上 下
62 / 189

第62話 変異種

しおりを挟む

「すみません、この街でのおすすめって何かありますか?」

「おうにいちゃん、この街は初めてか。そうだな、この街は近くにブラッドリーの森って大きな森があっていろんな魔物の肉が獲れるんだ。その中でもワイルドボアとラミネー鳥あたりがおすすめだな。

 あとは海の街からも近いから日持ちする海産物もこの街に届いてくるぜ。うちじゃ海産物は売っていないからそっちは他の店に聞いてみな」

「なるほど。それじゃあワイルドボアとラミネー鳥の串焼きを一本ずつお願いします」

「あいよ!」

 串焼きを2本受け取る。さすがにドラゴンやワイバーンの肉には及ばないが、美味しいには美味しい。最近は舌がだいぶ肥えてしまっているようだな。前までだったらどちらの肉も大満足の味だったはずだ。

「うん、どちらも美味しいですね!」

「おう、ありがとよ。にいちゃんはどこから来たんだ?」

「ちょうどさっきルクセリアの街から着いたばかりです」

「ほ~王都の方からわざわざ来たのかよ」

「はい、このまま更に進んで海を目指す予定です。海産物が美味しいと聞いたので」

「いいねえ。俺も海の方まで何度か行ったことがあるが、魚はめちゃくちゃうまかったな。まあ多少はこの街でも食えるんだが、なにせ向こうは種類が山ほどあるからいろいろと楽しめると思うぜ!」

「そうなんですね。ありがとうございます、楽しみにしておきます! ちなみになんですけどこの街の冒険者ギルドの評判ってどんな感じですか?」

「そうだなあ。さすがに王都よりは劣るだろうが、この国の中でも大きくて評判はいいほうだろ。なにせブラッドリーの森があるからな。依頼も多い分、冒険者も他の街より多いはずだし、質も高いはずだ」

「ふむふむ。冒険者ギルドマスターはどういう人なんですか?」

「お、ギルダートさんのことか! あの人は強えぞ、なにせ元A級冒険者だ。なんとあの大魔道士の血を継いでいるんだぞ! それにあの人がギルドマスターになってからこの街も豊かになった気がするな」

 事前にジーナさんからもらった情報通りだった。元A級冒険者で30代の若さで冒険者を引退し、前ギルドマスターの推薦で現在の冒険者ギルドマスターに就任。その優秀な手腕を存分に発揮し、ギルド全体の依頼達成率をあげることに成功した。冒険者ギルドが賑わうことによりこの街全体が豊かになったらしい。

 というかジーナさんの調査能力がすごい。そりゃ大魔道士の子孫について一人一人これだけのことを調べていたら200ページにもなるわな。

「すごい立派な人なんですね」

「おうよ! ただまあ最近は変異種の発生で忙しいからギルダートさんも大変だろうな」

「変異種?」

「ああ、王都付近じゃ出てこないのか。ブラッドリーの森だと数年に一度くらいの割合で発生するんだよ。原因は知らねえが、あの森や他の大きな森だと突然変異の魔物が生まれるらしい。

 そんでもって変異種の魔物が発生すると付近の魔物が凶暴になるし、魔物の数自体も増える。よくわからんが、変異種を倒せばその現象は収まるらしい。

 少し前から変異種の発生が確認されたらしくてな、今は冒険者ギルドや騎士団で討伐部隊を組んで数日後には出発するって話だ」

 ほう、変異種なんてものが発生するのか。強い魔物は破滅の森に集まるとか、この異世界の魔物の生態は相変わらずよくわからない。

「大丈夫なんですか? 変異種っていうくらいだから強いんじゃないんですか?」

「そりゃある程度はな。毎回かなりの人数が討伐部隊に参加するが、数人は犠牲者が出るって話だ。ただ変異種の素材は高く売れるから討伐部隊に参加するやつらは多いらしいな。詳しいことは俺なんかよりも冒険者に聞いたほうがいいぞ」

 なるほど数人か。逆に言うとドラゴンみたいな強さまではいかないということだな。

「いろいろと教えていただいてありがとうございました。あ、追加でラミネー鳥の串焼きもう一本ください」

「あいよ!」

 思った以上にいろいろと話を聞けた。変異種ねえ……とりあえず冒険者ギルドに行くだけ行ってみようか。




 屋台のおっちゃんに冒険者ギルドの場所を聞いて冒険者ギルドへ向かう。なんだかんだで今まで訪れた街のすべての冒険者ギルドに寄っている。今更ながら冒険者登録しておいてもよかったのかもしれない。でも試験とかあったら面倒だし、依頼のノルマがあっても嫌だけどな。

 カランカラン

 うわっ、なんか殺気立っているな。

 冒険者ギルドの扉を開けたとたんに圧を感じた。なんだろう品定めをされているような視線だ。他の街のギルドよりも冒険者が多いのも、その変異種の影響だろうか?

 うん、とりあえずからまれることがなかったのは助かった。依頼ボードを見てみると結構な依頼の数がある。畑を荒らす魔物を狩ってくれ、近くの小さな村からの依頼で、村を魔物から護衛してほしいといった依頼が多い。

 こっちはパーティ募集の張り紙だ。なになに『変異種討伐隊に向けてC級以上の魔法使い募集!』、『変異種討伐、B級タンク職募集中!』。

 なるほど変異種と戦うためのパーティを募集しているんだな。最低でもC級以上の募集からで、討伐の日付は明後日となっていた。

 必要な情報は手に入れられたので冒険者ギルドを出る。さて、明後日ならちょうど土曜日で学校も休まずに行こうと思えば行ける。でも冒険者登録もしてないし、どうしようかな?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~

夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。 しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。 とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。 エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。 スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。 *小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み

神眼の鑑定師~女勇者に追放されてからの成り上がり~大地の精霊に気に入られてアイテム作りで無双します

すもも太郎
ファンタジー
 伝説級勇者パーティーを首になったニースは、ギルドからも放逐されて傷心の旅に出る。  その途中で大地の精霊と運命の邂逅を果たし、精霊に認められて加護を得る。  出会った友人たちと共に成り上がり、いつの日にか国家の運命を変えるほどの傑物となって行く。  そんなニースの大活躍を知った元のパーティーが追いかけてくるが、彼らはみじめに落ちぶれて行きあっという間に立場が逆転してしまう。  大精霊の力を得た鑑定師の神眼で、透視してモンスター軍団や敵国を翻弄したり、創り出した究極のアイテムで一般兵が超人化したりします。  今にも踏み潰されそうな弱小国が超大国に打ち勝っていくサクセスストーリーです。  ※ハッピーエンドです

TS転移勇者、隣国で冒険者として生きていく~召喚されて早々、ニセ勇者と罵られ王国に処分されそうになった俺。実は最強のチートスキル持ちだった~

夏芽空
ファンタジー
しがないサラリーマンをしていたユウリは、勇者として異世界に召喚された。 そんなユウリに対し、召喚元の国王はこう言ったのだ――『ニセ勇者』と。 召喚された勇者は通常、大いなる力を持つとされている。 だが、ユウリが所持していたスキルは初級魔法である【ファイアボール】、そして、【勇者覚醒】という効果の分からないスキルのみだった。 多大な準備を費やして召喚した勇者が役立たずだったことに大きく憤慨した国王は、ユウリを殺処分しようとする。 それを知ったユウリは逃亡。 しかし、追手に見つかり殺されそうになってしまう。 そのとき、【勇者覚醒】の効果が発動した。 【勇者覚醒】の効果は、全てのステータスを極限レベルまで引き上げるという、とんでもないチートスキルだった。 チートスキルによって追手を処理したユウリは、他国へ潜伏。 その地で、冒険者として生きていくことを決めたのだった。 ※TS要素があります(主人公)

ゆったりおじさんの魔導具作り~召喚に巻き込んどいて王国を救え? 勇者に言えよ!~

ぬこまる
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれ異世界の食堂と道具屋で働くおじさん・ヤマザキは、武装したお姫様ハニィとともに、腐敗する王国の統治をすることとなる。 ゆったり魔導具作り! 悪者をざまぁ!! 可愛い女の子たちとのラブコメ♡ でおくる痛快感動ファンタジー爆誕!! ※表紙・挿絵の画像はAI生成ツールを使用して作成したものです。

土下座で女神に頼まれて仕方なく転生してみた。

モンド
ファンタジー
ドジな女神が失敗を繰り返し、管理している世界がえらい事になって困っていた。 ここに来て女神は「ここまできたら最後の手段を使うしかないわ。」と言いながら、あるカードを切った。  そう、困ったら「日本人の異世界転生」と言うのが先輩女神から聞いていた、最後の手段なのだ。 しかし、どんな日本人を転生させれば良いかわからない女神は、クラスごと転生を先ず考えたが。 上司である神に許可をもらえなかった。 異世界転生は、上司である神の許可がなければ使えない手段なのだ。 そこで慌てた女神は、過去の転生記録を調べて自分の世界の環境が似ている世界の事案を探した。 「有ったこれだわ!・・何々・「引きこもりかオタクが狙い目」と言うことは・・30歳代か・・それから、・・「純粋な男か免疫のない男」・・どういうのかわからなくなったわ。」 と呟きながら最後は、 「フィーリングよね、やっぱり。」 と言い切ってカードを切ってしまった、上司の許可を得ずに。 強いのか弱いのかよく分からないその男は、女神も知らない過去があった。 そんな女神に呼ばれた男が、異世界で起こす珍道中。

『殺す』スキルを授かったけど使えなかったので追放されました。お願いなので静かに暮らさせてください。

晴行
ファンタジー
 ぼっち高校生、冷泉刹華(れいぜい=せつか)は突然クラスごと異世界への召喚に巻き込まれる。スキル付与の儀式で物騒な名前のスキルを授かるも、試したところ大した能力ではないと判明。いじめをするようなクラスメイトに「ビビらせんな」と邪険にされ、そして聖女に「スキル使えないならいらないからどっか行け」と拷問されわずかな金やアイテムすら与えられずに放り出され、着の身着のままで異世界をさまよう羽目になる。しかし路頭に迷う彼はまだ気がついていなかった。自らのスキルのあまりのチートさゆえ、世界のすべてを『殺す』権利を手に入れてしまったことを。不思議なことに自然と集まってくる可愛い女の子たちを襲う、残酷な運命を『殺し』、理不尽に偉ぶった奴らや強大な敵、クラスメイト達を蚊を払うようにあしらう。おかしいな、俺は独りで静かに暮らしたいだけなんだがと思いながら――。

祈りの力でレベルカンストした件!〜無能判定されたアーチャーは無双する〜

KeyBow
ファンタジー
主人公は高校の3年生。深蛇 武瑠(ふかだ たける)。以降タケル 男子21人、女子19人の進学校ではない普通科。大半は短大か地方の私立大学に進む。部活はアーチェリー部でキャプテン。平凡などこにでもいて、十把一絡げにされるような外観的に目立たない存在。それでも部活ではキャプテンをしていて、この土日に開催された県総体では見事に個人優勝した。また、2年生の後輩の坂倉 悠里菜も優勝している。 タケルに彼女はいない。想い人はいるが、彼氏がいると思い、その想いを伝えられない。(兄とのショッピングで仲良くしているのを彼氏と勘違い) そんな中でも、変化があった。教育実習生の女性がスタイル抜群で美人。愛嬌も良く、男子が浮き足立つのとは裏腹に女子からの人気も高かった。タケルも歳上じゃなかったら恋をしたかもと思う。6限目が終わり、ホームルームが少しなが引いた。終わると担任のおっさん(40歳らしい)が顧問をしている部の生徒から質問を受け、教育実習生のミヤちゃん(竹下実弥子)は女子と雑談。タケルは荷物をまとめ、部活にと思っていた、後輩の二年生の坂倉 悠里菜(ゆっちゃん、リナ)が言伝で来た。担任が会議で遅れるからストレッチと走り込みをと言っていたと。この子はタケルに気があるが、タケルは気が付いていない。ゆっちゃんのクラスの担任がアーチェリー部の担任だ。ゆっちゃんと弓を持って(普段は学校においているが大会明けで家に持って帰っていた)。弓を背中に回して教室を出ようとしたら…扉がスライドしない。反対側は開いていたのでそっちに行くが見えない何かに阻まれて進めない。反発から尻餅をつく。ゆっちゃんは波紋のようなのが見え唖然とし、タケルの手を取る。その音からみっちゃんも扉を見て驚く。すると急に光に包まれ、気絶した。目を覚ますと多くの人がいる広間にいた。皆すぐに目覚めたが、丁度三人帰ったので40人がそこにいた。誰かが何だここと叫び、ゆっちゃんは震えながらタケルにしがみつく。王女と国王が出てきてありきたりな異世界召喚をしたむね話し出す。強大な魔物に立ち向かうべく勇者の(いせかいから40人しか呼べない)力をと。口々に避難が飛ぶが帰ることは出来ないと。能力測定をする。タケルは平凡な数値。もちろんチート級のもおり、一喜一憂。ゆっちゃんは弓の上級スキル持ちで、ステータスも上位。タケルは屑スキル持ちとされクラスのものからバカにされる。ウイッシュ!一日一回限定で運が良ければ願いを聞き入られる。意味不明だった。ステータス測定後、能力別に(伝えられず)面談をするからと扉の先に案内されたが、タケルが好きな女子(天川)シズクと他男子二人だけ別の扉を入ると、閉められ扉が消え失せた。四人がいないので担任が質問すると、能力が低いので召喚を取り消したと。しかし、帰る事が出来ないと言っただろ?となるが、ため息混じりに40人しか召喚出

平凡すぎる、と追放された俺。実は大量スキル獲得可のチート能力『無限変化』の使い手でした。俺が抜けてパーティが瓦解したから今更戻れ?お断りです

たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
ファンタジー
★ファンタジーカップ参加作品です。  応援していただけたら執筆の励みになります。 《俺、貸します!》 これはパーティーを追放された男が、その実力で上り詰め、唯一無二の『レンタル冒険者』として無双を極める話である。(新形式のざまぁもあるよ) ここから、直接ざまぁに入ります。スカッとしたい方は是非! 「君みたいな平均的な冒険者は不要だ」 この一言で、パーティーリーダーに追放を言い渡されたヨシュア。 しかしその実、彼は平均を装っていただけだった。 レベル35と見せかけているが、本当は350。 水属性魔法しか使えないと見せかけ、全属性魔法使い。 あまりに圧倒的な実力があったため、パーティーの中での力量バランスを考え、あえて影からのサポートに徹していたのだ。 それどころか攻撃力・防御力、メンバー関係の調整まで全て、彼が一手に担っていた。 リーダーのあまりに不足している実力を、ヨシュアのサポートにより埋めてきたのである。 その事実を伝えるも、リーダーには取り合ってもらえず。 あえなく、追放されてしまう。 しかし、それにより制限の消えたヨシュア。 一人で無双をしていたところ、その実力を美少女魔導士に見抜かれ、『レンタル冒険者』としてスカウトされる。 その内容は、パーティーや個人などに借りられていき、場面に応じた役割を果たすというものだった。 まさに、ヨシュアにとっての天職であった。 自分を正当に認めてくれ、力を発揮できる環境だ。 生まれつき与えられていたギフト【無限変化】による全武器、全スキルへの適性を活かして、様々な場所や状況に完璧な適応を見せるヨシュア。 目立ちたくないという思いとは裏腹に、引っ張りだこ。 元パーティーメンバーも彼のもとに帰ってきたいと言うなど、美少女たちに溺愛される。 そうしつつ、かつて前例のない、『レンタル』無双を開始するのであった。 一方、ヨシュアを追放したパーティーリーダーはと言えば、クエストの失敗、メンバーの離脱など、どんどん破滅へと追い込まれていく。 ヨシュアのスーパーサポートに頼りきっていたこと、その真の強さに気づき、戻ってこいと声をかけるが……。 そのときには、もう遅いのであった。

処理中です...