない。公爵はあまりに差のある姉妹に疑念を抱いた――
婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな
カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界
魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた
「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね?
それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」
小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く
塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう
一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが……
◇◇◇
親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります
(『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です)
◇◇◇
ようやく一区切りへの目処がついてきました
拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです
私の妹と結婚するから婚約破棄する? 私、弟しかいませんけど…
京月
恋愛
私の婚約者は婚約記念日に突然告白した。
「俺、君の妹のルーと結婚したい。だから婚約破棄してくれ」
「…わかった、婚約破棄するわ。だけどこれだけは言わせて……私、弟しかいないよ」
「え?」
幼馴染み達が寝取られたが,別にどうでもいい。
みっちゃん
ファンタジー
私達は勇者様と結婚するわ!
そう言われたのが1年後に再会した幼馴染みと義姉と義妹だった。
「.....そうか,じゃあ婚約破棄は俺から両親達にいってくるよ。」
そう言って俺は彼女達と別れた。
しかし彼女達は知らない自分達が魅了にかかっていることを、主人公がそれに気づいていることも,そして,最初っから主人公は自分達をあまり好いていないことも。
家出した伯爵令嬢【完結済】
弓立歩
恋愛
薬学に長けた家に生まれた伯爵令嬢のカノン。病弱だった第2王子との7年の婚約の結果は何と婚約破棄だった!これまでの尽力に対して、実家も含めあまりにもつらい仕打ちにとうとうカノンは家を出る決意をする。
番外編において暴力的なシーン等もありますので一応R15が付いています
6/21完結。今後の更新は予定しておりません。また、本編は60000字と少しで柔らかい表現で出来ております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる