ルナ

なにわしぶ子

文字の大きさ
上 下
16 / 20

16話~ルナ~

しおりを挟む




*⋆꒰ঌ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ໒꒱⋆*



「ホワイト!!!一体、何が!?」


ナミによって、既にケンタウロスとなっていたエンディは、森の奥のその異変にいち早く気づきやって来ました。


「ナミが取り掛かっていた5人目の妻の創造が失敗し、鉱石が暴走を始めたのだ。エンディも早く結界の中へ。ここはもう諦めた方がいい」


「そんな…………、ナミ!!!」


エンディは、オレンジ色のその暴走の柱に向かって4本の足で向かって行こうとしました。


「待つんだ!!」


ホワイトが言霊を込めたその言葉で、エンディの動きを封じると、エンディはその場にぐったりと倒れ込んでしまいました。


「ナミを見捨てるっていうの?ナミはあの中にまだ居るんだよ?」


朦朧とする意識の中で、エンディはホワイトへ訴えかけました。


「わかっている………」


ホワイトは、倒れ込んだエンディの周囲に結界を張ると、自分はひとり、そのオレンジ色の光の柱の中へと吸い込まれていったのでした。










ルナは森の中で眠っていた
樹木と草花の匂いに包まれて、目を覚ました

「ここは……?」

ルナは、ゆっくり体を起こした

地面につくくらい、長い金色の髪
それが、ルナが自分のパーツの
最初に目にしたモノだった

私は誰なのだろう
(私の前の誰かが、居た気がするの)

私は、何処から来たのだろう
(私には、故郷があった気がするの)

顔をあげると
そこには真っ白の衣に真っ白の髪
真っ白の立派な髭を蓄えた存在が立っていた



「お前の名前は、ルナ」

その存在は私にそう呟いた

「ル……ナ………?」

私はその日から、名もない存在から
ルナという存在になった
(ルナ……そんな星が何処かにあった気がするの)

「お前は、たった今私が生み出した魂」

その存在は、そう言うと私に手を差しのべてきた

「生み出した?あなたが?」

私は戸惑った
(あぁ何か……何かとても大事な事を……
……私は忘れてる気がするの……)

「そう………そしてお前は永遠となる」

「永………遠……?」

私には、この存在の言葉の意味がわからなかった
(いいえ、とてもわかっていたの)

「お前にしか出来ぬ事がある、さぁ宮殿に行こう」

その存在は、私の手を掴むと
その場に立ち上がらせた

一糸纏わぬ姿に、金色の長い髪は
衣の様に包み込んだ

「行きたくない!!」

私は気づけばその存在の手を振り払っていた
(こんなはずじゃなかった)

「ルナ、お前は私の第5夫人となる。
拒否は赦されない」
(こんなはずじゃなかった)

その存在は、再度手を差しのべてきた

「妻にする為に生み出したというの?ひどい……」
(ひどいのは、この私)

私は今にも溢れ落ちそうな
大粒の涙を浮かべながら、訴えた
(助けて)

「夫人にするのは護る為。
私はお前を永遠に護ると約束をしよう」

「護る………」

私はその言葉に、一瞬で支配をされた
きっとその言葉そのものに
力が宿っていたからなのかもしれない
(助けて)

「わかったわ…
護ってくれると約束してくれるのなら………」

私は、その差しのべられた手に
自分の右手を乗せた
(助けて)

「約束しよう」

存在は、今度は両手で私の右手を包み込んだ

すると、一瞬で私の身体を
ロングのドレスの衣が包み込んだ

「素敵………」

私は、自分の身体を見つめながら
呆然と立ち尽くした

「宮殿で、他の夫人達の紹介をしよう」

「わかったわ……
でも、その前に聞きたい事があるわ」

「いいだろう」

「私は何処から生まれたの??」
(確認をしておきたかったの)

「私の身震いから」
(それは優しい嘘)

私は、黙り込んだ
生まれたばかりとはいえ
不思議と色々引き出せる、自分の中の
情報という名の引き出しをあけては
答えを探し求めた

「信じたくない」
(信じなくていいの)

私は、自分の右手を包み込む両手をほどくと
腕に自分の腕をからめた

「では、行こう」

その存在が歩きだした
私も遅れない様に、腕をしっかり組んで
歩幅を合わせた

暫く行くと、目の前に立派な建築物が
見えてきた

私はこれから、ここで生活をするのだ
この腕を組む存在の第5夫人として

「そうだ、名前を聞いてない。名前は?」

私は、宮殿の前で立ち止まると
その存在に向かって、名を尋ねた

「ホワイト」

ホワイトは、そう呟くと
ルナに優しく微笑みかけた。





(ここから出して、お願い誰か)



*⋆꒰ঌ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ໒꒱⋆*

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

Alice Heart Memorys 〜魂の片隅で、君を待つ〜

夢月真人
SF
2107年。誰しもが所有している感情を持つアンドロイド《Alice》が人々の生活をサポートする現代。 一人の青年《吾妻ユウラ》が、新東京大学クラフト専攻科の卒業を間近に控えたある日、不治の病によって母親を亡くなった。母親は最後に「魂は存在し、真実を知ればまた会える」という意味深な言葉を残す。 24歳になった彼は、機械の改良、改造を生業とするクラフターとして働く側で、母親にもう一度会い、あの日の言葉の真意を知るために《魂》の研究を続けていた。 そんなある日、自称妹である感情を持つアンドロイド《ルカ》と共に伝説のボーカルアンドロイド《未來ミナ》生誕50周年を記念するライブに足を運ぶことになるのだが、そこで予期せぬ事件に巻き込まれてしまう。 偶然か必然か、巻き込まれた事件をきっかけに彼は真実へと辿り着くことになるのだが、その真実は予測不能。

神造のヨシツネ

ワナリ
SF
 これは、少女ウシワカの滅びの物語――。  神代の魔導と高度文明が共存する惑星、ヒノモト。そこは天使の魔導鎧を科学の力で蘇らせたロボット『機甲武者』で、源氏、平氏、朝廷が相争う戦乱の星。  混迷を深める戦局は、平氏が都落ちを目論み、源氏がそれを追って首都キョウトに進撃を開始。そんな中、少女ウシワカは朝廷のツクモ神ベンケイと出会い、神造の機甲武者シャナオウを授けられる。  育ての親を討たれ、平氏討滅を誓い戦士へと覚醒するウシワカ。そして戦地ゴジョウ大橋で、シャナオウの放つ千本の刃が、新たなる争乱の幕を切って落とす。 【illustration:タケひと】

SEVEN TRIGGER

匿名BB
SF
20xx年、科学のほかに魔術も発展した現代世界、伝説の特殊部隊「SEVEN TRIGGER」通称「S.T」は、かつて何度も世界を救ったとされる世界最強の特殊部隊だ。 隊員はそれぞれ1つの銃器「ハンドガン」「マシンガン」「ショットガン」「アサルトライフル」「スナイパーライフル」「ランチャー」「リボルバー」を極めたスペシャリストによって構成された部隊である。 その中で「ハンドガン」を極め、この部隊の隊長を務めていた「フォルテ・S・エルフィー」は、ある事件をきっかけに日本のとある港町に住んでいた。 長年の戦場での生活から離れ、珈琲カフェを営みながら静かに暮らしていたフォルテだったが、「セイナ・A・アシュライズ」との出会いをきっかけに、再び戦いの世界に身を投じていくことになる。 マイペースなフォルテ、生真面目すぎるセイナ、性格の合わない2人はケンカしながらも、互いに背中を預けて悪に立ち向かう。現代SFアクション&ラブコメディー

ドラゴンヘッド

シャーロット
SF
世界支配

全ての悩みを解決した先に

夢破れる
SF
「もし59歳の自分が、30年前の自分に人生の答えを教えられるとしたら――」 成功者となった未来の自分が、悩める過去の自分を救うために時を超えて出会う、 新しい形の自分探しストーリー。

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

処理中です...