15 / 112
第15話 三重県① 鈴鹿サーキット
しおりを挟む「うむ、今日も楽しかったし、食事も美味しかったのじゃ! また明日も頼むぞ、タケミツ!」
「こちらこそ明日もよろしくね。あと今日の愛知県のお土産のういろうとゆかりだよ。いつも通り少ないけれど食べてみてね」
「おお、いつもすまのう! 昨日のうなぎパイとやらもうまかったのじゃ!」
「喜んでくれたならよかったよ。それじゃあまた明日ね」
「また明日なのじゃ!」
味噌カツを食べ終わったあとは、今日泊まる宿にやってきた。そしていつも通り、その県の有名なお土産をミルネさんに渡した。
ミルネさんは宿で俺と別れたあとは、自室でその出来事をまとめている。写真とかも撮っているから、そのデータをまとめたりしているようだ。その間に俺や喜屋武さんは明日の準備をしているというわけだ。
そんな作業の合間のお供に、その日に買ってきたその都道府県の有名なお土産を少しだけ渡している。……量を少しにしているのは、食べすぎると太ってしまいそうだからである。ミルネさんが異世界に戻って太っていたからといって責任は取れないからな!
ちなみに今日は愛知県のお土産のういろうとゆかりを選んだ。ようかんは小豆を使っているが、ういろうは米粉や小麦粉に砂糖と水を加えて練って蒸しあげた和菓子だ。弾力のあるこの食感がたまらないんだよな。
ゆかりのほうは簡単に言うとえびせんなのだが、尾や殻は使用せずにエビの身だけを使用し、新鮮なエビの身を丹念に焼き上げており、濃厚で香ばしいエビの味がこれでもかとする至高のえびせんである。
さあて、こちらも喜屋武さんとの打ち合わせを頑張るとしますかね。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「今日は三重県に行くぞー!」
「おーなのじゃ!」
今日は愛知県を出発して、三重県へと進む。そして意外とノリがいいな、ミルネさん。
「三重県ですか……観光地ですと伊勢神宮くらいしか思い浮かびません。そもそもどの地方に属しているのか分かりにくいんですよね」
「こらそこっ! 三重県民に怒られるぞ!」
大丈夫、三重県にも観光地は名物料理はたくさんある。……まあどの地方に属しているかは俺も微妙にわからないんだよなあ。
東海や中部に分類されていたり、関西や近畿にも扱われたりすることもある。三重県の公式ホームページにも『結論からいえば、三重県は中部地方にも近畿地方にも属していると考えています』と書かれているのを見た時は本気で驚いたぞ。せめて県としてはどっちかハッキリとしてほしいところである……
というわけでやってきたのは三重県の鈴鹿市にある鈴鹿サーキットだ。ここはF1グランプリや8時間耐久ロードレースが開催されるモータースポーツファンの聖地でもある。
レースの観戦もできるのだが、残念ながら今日レースはないようだ。しかし、ここ鈴鹿サーキットでは、レースがない日でも様々なアトラクションを楽しむことができる。
「おお、この車とやらを妾が動かせるのか!」
「ああ。スピードは普通の車よりも遅いけれど、ハンドル操作は一緒だよ」
「ミルネ様、くれぐれも安全運転でお願いしますね」
「それじゃあ、いってらっしゃい!」
運転席に座っているミルネさんと、万が一のために助手席に乗り込む喜屋武さんを見送る。
まあ安全運転もなにも、このアトラクションなら怪我をする危険性もない。もちろんここにはもっとスピードの出るカートやバイクや対戦型のアトラクションもあったのだが、異世界の要人ということで許可が降りなかった。
代わりに危険のないもっと子供向けのアトラクションに乗ることになったのだが、ミルネさんがあそこまで楽しそうにしているのなら良かった。……周りが子供ばかりなのは気にしていないようでなによりだ。
他にもいろんなアトラクションに乗ったり、シューティングゲームやシアターなどを楽しんだ。
「いやあ、本当に面白かったのう! こちらの世界ではこれほど面白い施設がいくつもあると言うのじゃから驚きじゃ!」
「喜んでいただけて何よりです。それにしてもここは本当に広いですね。レーシングコースだけでなくこんなにいろんな施設もあって、おまけに観覧車まであるとは……」
「ディズニーランドとディズニーシーの敷地を合わせたよりも広いですからね」
ひと通りアトラクションを楽しんだあと、3人で観覧車に乗っている。報酬をもらっている仕事とはいえ、女性2人と一緒に観覧車に乗るのは少しドキドキしてしまう……
鈴鹿サーキットの他にも三重県が誇るテーマパークにナガシマスパーランドがある。しかし、ここは絶叫系のアトラクションで有名なテーマパークなので、さすがに異世界にやってきたばかりのミルネさんを連れて行くのはやめておいた。
同じ理由で山梨県にある富士急ハイランドもスルーした。さすがに異世界のお姫様に変なトラウマを植え付けるわけにはいかないからな。
30
第4回ファンタジーカップ現在第3位!(o^^o)
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
チートなキャンピングカーで旅する異世界徒然紀行〜もふもふと愉快な仲間を添えて〜
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
お気に入りに追加
236
あなたにおすすめの小説

【完結】投げる男〜異世界転移して石を投げ続けたら最強になってた話〜
心太
ファンタジー
【何故、石を投げてたら賢さと魅力も上がるんだ?!】
(大分前に書いたモノ。どこかのサイトの、何かのコンテストで最終選考まで残ったが、その後、日の目を見る事のなかった話)
雷に打たれた俺は異世界に転移した。
目の前に現れたステータスウインドウ。そこは古風なRPGの世界。その辺に転がっていた石を投げてモンスターを倒すと経験値とお金が貰えました。こんな楽しい世界はない。モンスターを倒しまくってレベル上げ&お金持ち目指します。
──あれ? 自分のステータスが見えるのは俺だけ?
──ステータスの魅力が上がり過ぎて、神話級のイケメンになってます。
細かい事は気にしない、勇者や魔王にも興味なし。自分の育成ゲームを楽しみます。
俺は今日も伝説の武器、石を投げる!

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】
その攻撃、収納する――――ッ!
【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。
理由は、マジックバッグを手に入れたから。
マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。
これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。
如月さんは なびかない。~片想い中のクラスで一番の美少女から、急に何故か告白された件~
八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」
ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。
蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。
これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。
一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。
マキノのカフェ開業奮闘記 ~Café Le Repos~
Repos
ライト文芸
カフェ開業を夢見たマキノが、田舎の古民家を改装して開業する物語。
おいしいご飯がたくさん出てきます。
いろんな人に出会って、気づきがあったり、迷ったり、泣いたり。
助けられたり、恋をしたり。
愛とやさしさののあふれるお話です。
なろうにも投降中

クラス召喚に巻き込まれてしまいました…… ~隣のクラスがクラス召喚されたけど俺は別のクラスなのでお呼びじゃないみたいです~
はなとすず
ファンタジー
俺は佐藤 響(さとう ひびき)だ。今年、高校一年になって高校生活を楽しんでいる。
俺が通う高校はクラスが4クラスある。俺はその中で2組だ。高校には仲のいい友達もいないしもしかしたらこのままボッチかもしれない……コミュニケーション能力ゼロだからな。
ある日の昼休み……高校で事は起こった。
俺はたまたま、隣のクラス…1組に行くと突然教室の床に白く光る模様が現れ、その場にいた1組の生徒とたまたま教室にいた俺は異世界に召喚されてしまった。
しかも、召喚した人のは1組だけで違うクラスの俺はお呼びじゃないらしい。だから俺は、一人で異世界を旅することにした。
……この物語は一人旅を楽しむ俺の物語……のはずなんだけどなぁ……色々、トラブルに巻き込まれながら俺は異世界生活を謳歌します!
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。

家の庭にレアドロップダンジョンが生えた~神話級のアイテムを使って普通のダンジョンで無双します~
芦屋貴緒
ファンタジー
売れないイラストレーターである里見司(さとみつかさ)の家にダンジョンが生えた。
駆除業者も呼ぶことができない金欠ぶりに「ダンジョンで手に入れたものを売ればいいのでは?」と考え潜り始める。
だがそのダンジョンで手に入るアイテムは全て他人に譲渡できないものだったのだ。
彼が財宝を鑑定すると驚愕の事実が判明する。
経験値も金にもならないこのダンジョン。
しかし手に入るものは全て高ランクのダンジョンでも入手困難なレアアイテムばかり。
――じゃあ、アイテムの力で強くなって普通のダンジョンで稼げばよくない?

これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅
聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる